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四季娘っ〈しきむすめっ〉  作者: 神無 乃愛
〈side 六花〉
5/9

ドナドナは不発〈side 六花〉

 六花の周りには常に人がいる。どこぞの小学校で一緒のクラスだったとか、高校が一緒だったとか、受験で偶然隣だったとか、理由は様々だ。

 両親には「人を惹きつける何かがあるのかもね」と言われているが、六花自身が騒ぐのが好きだからというのもあるだろう。

 なので

柳瀬(やなせ) 六花さんだよね。ちょっといいかな」

 と別学部の人間に声をかけられても、誰一人疑問に思わない。例え、相手が有名人だったとしても、だ。


 ただ、六花自身は「こいつの笑みが胡散臭い」と本能的に感じている。

「うっわぁ。俺みてその反応初めて」

「そりゃ光栄です」

 確か工学系の大学院に所属しているおヒトのはず。六花は、自分のパーソナルデータから、相手のことを割り出していく。

 そして、御曹司様と仲のいい「オトモダチ」つまりは、この人もやんごとなきお家の可能性が高い。近づかないに限る、なのである。

望月(もちづき)先輩だよ! 六花ちゃん」

 確か、そんなお名前でしたっけね。望月 啓治(けいじ)。六花が大学に入って、近づかないでおこうと決めた、人物リストにきっちりと入っている。

「とある人物から。食堂で話した内容について」

 ここでばらされたくないでしょ? と囁くが、あの騒ぎを知っているのは多いのだが。

「頷いてもらわないと、はるちゃん? だっけかな。あの子のところに行くと思うよ」

「えげつない」

「光栄だね」

 他に聞こえないようにいう、気配りがまたえげつない。晴海のところに御曹司様が行ったら、半年以上引きこもるのが目に見えているではないか。


 六花の頭の中を「ドナドナ」がよぎったのは、悪くいないと思う。



 その「ドナドナ」はしっかりと口ずさむという、嫌がらせを途中から発動させたのだが、相手の楽しそうにハミングして歌っていたので、不発だった模様である。

「ちっ」

「そんなことだろうと思ったからね。この間、友人の反応見るだけに色々と暴露するあたりとか、顧みるとさ」

「あの場にいたんですか?」

「俺はいなかったよ。でも、紅蓮が楽しそうに話してくれた」

「ツボが分からんです」

「楽しけりゃいいと思っている節がある。時々説教されるけど」

 説教できる人いたのか、と少しばかり感心してしまう。何せ、ボディガードらしき人は諫めることはあっても、説教するということはなさそうなので。


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