66.帰宅
毎度お待たせしてしまい、申し訳ございません。
久々の更新になります！
「帰ったぞ」
「レイン様！」「レインくん！」
屋敷の扉を開けると、真っ先飛び出てきたのは美女二人。
二人の焦りようから、状況はすぐに察した。
「ご無事だったのですね、お二人とも」
「外で不当な輩が騒ぎを起こしているって私の冒険者仲間が言っていたから」
「その様子だと、巻き込まれたって感じじゃなさそうですね」
「いや、巻き込まれたぞ。普通に」
「「え？」」
二人の言葉がハモり、同時に首を傾げる。
それからダイニングルームへと移動し、俺はシェリーとあった出来事を余すことなく全て暴露した。
「……とまぁ、こんなことがあって奴らは無事役所に――」
「ばか……」
「ん？」
「このおバカッ！ なんでそんな澄ました顔が出来るんですか！ 確かにレイン様はお強いですけど、万が一にも……」
珍しく怒りを全面的に出すシノア。
よく見ると、微かながら手が震えていた。
「す、すまん。突然のことだったから」
「分かっています。分かっていますけど……」
「レインくん、事情は色々とあったと思うけど、もっと自分を大事にしなさいな。シノアちゃん、ずっと二人を心配していたのよ」
「そうだったのか……すまない、二人とも」
「ご、ごめんなさい……」
シェリーも頭を下げると、
「次からは本当に気を付けてくださいね」
「ああ、悪かった」
「それにしても、よく無事だったわね。特にシェリーちゃんは相手に捕まっていたのでしょう？」
「はい。でもすぐにレインさんが助けてくれたので。本当に感謝しています」
「すまなかった、シェリー。怖いを思いをさせてしまって」
改めて謝罪を。
あの時は本当に危機一髪だった。
一歩間違えれば最悪な事態にもなりかねなかったことだ。
「いえ、わたしもあの時一人でやるなんて言わなければあんな事態にはならなかった。わたしの未熟さが招いたことです」
「でもおかげで輩を仕留めることに繋がった。決してあの時のお前の判断は無駄ではなかったはずだ。こうして生きて居られているのが何より証拠だろう」
「レインさん……」
危ない場面もあったが、こうして最後は無事に帰ることが出来た。
シノアたちに心配はかけてしまったが、悪い結末だけは避けられた。
これは良かったと思う。
「だが次からはあのような無茶はさせない。それが出来るのはお前が一人前の戦士になってからだ。いいな？」
「は、はい！」
元気よく頷くシェリーに。
シノアとロザリアも微笑んだ。
「さて、無粋な話はこれくらいにしてお夕飯の準備をしましょうか。お二人はもうお済になっているのですか？」
「いや、まだだが……」
「ならちょうど良かったです。実はあれからロザリアさんと一緒に料理の練習をしまして、お夕飯を任せていただくことになったのです」
「任せてって……ロザリア？」
俺はすぐにロザリアの方を向いたが、彼女は知らん顔でそっぽを向いている。
そして小声で、
「だ、だってあんなに頑張って料理を振舞おうとしていたんだもの。止めるなんて私にはできないわ」
「だ、だがな……」
そんな話をしている内に次々と料理が運ばれてくる。
凄い気合を入れたのだろう。
合計二桁を超える料理たちが盛大に長テーブルを彩った。
見た目は美味しそうなんだがな……
「さぁ皆さん。遠慮はいりませんよ。沢山作ったのでどんどん食べてください！」
この後、俺たちはシノアに料理を振舞ってもらった。
料理の味は予想通り、全てデザートのように甘かった。
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