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63.唸る刃

更新です!

今回は後書きに軽い報告があるので、良ければそちらも読んでいただけると嬉しいです。


 ――剣道極めし者は、あらゆる脅威をも滅する


 かつて俺の師匠が言っていた言葉の一つだ。


 確かに現代では剣は時代遅れの産物なのかもしれない。


 魔法という新たな文明がこの世を利便化し、冒険者たちにも恩恵をもたらしているこの世ではそういう認識を持った者が現れるのはごく自然なこと。


 それは俺でも理解できることだ。


 だが、だからと言って何も知らない人間にバカにされる筋合いはない。


 今でも剣を振るい、その道を極めようとしている者は数多くいる。


 俺もその内の一人だ。


 それに、剣には剣にしかない良さがある。

 もちろん、逆を言えば魔法には魔法にしかない良さがある。


 だが俺は魔法をバカにしたことなど、生涯で一度もない。


 俺も剣術によっては魔法を駆使することもあるからな。

 

 でもこいつらは剣に生きる者たちを真っ向から否定した。

 これは到底許されることではない。


 正直なところ、さっきの実力を見た限り、こいつらをひったてることは難しいことではない。

 

 だから、ここから先は単なる私情も混じっている。

 もちろん、決闘が終わったら早急に捕まえて役所にぶち込むつもりだ。


(さぁ、かかって来い……!)


 剣先を三人の方へと向けつつ両手で剣を構え、姿勢を低く保つ。

 相手の魔法も完成したようで、もういつでも打てる状態へと入っていた。


「この一撃で終わらせてやる」


「ほう、たった一撃だけでいいのか?」


「もちろん。この一撃を防げば兄ちゃんの勝ちさ。ま、防げればの話だがな」


 ヒヒヒとあざ笑う男たち。


 どうやらこの一撃を防げば勝利にしてくれるらしい。

 まったく、甘く見られたものだ。


 相当、余裕があるのだろう。


「あ、一応言っておくが、このくらいの質量レベルの魔法が生身の人間に直撃すれば、どんなに硬いタンク野郎でもひとたまりもない。最悪、死んじまうかもしれんが、分かってるよな?」


「ふっ、今更な話だな。俺はとうに覚悟を決めている。それに――」


「ん?」


「お前たちも本気で来い。殺すつもりでかかってきてくれなければ、面白くないからな」


「なっ、なにっ!」


 やるからにはとことんやりたい。

 この決闘に関しては俺から売った喧嘩だ。


 相手が何をしてこようが、それを受け止めるだけの覚悟はある。


「ふ、ふざけやがって! じゃあ、お望み通り、この場で消してやるよ!」


「ふん、バカなヤツだ。自分から死に急ぐとは」


「生憎、我々は殺しへの躊躇はあまりないものでね。君ならもう分かっているとは思うが……」


「だろうな。でなければこんな街中で魔物を放とうとは考えないだろう」


 どんな目的があれ、こいつらは犯罪を犯そうとしていた連中だ。

 まだ街の方に被害は出ていないが、俺たちがここに来なければ今頃この街は戦火に包まれていたことだろう。


 そんな輩に殺しへの躊躇がないのは、普通のこと。


「俺はいつでもいい。来い」


「ふん、後悔すんなよ兄ちゃん。……………死ねっ!」


 男の一人がそう叫びながら、三人分の魔力を溜めた魔法弾を俺に向かって放つ。

 放たれた途端、魔法弾は俺の方へと吸い込まれるように勢いを増す。


(さて……)


 魔法を剣で斬ろうだなんて、バカげている。

 大半の人間はそう言うだろう。


 でも不可能なことではない。


 それに、この程度で根をあげていては、()()()に顔向けできないからな。


「さよならだっ!」


「レインさんっっ!」


 放たれた魔法弾は軌道を変えることなく向かってくる。

 俺は一瞬だけ聞こえたシェリーの声を聞き流しつつ、一歩力強く踏み込むと。


「見ていろ、これが剣の道を究めんとする人間の姿だ!」


 重心を前方に向け、剣に自らの魂を乗せる。

 そして身体全体を使い、剣を振りぬいた。


「――――――!!!!!!」


 爆音と共に辺りには粉塵が舞う。


「よっしゃ! 直撃だぜ!」


「残念な男だ。あれほどの実力がありながら、自ら死を選ぶとは」


 男たちの歓喜が聞こえてくる。


 だが残念だったな。


「お、おい待て。あそこを見ろ」


 ようやく一人が気付いたみたい。

 その瞬間、男たちの声質が震えに変わった。

 

「う、ウソ……だろ?」


「そんな……バカな!」


「レインさん……!」


 粉塵が少しずつ消え去り、視界も徐々に明瞭になっていく。

 そして完全に消え去った後、男たちの表情はさらに変わった。


 言葉も出ないのか、目を丸くしながら俺の方をじっと見ていた。

 身体を無駄に震わせながら。


 俺は剣を鞘に納めると、奴らに視線を合わせた。


「……どうやら、俺の勝ちのようだな」

お読みいただき、ありがとうございます!

面白い、応援したいと思っていただけましたら是非ブックマークと広告下にある「☆☆☆☆☆」からポイント評価をしていただけると嬉しいです!


※ここ数か月ほど、超ゆっくり更新でやってまいりましたが、少しずつ時間が取れるようになってきたのでようやくですが、活動に復帰します!


長らくお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。


とは言っても長い間、一定のサイクルで書く時間から離れていたので、最初はリハビリをしながらになるとは思います。

その辺りは予め、ご承知おきください……


これからは新作含め、バンバン作品を投稿していきたいと考えていますので、引き続き応援の程、宜しくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[良い点] マジ物理で魔法を迎撃したw
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