60.威嚇合戦
向かってくる数人の男たち。
彼らは俺に姿を見るなり、すぐに立ち止まった。
「て、てめぇ……何者だ!」
「お前らだな? あのゲートを発現させたのは」
「げ、ゲートだと? おいどうなってんだ、バーン! なんでこんなに外部からの侵入者がいるんだ!」
「いや、結界は確かに――」
「安心しろ。結界なら俺が破壊した」
「破壊した……だと!?」
度肝を抜かれたようにきょとんとする男衆。
自分たちの中では破壊されるわけがないと思っていたのだろう。
それはもう表情から見て一目瞭然だった。
「へっ、そんなバカな。俺の結界を剥がせる人間なんてボス以外そうそういやしない。例のゲートだって――」
「ほう、あの面倒なゲートはお前が作ったのか。ならいいものを見せてやろう」
俺はそういうと先ほど証拠用に撮った写真を見せる。
すると、男の顔からは次第に血の気が引いていき……
「う、ウソだろ……まさか貴様、本当にゲートを……」
「ついで魔獣たちの掃除も完了している。後はお前たちを捕まえて役所に突き出せば終わりってわけだ」
「お、おいどうする!? このままじゃ……」
「ふん、何をうろたえているんだバーン。相手は男一人だ。顔も見られた以上、こいつはここで始末するしかない」
「始末だって? こいつはあのゲートを壊したんだぞ? 何日もかけて作ったあれを……」
「それがどうした。数ではこっちが上だ。俺たちの実力を合わせればそれくらいの力は出せる。ただ、ボスからの言いつけは破ってしまうことにはなるがな……」
ごちゃごちゃと言い争いを始める男たち。
ボスとかなんか色々な言葉が出てきているが、正直全く興味はない。
もちろん、突き詰めようとも思っていない。
そういった類は役所などの公的機関の仕事だ。
俺はただ、シェリーを傷つけた代償を受けてもらえればそれでいいのだ。
「かかってくるなら、俺は別に三人だろうが四人だろうが構わない。纏めて相手をしてやるまでだ」
「なんだと?」
「てめぇ、俺たちをナメてんのか!?」
「別にそんなつもりはない。ただ、敵の目の前でそんなくだらない言い争いをしていていいのかって話だ。俺は意識が向いていない敵を斬るのはあまり好きじゃないんだ。かかってくるなら来てほしい、それだけだ」
「んだと!? ちょっとゲートを破壊できたからって、調子に乗りやがって……!」
「ふん、面白い男だ。俺たち相手にこうも荒い喧嘩を吹っ掛けてくるとは……」
「俺たちの力を思い知らせる必要があるみたいだな」
彼らの表情が変わった。
戦闘態勢を整え、俺に睨みを効かせてくる。
「……やる気のようだな。いいだろう、相手をしてやる」
俺も自らの剣に手を添えると、スパッと鞘から剣身を抜いた。
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