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31.レストランにて1

 

 剣舞祭。


 それは大陸中の猛者たちが一同に集い、誰が一番強い剣士かを決める大会である。

 4年に一度開かれるその大会は出場者だけでなく、大陸の人々たちにとっても一大イベントで、その様子は大陸全体で中継されるほど。


 大陸には数多くの剣技を競う大会があるみたいだが、この剣舞祭だけは出場者のレベル的にも別格らしい。


 ロザリアはそんな剣舞祭に選手として出場するべき、活動拠点から王都まで来たとのことだった。


「レインくんたちは剣舞祭に参加しに来たんじゃないの?」


「いや、俺たちはたまたま王都に行こうという話になっただけで祭りのことはアルズールに来るまで知らなかったんだ」


「アルズール? ああ、ここから南下したところにある中継都市のことか」


 どうやら彼女はアルズールの街を知っているようだった。

 ロザリアの活動拠点は全くの別方向なのだが。


「じゃあ、今は観光目的ってところかな?」


「まぁ、そんなところだ」


 厳密は俺ではなくシノアたちだが。


 でもこの王都の賑いを見れば俺も少しだけ街を歩いてみたいなとは思った。

 今までゆっくり街の観光をしようなんて思ったことがなかったのに。


 いや、むしろシノアたちの方が普通の反応なのか。


「えっと、ロザリアさん」


 ここでシノアがロザリアに声をかけた。


「ロザリアでいいよ。なぁにシノアちゃん」


「え、えっと……ずっと気になっていたんですけど、さっきギルドで一緒にいた男の人たちは何者なんですか? もしかしてロザリアさんの恋人……とか、そんな感じで?」


 さっきの奴らとはロザリアの周りにいた数人の男たちのこと。

 今は外で待機してもらっているらしいが、ギルドで見たあの統一感は並じゃなかった。


「あ、それわたしも気になっていました!」


 シェリーもシノアの疑問に便乗する。


 確かにそれは俺も気になっていた。

 恋人というよりは親衛隊とかそっちの方に見えたが。


 まぁ仮にあそこにいた男全員が恋人だとしたら、とんでもないことだが。

  

 ロザリアはシノアの問いにふふふと微笑むと、真実を語ってくれた。


「流石に恋人とかじゃないよ。あの人たちはわたしのパーティー仲間、みんな冒険者なの」


「パーティー……? さっきの男全員がか?」


「うん、そうだよ」


 にしてはかなりの人数がいた。

 パーティーというよりはクランとか組織に近い感じだったし。


「なんで全員男の人なんですか? 何か理由でも?」


 シノアが続けて質問。

 するとロザリアは難しい顔をしてちょこんと頷いた。


「うん、ちょっと色々あってね」


 やっぱり理由はある様子。

 ギルドの時は仲こそ悪そうには見えなかったが、好き好んでやっているようにも見えなかったしな。


 昔のロザリアの性格から考えるにそんな男を引きずりまわすようなタイプでもないし。


「向こうから攻め寄られたとか、そんな感じですか?」


 気になるのかシノアはさらなる質問を。 

 ロザリアの美貌ならそれもあり得るけど……そんな小説みたいな展開はあり得るのか?


「う、うん……ほぼ正解……かな」


 ロザリアは少し苦笑しながら、小声で答えた。


 てかマジか。予想的中かよ。


 それからロザリアは事細かに説明を始めた。


 話によればロザリアは元々俺と同じソロの冒険者である目的を果たすべく、色んなところを旅をして回っていたらしい。

 そんな中で彼女はその美しさから色々な男たちに寄られ、告白のみならずいきなり求婚もされたらしい。


 中には貴族や大商人のご子息とかもおり、人数が多くなることに歯止めが利かなくなってきたので、ロザリアは急遽パーティーを結成。


 告白や求婚は受けられない代わりにパーティーメンバーとして共に旅をすることであんな感じになった。


 今では完全に親衛隊と化し、宿の手配とか身の回りの世話など何でもかんでもやってくれるとのこと。


「みんないい人達なんだけどね……中々休んでくれなくて。もっと自分の身体を労わってほしいのに」


 好きな人の為ならどんなことでもやる。


 多分、そんな精神が彼らの中に根強くあるのだろう。


 正直、俺にはよく分からない世界だがな。


「最近はなんかそのお世話があまりにも出来すぎていて怖いくらい……」


「ある意味、災難だな」


 沢山の男に言い寄られるのは女性としては誉なことなんだろうけど、ロザリアはそうではないみたい。

 逆に普通に隔たりのない関係を築き上げたいというのが彼女の本音なのだろう。


 ……多分。


「ま、中々楽しいから私はいいんだけどさ」


 最後は笑顔で結論を出す。

 でも自分を慕ってくれる人間が大勢いることは幸せなことだ。


 俺もシノアやシェリーといった仲間ができたことで人と共に景色を共有することに少しずつ楽しさを覚え始めていた。

 まだ二人とも会って日は浅いが、一人で旅をするのとは全然違ったのだ。


 最初はどうなるかと思ったけど、今は特に不満なことはない。


「じゃあ、今度は私から質問してもいいかな?」


 今度はロザリアからシノアたちに向けての質問があるご様子。

 シノアたちも「はい」と返事し、ロザリアの方を向く。


 ロザリアはニヤッと意地悪そうに口元を歪めると、二人に質問を飛ばした。


「単刀直入に聞くけど、二人はレインくんのことが好きなの~?」

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