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18.旺盛な二人


 それから、俺たちは夕食まで会話をしながら時間を潰していた。


「そういえば、お二人は王国出身の方なんですか?」


 シェリーの質問にまず初めに口を開いたのはシノアだった。


「わたしはそうだよ。生まれ故郷はルートンっていう田舎町だけどね」


「そうなんですか。わたしの故郷もかなりの田舎町だったのでこのアルズールでも物凄く都会に感じちゃいます」


「それはわたしも最初王都に行った時は凄く思ったよ。もう全てにおいて圧倒されたというか」


「分かります! もうなんていうか圧倒的ですよね!」


 二人の会話が少しずつ盛り上がっていく。

 もうシノアとシェリーは完全に意気投合し、さっきあったばかりとは思えないほどの関係になっていた。


「レインさんはどこから来たのですか?」


 と、ここで俺にも質問が。


「あ、それわたしも聞きたいです」

 

 二人の視線は俺の方へと集中。

 別に隠したりする必要はまったくないので、正直に答えた。


「山だ」


「やま?」「山?」


「ああ……俺はずっと山奥で暮らしてきた。ここから大体南に位置する場所だ」


 街でも地方でも言い表せないため、こういう言い方しかできない。

 でも場所はしっかりと覚えている。


 師匠と共に暮らしたあの家を忘れることの方が難しい。


「山奥って……じゃあ食料とかは……」


「森に狩りに行って獲って来る。いわゆる自給自足というやつだ」


「ほ、本当なんですか? その話……」


「ああ、嘘はついていない」


 驚きを見せる二人。


 ま、多分これが普通の反応なのだろう。


「レイン様一人で暮らしていたんですか?」


「いや、もう一人いた」


「もう一人?」


「俺に全てを与えてくれた人だ。剣の何たるかを教えてくれた師でもあった」


 話すとあの時のことが脳内に蘇って来る。

 

 俺にとってはかけがえのない思い出だ。


「その方は今も山奥に?」


「……師はもうこの世にはいない。俺が旅を決断する少し前に世を去った」


「そ、そう……だったんですか。すみません……」


「気にするな」


 しゅんと俯くシノアを宥める。

 

 一気に雰囲気が落ち込み、悪い空気が漂い始めた時だ。


 ――コンコン


「あの~お客様~?」


 ドアのノック音と共に聞こえてくる声。

 

 この声は……マリィだ。


「開いている。入っても大丈夫だ」


「あ、いえ。私はただ、ご夕飯の準備が出来たことを報告しに来ただけなので。ご夕飯の際にはお手数をおかけしますが、ダイニングルームの方へ行ってもらえると」


「分かった。どうだ? もう食えそうか?」


「はい! 実はもうお腹ペコペコで……」


「わたしもです! 何故か分かりませんけど、今日は食欲がスゴイです!」


「そ、そうか……」


 割とさっき食べてからそんなに時間は経っていないはず。


 確かにシノアはさっきの店での食べっぷりからして相当な健啖家なのは分かった。

 シェリーもシノアほどではないものの結構な量食べていたはずだが……


「じゃ、じゃあ行くか?」


「「はい!」」


 目をキラキラさせ、元気よく返事する二人。


 よほどお腹が空いているご様子。


 俺はそんな食いしん坊二人を連れ、ダイニングルームへと向かうのだった。

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