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01.何故か追放された


「レイン、お前は今日を以ってパーティーをクビとする! 今すぐ出ていけ!」


 パーティーリーダー、ゲインから放たれたのは衝撃的な言葉だった。

 

「で、出ていけ? 俺が何をしたっていうんだ?」


 突然の追放宣告に戸惑いを隠せず、つい声が張る。

 ゲインは声を張って問う俺に一言だけ、告げた。


「お前が強すぎて目障りだからだ!」


「……は?」


 これまた唐突だ。

 てか今、俺は褒められたのか?


 分からない。

 だがゲインは顔を真っ赤にしながら、机をバンッと勢いよく叩いた。


「何が「は?」だ! ここまで言えばお前も分かるだろ!」


 いえ、全く。

 

 心当たりの「こ」の字もない。

 早急に理由を知りたいところ。


 だがそんなことは言わずにただじっと黙っていると、問う間もなく向こうから話してくれた。


「お前のせいで俺たちがどんな想いで毎日を過ごしていたか分かるか? 大きなクエストをこなしてもいつも注目されるのはお前ばかり。終いにはお前がいるからパーティーが成り立っているなんてことを言われる始末だ」


「それが、追放の理由なのか?」


「ああ、そうさ! 俺たちだってお前と同じSランク冒険者なのにいつも日の目を浴びるのはレイン、レイン、レイン! プライドをズタズタにされて黙っているわけないだろ!」


 ズタズタにした覚えはない。

 というかこの話の筋からだと俺は嫉妬されていたってことになる。


 理由も嫉妬と周りからの自分たちの評価に対する恨みってところか。


 他のパーティーメンバーもバカにするような目で俺を見ていた。


「悪いが、今日限りで絶縁だ。もう二度と顔を出すなよ」


 そういうとゲイルは立ち上がり、他の仲間を引き連れてスタスタと消えていった。

 

 この出来事は春の訪れを感じさせる東風(こち)が吹く頃に起きたこと。

 俺は冒険者となって初めて入ったパーティーから追放されることになった。


 

 ♦



 俺の名はレイン・レイフォード。

 歳は20そこそこ。


 職業は冒険者で剣士をしている。

 

 そして冒険者等級は最高のSランク。

 一応冒険者界では頂点に位置する者だ。


 でも周りからはそう思われない時がある。

 

 特に見た目がその理由。


 俺は他者から見てあまり強そうには見えないらしい。

 かつて俺に剣技を教授してくれた師も俺を見て何の覇気もないと一蹴したくらい。


 見た目から溢れるモノが俺にはないらしい。


 だが、今は少し変わってきた。

 俺がS級冒険者になったからだ。


 目に見える功績を残したこともあり、周りからの評価も一気に変わった。


 だが、その評価は今やもうどん底に堕ちてしまった。

 

 また、振り出しに戻ってしまったのである。



 ♦


 

 翌朝。

 俺はいつものようにギルドへと顔を出す。


 いつもはパーティーメンバーと共にギルド内にある酒場へと集合するのだが、今日はそれがない。


 昨日、俺はパーティーから追い出されたのだ。


 もし誰かにそれでいいのか? と言われても俺は良いと答えるだろう。

 

 だってもう俺とパーティーメンバーの間には明確な溝が出来てしまっている。

 心も遠く離れた今、戻ろうなんて考えすら起きない。

 

 それに、もし俺が抜けて彼らが幸せになれるんならそれでいいとも思っている。

 

「今日はソロ用のクエストを受注しないとな」


 俺はいつも行くパーティー用のクエスト掲示板の反対側。

 ソロ用のクエスト依頼が張られている掲示板へと向かう。


(久々だな、ここに来るのも……)


 まだ冒険者を始めて間もない頃、よく利用した掲示板だ。

 それから一か月ほどして例のパーティーに勧誘されたんだけど。


 ま、それももう過去の話。


 今は今日の稼ぎのことを考えないと。

 生活がかかっているし。


「うーん、何がいいのだろうか」


 掲示板の中でじっと見つめ、考えている最中。

 俺はさっきから感じている周りの視線が気になった。


(さっきからなんで俺の方を見てヒソヒソと話しているんだ?)


 もちろん、会話は聞きとれないので何を噂されているのか分からない。

 だがその時だった。


「よぉ、裏切り者のレインさん。お前、ゲインさんのパーティーを独断で抜けたらしいな」


 背後からポンと肩に手を乗せられ、見知らぬ男から言われたのは衝撃の一言だった。

第一話をお読みいただき、ありがとうございます!

面白い、応援したいと思っていただけましたら是非ブックマークと広告下にある「☆☆☆☆☆」からポイント評価をしていただけると嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >だが、その評価は今やもうどん底に堕ちてしまった。 うどんは美味しいから仕方ないね。 という冗談はさておき、特段の断りが無いので、時系列に沿って物語が進行していると思いきや、後半部…
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