表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/42

女神と再会・3

短いです。

 それならば先ずは優先事項を決めてしまおう。現在私は12歳。あの屑が王子達に会わせてやると言っていたのが14歳。けれどもう既にお茶会で会ったし側妃の話を聞いた。つまりはあの屑との約束など無くなったのと同じ。まぁこっちは要らん約束を勝手にされたし屑は屑同士で足の引っ張り合いをしながら今回の事は話し合っているのだろう。出来るならばあと3年は此処に居て知識と体力を身に付けたい。さてどうしたものか。


 私の手駒はヤン1人。ヤンが私との約束を破ればその時点で奴を殺すのは当然として今のところ裏切りは無いからヤンを一応手駒扱いして良いだろう。油断はしない。信じれば痛い目を見る事になる。だから決して信じやしない。味方? そんなもの要らない。仲間? 犬にでも喰わせておけ。相棒? 鼻で笑って足蹴にしてやる。


 あれは手駒だ。前世では日本人の感覚が抜け切らなかった。だからこの国も世界も考えが理解出来なかった。生まれ変わった今は納得出来る部分が少なからずある。だがそれでも日本人の記憶がある以上受け入れ難い事も理解出来ない事も山ほどある。だからこそヤンは必要だ。この世界の在り方もこの国の常識も私より遥かに知っているあの男が。復讐するに当たり余計な手間はかけたくない。


 所詮旅をしていたと言っても屑共が居なくては何が食べられて何が食べられないのかさえ分からなかったような日々だった。1人で生きていける知恵がまるで無かった。なっちゃんが居たから1人で生きて行こうなどと思わなかったが、生まれ変わった今はなっちゃんが居ない。1人で生きて行く知恵が何もない。


 ヤンはその生きて行くための知恵を与えてくれる人間。ーーそれだけだ。何れ時期が来たらアレも捨てるがそれまでの間くらいアレが、ヤンが、いる生活を送る事は嫌ではないと思う。甘んじて受け入れよう。そのためにもヤンの言うことは聞いておくことにする。円滑な人間関係を築くための条件だった。


 あの屑はこの家を出て行く時に手をかける。


 これは決定している。だが今の私では純粋に力に勝てない。一応あんなんでも勇者として召喚されたなっちゃんと共に旅が出来た奴だ。あれから時が経っていても元々騎士として名を馳せていた男だったはず。そんな奴に簡単には勝てるわけがない。


 寝込みを襲うつもりだが、それでも気付かれれば終わりだ。さてどうしたものか。酒を飲ませようにもあの屑はそれなりに酒に強い。実際この伯爵家を訪ねて来るとワインの瓶を10本転がしても酔っていなかった。限界まで呑んだ屑を知らないから限界が分からない。だが、10本程度ではほろ酔い程度。ほろ酔いではその気になれば簡単に抵抗されてしまう。


 少し考える必要がありそうだ。


 屑1を屠っても屑2と接触してからどのように仕留めるのか考えなくてはならないし、この世界に呼び出したバカ王族共もどう料理してやれば良いのか考えなくてはならない。……チッ。やはり心身の成長と知識をもっと仕入れなくてはならないな。


 だが焦る必要はない。


 焦って復讐を果たせない事の方がばかばかしい。何のために転生した。何のために記憶がある。全ては屑共を、この国の王族共を滅ぼすため。それさえ忘れなければ、手段はきっと見出せる。


 ああどうやって殺してやろうか。

 殴殺? 刺殺? 毒殺?

 溺死? 圧死? 縊死?

 ジワジワと狂わせながら死なせたい。

 ゆっくりと痛みを味あわせて死なせたい。

 不様に命乞いをさせても希望を砕いて死なせたい。


 ああ、ああ、ああ。

 絶望に囚われた表情が見たい。泣き喚いて神に縋り付く姿が見たい。助けなど無いのだと知らしめて嘲笑してやりたい。


 こう考えている私は間違いなく精神異常なのだろう。だが、それがどうした。私となっちゃんが何をした? この国にこの世界に人々に何をしたというのだ。勝手に呼び出したくせに、なっちゃんの髪色だけで、嫌悪をし恐怖をし憎悪をした。そうして私達の世界に帰らせるでもなく朽ち果てよ、とばかりに野垂れ死にを押し付けた。


 そんな奴等がいるこの世界に国に人間に生まれ変わった絶望とそれを上回る復讐心。


 この復讐を果たすためならば、喜んで憎いこの国の人間に生まれ変わってやるさ。どうせこの身も復讐が終われば不要になるのだから。腐った身体には似合いの腐った精神。だから狂っている事も含めて私だ。


 さぁさぁさあ! 復讐を果たすために知識を蓄え身体を鍛え手駒を使って遠慮なく華麗に壮絶に。


 前へ進め!

お読み頂きまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ