女神と再会・1
『久しぶりだね』
私の呼びかけに、女神が死んだ時に会った姿で現れた。久しぶり、じゃない。
「簡潔明瞭で。何故再び異世界召喚をしよう、とか、腐った思考回路?」
『久々に会ったのに、無粋だ。まぁいい。……異世界召喚をしようと考えたのはね、王族の力を見せつけるため』
「は?」
王族の力? 何を言ってんの、あの腐れ外道ども。
『アナタ達と共に行動していた魔術師を覚えてる?』
「忘れるもんですか!」
『そうよね。それでこそ、アナタ。あの魔術師が王族を下に見るようになったの』
どういうことだ、と視線で問えば、女神は肩を竦めて話を続けた。
『そのままの意味よ。自分は王家に言われて魔物討伐をしていた。それによって力は王家より上だ……っていうのが、彼の言い分』
はっ。相変わらず自分本位な男だ。おかげで復讐するのに躊躇う必要も無い。元々手加減する気は無かったけど、遠慮なく叩きのめしてやる。
「それで?」
『まぁ仮にも王家が、臣下に馬鹿にされるなんて、屈辱も良いところじゃない?』
「まさか、その結果、再び異世界から召喚されるわけ?」
いくらなんでもそんなアホっぽい出来事で? 異世界召喚? 人の命をなんだと思ってるんだ、あのアホ共。
『そのまさか、だね』
「この国の王族はマトモなヤツが本当に居ない」
『まぁアナタ達が召喚されてしまって調子に乗っているね』
「で? 女神サマはアイツらの望みを叶えるわけ?」
『しない。さすがにそんなしょうがない理由で異世界召喚の手引きをするわけがない。それに。もうしないって決めた。アナタに言われた事を忘れてない』
「それは良かった」
『ただ』
「ただ?」
『私はこの国の守護女神だから、この国での異世界召喚は阻止出来るけど、他国がやろうとしたら止められない』
女神サマが悔しそうに顔を歪めた。一応私の味方を演じているらしい。……この女神だって私は信じていないのだ。
「……。他の国に干渉出来ないってこと?」
『そう。神の存在は私だけではない。私よりも力の強い神も弱い神も居る。但し私より力の弱い神は異世界召喚には関われない。アナタ達を招いた時、私の力も結構使った』
「でもあなたより力の強い神サマは簡単だ、と」
『私よりかは簡単でしょう』
「実際、どこの国を守護している神サマが?」
『大概の神は人の願いは叶えない。だから異世界召喚に関わることは無いと思う。そもそも異世界召喚の術があるのはこの国と周囲くらいだし』
そこで私は疑問に思う。
……何故、この国を含めたいくつかの国々は異世界召喚の術を知っているのか、と。
「ねぇなんでそんな術がそもそもこの辺りの国に伝わっているの?」
『実際呼び寄せたのはこの国のみだけど。私の前にこの国と周囲の国々を守護していた神が問題』
「どういうこと?」
『私の前にこの国と周囲の国々を守護していた神サマのイタズラ心がそもそもの始まり』
……。ちょっと待て。神のイタズラ心で人の一生を狂わせたのか? その神を此処に連れて来い。ぶん殴ってやるから。私が殺気を飛ばそうと考えているのが分かったのか、女神サマが叫んだ。
『落ち着きなさい』
女神の声に私は話を聞くべく落ち着いてやった。
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