復讐の下僕・2
久しぶりの更新ですみません。2ヶ月半も更新してなかった……。
刀○乱舞にハマりまくってたこと。
エブリスタでの執筆に必死になってたことが主な原因……。
流行の〜も直ぐに更新します……
「俺が守ります。それじゃダメですかい」
「ヤンが私を守るのは当たり前よ、護衛だもの。でもヤンが側に居ない時はどうしたらいいの? そう思うでしょ」
「俺ァ死ぬまで離れません」
「それで死なれても困るわ。……前みたいに、私の意思を無視して身体を蹂躙されるなんて、嫌だわ。夢に見るの。あの日々を」
ヤンは、ハッとして私を見る。あの日々の最初。
「お嬢……」
「何故かね。なっちゃんが1人で、魔物を退治するって。私は、嫌な予感がしたわ。でも、心のどこかで、騎士と魔法使いに何かされるなら、もう既に何かされていたはず。って警戒を忘れた」
ヤンの顔を見る気にもなれずに、私は俯いてポツポツと言葉を溢す。
「それが悪かったのね。先ず騎士に背後から身体を拘束され、魔法使いが直ぐに音を遮る魔法を使った。どれだけ叫んでも、ある程度の距離を超えられない。そんな魔法。そして私は……。あちらでは、恋人なんていなかったのよ、私。2人がかりで蹂躙されるまで清い身体だった」
息が詰まりそうになりながら、私はあの日々の最初を話す。
「お嬢、もうそれ以上は」
「ねぇ、私は……私となっちゃんは、この国に殺されたのよ」
「はい。……はい」
「だから強くなる」
「……はい。それでも。それでもダメだった時は、絶対に最後までお側を離れません。安心して、ください」
「絶対よ? 私より先に死ぬなんて許さないわ」
「絶対です。お嬢より先に死にません」
その言葉を聞いて、ようやく私は少しだけ肩の力を抜いた。
「お嬢のために、護身術を教えやす。ですが、お嬢が覚えられなくても、俺が必ず守りやす。ですから、お嬢」
「なぁに」
「先ずは、助かる事から学んで下さい」
「助かる事から学ぶ……?」
ヤンの言葉に目を瞬かせる。ヤンが頷いて、護身術の基礎を話してくれた。
「身を守る。それが基本。だから先ずは逃げるのが一番なんです」
「逃げるのが一番」
目から鱗が落ちるってこういう事。私は捕まってから、どうするか、という事しか考えていなかった。でも。確かにそうだ。捕まるよりも逃げるのが先決。なんでそんな簡単な事に気づかなかったんだろう。
「そう。先ず逃げる。捕まらない事が1番です」
「確かにそうね」
「という事で、お嬢は、体力作りと一緒に、逃げるって事で走りやしょう」
「走る……。それなら出来るわ、多分だけど」
「もしやお嬢……」
「ええ、遅いのよ……」
ヤンが、まさか、という表情で私を見る。私は重々しく頷いた。そう。今の私は分からないが、前世の私は、走るのも遅かった。持久走大会は、後ろから数えた方が良いくらい。徒競走だって、殆ど最下位という人間だ。
今世は、少しくらい早くなっていたいわ……。
「お嬢、頑張ってみやしょう。ね」
ヤンの慰めがちょっと切ないわ。まぁ全力疾走なんて、今世は未だ無いわけだし。うん。頑張ってみるわ。……そう勢い込んでいられたのも、それから1ヶ月までだった。
あの悍しい男が来るという。正直なところ顔は合わせたくないが仕方ない。それに復讐するときは、どのみち顔を合わせるのだから。ヤンからは、成人と見做される15歳に家を出られれば良い、と言われている。あと凡そ5年。その間に、護身術も勉強もある程度はモノにしたい。何しろ、前世より若干早くなっているとはいえ、今世も足が遅い方だ。
前世も今世も壊滅的な運動オンチぶりに我が事ながら、忌々しい。それなのに、あの悍しい男がやって来るなんて、これ以上無い程、苛立たしくなる。もちろんそんな事を考えていません、とばかりに微笑んでおくが。
「伯父様、お久しぶりでございます」
「おお。久しいな、サーシャ」
淑女教育とやらも施されている私の礼に、悍しい男が笑う。……くっ。気色悪い。思い出したくもない日々を思い出しそうになるわ。その下卑た笑みはやめて!
叫び出しそうな心を強引に捻じ伏せている私に、悍しい男は全く気付かず、爆弾を放り投げて来た。
「喜べ、サーシャよ。王子の婚約者候補にお前も選出されたぞ」
はぁ⁉︎
罵倒しなかった私を、誰か褒めて欲しい。だって、既にあの王太子を含む3人に既に妻が居るのよ? なんで、それで婚約者候補、なのよ。バカなの?
「王子様、結婚しているって」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ婚約者候補とか意味が分からないわ」
10歳にして大人びた事を言う私を、生意気な、とは思わないらしい。まぁ何でもいいけど。
「側妃だ。側妃決めが始まる。側妃は正妃にはなれないものの、地位は高い」
余計な事を。私は心底そう思った。
あと新作を書いてたので余計に更新を忘れてましたね。ついうっかり思いついて新作書いてました。すみません……