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最弱魔法使い  作者: 宇佐美林檎
3/4

ルーラは怯える

「どういう…ことです」

そう口にすると躊躇ったように先生が顔を背ける。

「…実は、100年後に世界を滅ぼすほどの魔物が動き出すのです」

険しい顔で先生はそう言う。

「そんな…今の魔物でも、精一杯なのに…」

「その魔物は回復をするそうで、貴女のような生徒には倒せないかもしれませんが、お願いしたいのです」

「そんなの…」

駄目だ、不公平だ…と言おうとして、そんなの私は…

「お願いしますね、では」

校長室に呆然とした私だけが残されて、私は…途方に暮れていた。


私は…家でずっと無視されていた。起きるとお金だけあって、それで買って食え、というのはわかった。寝る前なんて最悪だ。色々考えてしまって、泣けてくる。今だって寝る前だから…

(おかあさまはわたしにしんでほしかったの…?)

(おかあさまにとって、わたしは…なに?)

(おかあさまはどうしてわたしをむし、するの?)

(わたしはいきていてはだめだった…?)

「ぁ…ぃぁ…ぃ………」

「わたしは…」

「わた…」

「…ヒクッ」

といった次第で、いつも泣きながら寝てしまう。


今日、驚くべきことが起きた。いや、いつか起きると思っていた気がする。そう…家から追い出されてしまった。平民街…お金だけあるけど。

ご飯を買いに行くと、セオに会った。

「セ…」

「セオ!どうして帰ってきたんだい!母さんたちがお金貰えないだろ!」

「母さん、ごめんな…」

「謝って済むと思ってんのかい!兄弟3人を育てるのに大事だったんだよ!」

「ごめんな…」

「あんたは長男のくせに1番出来が悪いんだよ!魔法なんかが出来てもここじゃあ役に立たないよ!」

「ごめんな…」

「今すぐ出てきな!ここはもうあんたのウチじゃない!」

「セ、オ…」

セオのお母様が家の戸を閉めてからすぐにセオに駆け寄った。

「生きてたの…?セオ…」

「ルーラも…でも、なんでここに?」

「私も家、追い出されちゃってさ」

セオには私の新たな家で話をした。すべて…滅びること以外。

「ねえセオ、ウチ来なよ」

「え?いいの?」

「うん、2階が空いてる」

「でもさ…」

「流石にそういうことはなし、だよ?」

「了解しました…」

「あ、期待したでしょ」「別に…」「嘘だあ、したでしょー」「してなっ…」

セオと話すのは楽しかった。ずっとずっと…今のままが、よかった。

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