バイトを探そう!Ⅱ
TO☆U☆KO☆U します。
日常で申し訳ないです…Σ( ̄ロ ̄lll)
高橋さんと何気ない話をした後、修一は階段を駆け上り二階の207号室に入った。
そこは修一が借りている部屋で、六畳一間の1Kアパートで中学生で一人暮らしするには少し広めな一室を借りているのだ。角部屋なだけあって、陽当たりが凄く良いのだ。そんな部屋を修一はすごく気に入っているのだ。
修一はカバンから鍵を取り出して扉を開けて部屋へと入る。
「ただいまー」
一人暮らしなので、当然の様に返事が返ってくることは無いのだが、修一はあえて、家に帰るとこの言葉を口にしていた。それは、母親の躾で家に帰ってきた時は必ず「ただいま」と言うことを義務付けられており、小さなころから口酸っぱく教えられた我が家のルールのようなもので、今では習慣図いてしまっていた。
それは高校生になった今でも続いてる習慣だ。しかし、修一自身は気づいてはいなかった。その言葉を口するたびに修一は自分の楽しかった思い出が脳裏にフラッシュバックし、笑顔で過ごしていた家族を思い出して悲しみ寂しげな顔になってしまっていることに。
そんな寂しげな表情になっているとは知らず、修一はいつものように室内へと入った。
僕の借りている部屋は玄関のすぐ近くにトイレや洗濯機などの水回りの部屋がある。洗面台に移動し、手を洗ってから奥の部屋に進む。
「…………ん?」
リビングに入って僕はすぐに違和感に気づいた。
しかし、すぐに何事もなかったの様にいつも通りに行動する。
奥に進むとキッチンとリビングが一緒になった部屋に出る。部屋には木製の安物机に安物の椅子が設置されており、来客が来てもいいように念のために四つ椅子は用意してある。
壁の隅には僕の大好きな高校野球の甲子園ポスターと本棚が設置されている。
昔、親戚の叔父さんから貰っていた少ないおこずかいを貯めて買い集めた漫画を仕舞った本段だ。趣味は漫画鑑賞で、寝る前には必ずと言っていいほど読み漁っている。
僕はミニマリストほどではないが、そんなに物欲のある方ではない。
必要最低限の家具や食器、生活必需品しか買っておらず、基本的に部屋の中は殺風景に近い。キッチンは旧式のガスコンロなのだが、ガスコンロ本体は買っていない為、使うことはない。台所には冷蔵庫や電子レンジ、お湯を沸かすポットと食品カップ麺を大量に詰めたダンボール箱置いていない。そのため、部屋はほとんど殺風景に近い状態だ。
リビングに入ると壁の隅にカバンを立てかける。それからキッチンに移動して食器棚から二つのプラスチック製のコップを取り、冷蔵庫からレモンティーの入ったペットボトルと氷を取り出してコップに注ぎ入れる。注いだ二つのコップを持ってリビングの中央に設置している机の上に置いてゆったりと椅子に座る。そのまま誰もいない本棚に向かって声を掛けた。
「……いい加減に出てきたらどうですか? リー先生」
一見するとそこには誰もないのだが、良く感じてみると僅かにだが仙気を感じ取れる。
仙気とは、仙人の扱う特殊な力で、僕の使う力とは根本的に異なる。なぜなら、仙気とは自然そのものであり、自然エネルギーと呼ばれている。長い年月の修行の中で自然と一体化することで得られる特別な力だ。仙人は古来より、自然と同調し、ありのままを受け止め、自然と一体になった者たちで僕のようなポッとでの若造に見つけられるわけがないのだが、僕はあることで、すぐに仙人である師匠が来て潜んでいることに気が付いた。
「いつまで隠れるつもりですか、其処に居るのはバレバレですよ?」
「……ンッンッンッ 暫く見ぬ間にまた腕を上げよったか!わしは鼻が高いぞ!」
修一が見つめていた本棚の空間が僅かにぶれる。
ぶれて歪んた空間から一人の初老の男性が姿を現した。
「いや、僕が帰ってくる前に漫画読んでたんでしょ? 忍疾風伝の段の38巻と39巻が入れ替わってるし、海賊物語に関しては綺麗に並べておいたはずなのに順番がぐちゃぐちゃになってるじゃん。 …別に読むのは構わないけど、読んだのなら綺麗に元に戻しておいてよ…!」
「………感心したわしがバカじゃったわ。」
目の前で頭を抱える白髪の初老の男性……僕の師匠で育ての親の李佑先生だ。
李佑先生は中国系の人らしく、僕が一人ぼっちになってしまった事件直後に僕の目の前に現れ、そして消えた。消えたと思ったら、その数日後また突然に現れたのだ。
『……お主、面白いことになっちょるのぉ…!』
その後も叔父夫婦に引き取られた僕の元に何度も足を運んでくれたのだ。そして僕がどういう存在になってしまったのか、僕の中にいる化物のことや、その覚醒してしまった力に対しての制御や操作について色々と教えてくれた。様々な知識から技術をこの身に叩き込んでくれた事実上の師だ。
叔父家族からの陰湿な虐めから僕が曲がらず真っ直ぐ育つことが出来たのは間違いなくこの人の影響が大きい。性格は奔放で享楽的、それゆえに手に負えず何度もイライラさせられたり、後始末を何度もさせられた。そんな僕の苦労を知らず飄々としている先生に何度もキレそうになったが、不思議と憎しみの情は湧かなかった。
李佑先生は、世界でもたった数人しかいない仙人の一人だ。
その中でもでかなり偉い仙人様だそうだ。胡散臭そうな見た目をしているが、僕がそのことについて指摘すると、実際に色々と仙道力と呼ばれる力の一旦を見せてもらえた。
仙道と呼ばれる自然に満ち溢れる力を集め、己が体内の氣と練り上げた仙道は、僕や他の能力者とは違う感知不可能で摩訶不思議な力だった。なんせ自然と一体化してしまっているため、違和感すら感じ取ることが出来ない。それに魔力や霊力、妖力といった特殊な異能とは違って『自然エネルギー』を主に使う仙道は感知不可能だ。
そんなことがあって、一応、仙人様だというのは信じている。しかし…だ。とても偉い人には見えないので、胡散臭い仙人と僕は思っている。
「とりあえず席に着いてください。 僕がその本棚綺麗にするんで…」
僕はそう言って席を立ちあがり、先生がぐちゃぐちゃにしてくれた本棚の整理を始めた。どうやら忍疾風伝と海賊物語だけじゃなく…死神シリーズや化物シリーズまで手を出していたようだ。一応綺麗に並べられているようだが、所々片付けが甘い。まぁ毎度、先生が訪れると必ず漫画を読み漁っているのでいつものことではあるのだが、いい加減綺麗に並べてほしいものだと心の中で悪態をつきながら綺麗に並べる。
僕が整理している後ろでは先生が呆れた眼でこちらを見ながら「その几帳面な性格はいいとしてもじゃ… その物事を見抜く眼をもっと別なことに使わんのか…?」と嘆いているが無視だ。
僕は先生の言っているような凄い人じゃない。
僕はただの――凡人だ。
僕は几帳面ではない。ただへたくそに整理されていたので、違和感を感じただけだ。言ってみればただの偶然だ。違和感を感じて、よく観察すると妙な気配を感じただけなのだ。なんせ、僕はただの凡人なのだから。
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