ランク試験に向けて!Ⅱ
めっちゃ間が開いたΣ( ̄ロ ̄lll)
更新します。ゆっくりと更新を再開していきます。
※表現と一部加筆を加えてます(3/13)
今日からゴールデンウィークが始まった。明日の日曜日に行われる祝賀会と明後日の月曜日から始まる三日間のランク取得試験に向けて、僕は家を出た。今日からホテル渋谷のチェックインが解放されるそうなので、混む前に早めにチェックインを済ませておこうと思っての行動だ。
大阪から東京までの距離はおよそ500キロ。徒歩だと二十日間ほどかかる。タクシーや高速バスを乗り継いていくと約6時間。どちらにしても途方もない時間とお金がかかってくるので僕が選んだ移動手段は新幹線だ。当たり前だが、時間がかかりすぎる徒歩など論外。お金がかかりすぎるタクシーや高速バスは外す。そうなれば最も無難な手段は電車だろう。
僕は東海道新幹線に乗り込んだ。東京に着いてからはバスの揺られること数時間が経った。大阪の自宅を出てから約四時間後、僕は無事に渋谷にある試験会場があるという超高級グラウンドホテル前に到着していた。
「うっわ~~~ でっっけぇえ~~~! すっげぇええ~~~!」
目の前に広がる光景に思わずなんとも味気のない陳腐な感想が出ていた。
豪華な装飾ではなく控えめ装飾でありながらもどこか気品を感じさせる美しい超高級ホテルの入口を見てそんな感想しか出てこなかった。あまりにもの控えめな美しさを醸し出している光景に言葉を失いながらも僕はロビーへと入っていく。中は中で外とは違った美しさが醸し出されていた。
隅々まで塵一つ、埃一つ泣く丁寧に掃除がされており清潔感に溢れたロビー。豪華な展示品や有名絵画のレプリカを展示しつつもどこか落ち着きのある空間が演出されていた。
ホテル内に居た人たちはみんな綺麗なスーツをビシッと決めた人たちばかりであった。受付には華やかな服装に身を包んだ、思わず一目惚れしてしまいそうな美しい受付嬢と黒のスーツをビシッと着こなしたコンシェルジュがおもてなしスマイルを浮かべて僕の方を見ていた。
修一は思わず自分の服装を見直す。
市販のジーパンに黒のインナーにTシャツといった普通の服装。いや、キャリーバッグ内には一応動きやすい服装との記載があったのでジャージを持ってきている。あとは着替えの服が何着か。
どれもこれも一般市民の普通の服装と言ったものだった。しかし、今この空間はまるで中世ヨーロッパの貴族の祝宴会場のような華やかさを感じる。
………場違い感パネェ!?
僕がロビーでオロオロしていたらとフロントに立っていたコンシェルジュがおろおろしている僕に気づいたて近づいてきた。
「お客様、どうかなさりましたか?」
「…あ、えっと……そ、その…この案内状に今日から宿泊が可能だと聞いて来ました!」
僕は突然話しかけられたことにしどろもどろになりながらも鞄から案内状とパーティへの招待状を取り出してコンシェルジに見せる。何故だろうか?さっきから胸が妙にざわつく。
同じ異性同士なのに思わず見とれてしまいそうなくらい爽やかなスマイルだ。営業スマイルだというのに本心から笑顔になっている様に錯覚させられるほど素晴らしい営業スマイルだ。さらに目の前の男性、かなりのイケメンだ。整った容姿が繰り出された営業スマイル……僕がもし乙女だったら確実に一目惚れしていた。それ程凄まじい破壊力を持つ笑顔。お、恐ろしい。
(流石は一流ホテルのコンシェルジだ……す、スゴい!)
コンシェルジが僕が差し出した案内状を「確認させていただきます」と手に取り読み始めた。一瞬で案内状に目を通したコンシェルジュは僕の方に向き直り「ご案内させていただきます」と言ってカンウターへと招いた。カウンターに辿り着くとコンシェルジが受付嬢に話しかけて何やら話し込んだ。受付嬢が話し終えたのかカウンター後ろに設置されている豪華な装飾のされた棚からバインダーを取り出して僕の前に差し出した。
「派遣協会からのご招待されている『鬼瓦修一』様でお間違いないでしょうか? お間違えが無ければこちらの方に出欠の〇印とご署名をお願いします」
差し出されたバインダーに挟まれた紙には「出席/欠席:(ご署名)」が箇条書きで書かれていた。どうやらこの紙で出席確認を行っているみたいだ。僕の他にも六名が既にチェックインを済ませてホテルで寛いでいるようだった。
僕はバインダーを受け取り「出席」に丸印をつけて「鬼瓦修一」とサインを書き込んで受付嬢に渡した。受け取った受付嬢は僕の書いたサインを素早く目を通した後、これまた美しい営業をスマイルを浮かべて「確認させていただきました」と言った。僕がその笑みに思わず胸をドキマキさせて見惚れていると僕に鍵と茶封筒を差し出した。
「こちらが鬼瓦修一様の宿泊なさる部屋の鍵でございます。紛失のないように管理をお願いします。こちらの茶封筒の中身はパンフレットとスケジュール表、明日から始まるパーティと試験についての案内等が同封されてございます。後ほどご確認のほどをよろしくお願いします。 本日は渋谷グランドホテルにお越しくださりありがとうございます、ごゆるりとご寛ぎくださいませ」
華々しい営業スマイルを浮かべながら綺麗な一礼を披露する。受付嬢が一礼すると続けて隣に立っていたコンシェルジとカウンターに立っていた他の受付嬢も同じように綺麗な一礼をしてくれた。
僕はドキドキしながら急いで「こちらこそありがとうございました!」と言って速足でカンター横にあったエレベーターに乗り込んで『閉』ボタンを急いで押す。
「あははは…… ヤバい…本当にヤバい… ヤバいくらいに凄すぎるよ……」
これが超一流、これが都会のホテルなんだと感心させられた。胸がドキドキしすぎて心臓が飛び出してきそうだ。普通の一流ホテルとは違って日本有数の「超」一流ホテルのおもてなし。まさしく最高級で最上級の〝おもてなし〟に圧倒された修一であった。
※※※
チェックインを済ませた修一は案内された部屋のベットで寛いでいた。
さすがは超高級ホテル。一庶民が一生に一度泊まれるかどうかの豪華な一室であった。一人部屋だというのにダブルベット並みにデカいベットにふかふかのソファーに大理石の机。真っ白なシンクに冷蔵庫も完備されたまさにちょっとした豪邸の一室気分を味わえた。
ふかふかのベットに横になって寛ぎながら受付でもらったスケジュール表を確認する。
「う~ん……明日の会場は…四階か。肝心の試験内容についての記載は……ないか。明日発表としか書かれてないなぁ… これじゃ対策の立てようがないや。」
ランク取得試験とまで書かれているので合格、不合格は当然の様に存在する。合格なら無事取得できるだろうけど、不合格の場合はどうなるのかなど記載されていなかった。
手元のスマホで検索って見たけど出てくるはずがなかった。日本政府の紋章が使われているので政府公認の組織だと思うのだけど…何も出てこないのでおそらくは世間に発表されていない日本の公安ゼロのような特殊組織なのだと思う。
「はぁ~ ググっても出てこないな~……もういいや。ぶっつけ本番でいくか」
携帯を投げて頭を枕に沈める。調べても調べても出てくるのはオカルト系や中二病系のモノばかりヒットする。これじゃ明日の試験内容について全く分からない。でも調べても出てこないし、受付嬢かコンシェルジの男性に聞こうかと思ったが、そもそも調べても出てこないような中二臭い「能力者試験」なんて言葉を知っているとは思わない。
早々に調べるのを辞めて、明日はぶっつけ本番になるけど「まぁ何とかなるでしょう…」と楽観的に考えることにした。
考えることを辞めると少しお腹が空いてきた。そういえば今日は朝に食べて以来ずっと移動の連続だったので何も食べていない。移動中にガムを噛んでたくらいだ。一応宿泊費にはホテルでの食事代も含まれているのでホテルのディナーを食べることが出来る。
お腹が空いていたので茶封筒の中に入っていたホテルのパンフレットを確認してディナー開始時間を調べる。どうやらホテルのディナーは夕方六時から開始のようだ。今はまだ三時…夕食には少し早いが小腹がすく三時のおやつの時間だ。ルームサービスでも頼もうかと受話器近くにあったメニュー一覧に目を落として思わず目を見開いた。
「な、な、な…なんだこの値段はァ!?!?」
コーヒー&パンセットなどの軽食メニューから始まりガッツリとしたメニュー、さらにちょっとしたお菓子まで販売していた。しかし、修一が驚いたのはそのメニューの豊富さからではない。そのメニュー一つ一つの値段が想像していた遥か斜め上の次元へと突破していたからだ。
「こ、これは……っていうかコーヒー一杯が1,800円⁈ …ぼったくり価格だろ!?」
その辺のコンビニ価格の約二倍…ヘタをすれば三倍以上の値段が付けられている。どれもこれもが似たような価格設定だ。どこぞの高級レストランだよ⁈
うなだれる修一。あまりにも高いそのメニューに頭を悩ませる。お金は極力使わない、出来る限り節約をするという節約根性が沁み込んでいた修一は、このあまりにも法外な値段を見てルームサービスを即座に斬り捨てた。これなら夕食時のディナー開始時間まで我慢したほうがマシだ。幸いにもホテル宿泊者はホテル内に設置されているレストランのディナーは無料で食べられるそうだ。
「……ここは我慢するしかないのかな?」
しかしお腹が空いているのは事実だ。今もぐぅ~っとお腹が鳴っている。
ガッツリ食べたいとは言わないが軽くサンドイッチなどの軽食は食べたい。
おもむろに鞄から地図をを取り出して周辺を調べる。どうやら近くにコンビニがあるようだ。それも複数店。幸いにもこの辺りはコンビニ密集地帯のようだ。徒歩五分圏内に三店舗も展開されている。少し足を延ばせば喫茶店もあるみたいだ。
修一はキャリーバッグから取り出したショルダーバッグに財布と携帯電話、この部屋の鍵を詰め込んで部屋を出る。ホテルの鍵はオートロック仕様なので入る時だけ鍵が必要になるタイプだ。ガチャッと音が鳴ったことを確認してエレベーターで一階のエントランスへと向かうのでだった。
――――ホテル エントランス前
修一が部屋でお腹を空かせて悩んでいた頃、ホテル前に一台の黒塗りの高級車が止まっていた。その車の中では清楚感のある黒スーツ姿の青年が隣に座る青色のフォーマルドレスに身を包んだ少女に報告していた。
「誇香様。 試験会場であるホテルに到着しました」
「……そんなの見ればわかるわよ! まったく…なんでもかんでも報告すれば良いって訳ではないのよ、長戸」
報告を受けて不機嫌そうに逸る少女――柊誇香は注意したのにも関わらずニコニコとしている柊家の若い従者である青年――神林長戸を見てため息を付いた。
彼は本家である柊家に仕える神林家の青年で、誇香の幼い頃から付人として支えてきた人物である。
柊家——能力者にして〝精霊術師〟で日本最大にして世界有数の能力者一族である。
柊家の現当主である柊孝充は教会が定めた最高ランクであるランクSSの能力者。そして、その筆頭格として必ず名の上がる男だ。
そんな男の一人娘である誇香は幼少期から英才教育を施されており、護衛として当時、最も彼女と年の近く才気溢れる人材であった長戸を誇香の傍付き兼護衛として着けていたのであった。
誇香はそんな彼のことを実の兄の様に慕っていた。しかし性格がら素直になれずにいたのであった。
そんな気持ちを知ってか知らずか、長戸はそっぽ向いて拗ねている誇香を見てニコニコとしながら助手席に座っていたSPに首をクイッとして合図を送る。助手席に座っていたもう一人の従者である青年が下りて車のドアを開ける。
「では、参りましょうか。誇香お嬢様」
ニコニコと笑みを浮かべたまま誇香へと顔を向ける長戸。そんな彼を見て彼女はもう一度深く、そして短いため息をこぼしながら従者が明けたドアから颯爽と降りてロビーへと向かっていった。
「送ってくれてありがとう、爺や。 帰りにまた連絡するよ」
「いえいえ。長戸坊ちゃんもご苦労様です。 ランク試験、この爺やは期待しておりますぞ!」
「あははは… 私もお嬢様の従者として相応しいランクを取ってくるつもりだよ」
頑張ってくるよっと言い残して長戸は降車した。扉をガチャッと占めると車は運転席に座っていた爺やはペコッと頭を下げて発進していった。本日は長戸が使えている本家の一人娘である柊誇香様と共にランク取得するためにやって来たのだった。
「さて…いっちょ頑張りますかね!」と気合を入れてホテルへ顔を向ける。お嬢様は先にホテルに入ってチェックインを済ませてるに違いないと思っていたら、どうやら違ったようだ。ホテルの入口付近で従者を複数連れた男で口論になっていた。
(……またですか)と半場諦めながら大きなため息を吐いた。早く止めないといけないなぁと思いながら言い争っているお嬢様の元に向かおうとすると、何やら先ほどよりも騒がしい。お嬢様も向きになって怒鳴り返していた。
やがて男の方がエキサイトしすぎて逆上して、何を思ったのか拳を高く振り上げてた。
「や、やばいッ!」
長戸は急いで殴られそうなお嬢様の元へ……——否、違った。
その逆上して拳を振り上げている男の元へと急いだ。
(こ、このままでは…お嬢様が人殺しになってしまうッ‼)
長戸は急いだ。全力で。お嬢様を何としても護る為に。お嬢様だって年頃の女性だ。昔と違って今はお淑やかさが目立っている。きっと立ち止まってくださるかもしれない。そんな淡い願いを抱きつつも全力でお嬢様の元へと走った。
しかし――無情にもその願いは届かず、間に合わなかった。
―—刹那
雷鳴と強い稲光が周囲を鳴り響いた。
まるで本物の雷でも落ちたかと勘違いするほどの雷鳴と稲光。強い光に思わず目を閉じる長戸。ゆっくりと目を開けるとそこには手を振り抜いた姿で止まっているお嬢様と光で眼をやられて目を抑えて倒れ込んでいる従者。そして何より、お嬢様の目の前で黒焦げの死に体となって倒れている男らしき人影。
(…遅かったか……)
さすがは世界に五人しかいないランクSS能力者〝雷霆〟の一人娘。その力は見事に受け継がれていた。怒るとすぐに手が出る荒々しい性格まで。
そんな光景を見た長戸は今日一番の長いため息を吐いて頭を抱えるしかなった。
※※※
「うおっ⁈ なんだ、今の音は!? か、雷か!?」
ロビーまで降りてきた修一は突然鳴り響いた雷鳴に驚いていた。カウンターの受付嬢もコンシェルジュの方も突然の轟音に驚いてなんだ何が起きたのかと、慌てふためていた。
次回から「ランク取得試験編」の開幕予定です。ほんとになるのか不明。
もう誰も見てないだろうと思ってゆっくりと更新していきます。
月1~2回の頻度で更新予定。




