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名付けられちゃった。

ふと目を覚ますと、誰かの腕に抱かれてユラユラと心地よく揺られているところだった。

誰かは大体予想がついている。このがっしりした筋肉の感触はパパさんだ!!

『一応正解ではありますね。』

フッ!やっぱりな!!俺を誰だと思ってるんだ!!

『現時点で名無しの赤ん坊風情が何を言ってるんですかね?』

いやいや、ちょっとしたジョークにまで反応示してもらわなくてもいいんだからね?

と何でも突っ込んでくるティナ=オガさんに苦言を呈していると、良い匂いが漂ってきた。

『ティナです。オガはいりません。』

目の前にズラッと並ぶ料理の数々に目を奪われる。どこぞのうるさい声はもう聞こえない聞こえない・・・。

色彩豊かで肉と野菜が部位だか箇所だか知らないが、何種類もある。

うわぁ~マジ美味そう食べてぇ~!!

そろ~りと二人にばれないように手を伸ばすが、パパさんに持ち上げられているもとい抱えられてる俺の場所からでは例え腕がいかに長くとも人間の腕の長さじゃ届かないし、確実にばれる。

くそっ!!人間なんかにならなきゃよかった!!

『私の意見を無視してまで自分で決めたくせに、たかが食事程度のことで意見を変えられるのは釈然としませんね。』

いやっ!!俺がティナさんの忠告を否定してなかったらっ!!ドラゴンになっていたら人間からの献上品をお腹いっぱい食べれただろうに!!

我等が守護神様~とか言われて崇め奉られていただろうに!!

『いえ、それは無いかと。ドラゴンは人間からしたら天災のようなもの。ドラゴン自身も人になど興味も示さず、味覚も違うので食べても対して美味しく感じなかったでしょう。』

いや〜やっぱり人が最高だよね〜。

ドラゴンになっても性格が変わったりはしないだろうけど、こんな悪態ついてくる人と二人はキツイぜ。

『ほぅ、そんな方がいらっしゃるとは。』

え?自覚がお有りにならなかったと?

『自覚?おそらくその方は頭の弱い方と2人なんて耐えられなかったのでしょう。』

あ、頭の弱いぃっ!?

だ、誰の事か怒らないからね?言ってみなさいティナちゃん!?

俺達がそんなやり取りをしている中、パパさんとママさんは俺の名前を決めようとしているみたいだった。

「俺はカッコいい名前が良いと思うんだ。」

「それも良いですが、私はこの子には誠実な名前が相応しいです。」

バチッと視線の間で火花のようなものが弾けた気がした。

「ブレクだ」「リユンよ」

正直ネーミングセンス皆無な俺からすればどっちが良いのかまるで分からない。

『ブレクは御伽話の英雄でリユンは現在では使われてない言葉で誠実や美徳を意味する言葉です。』

あ、そう。とは言えどっちみち俺に決める権利無いんだけどね。

『そうですね。自分で自分の名前を決めるなんて自己主張激しすぎですね。主様の場合は名前の前に"闇の"や"黒の"等の2つ名があれば特に気にすることも無いでしょうしね。』

グフッ!な、何故俺の黒歴史をっ!!

『各々が憑く神候補の情報は事前に用意されていましたので。』

はぁ!?お、お、お、俺の黒歴史を盗み見やがっただと〜?

断固抗議する!!プライバシーの侵害だ!!俺の心の自由を返せ!!

『用意したのは我が神なので、あしからず。』

何ぃ!?ふざけやがってっ!!そいつぶん殴ってやる!!

『不敬ですよ下等生物(ダニムシ)。神を害する事が出来るのは同じ神だけ。神になればあらゆる事が自由で、惑星に住む生物全てを釜茹でにしようとも殺し合いをさせようとも誰も咎めることが出来ません。』

いや、怖ぇ〜よ!!例えがスプラッタ過ぎだろ!!

だがしかし!!それならば俺は神になろうじゃないか!!

『っ!!ま、まさか今言ったことを実現するつもりで‥‥‥っ!!』

ファッーーーーク!!そんな訳ねぇだろ!!

お前が言う神をぶん殴りにだよ!!

『あ、はいー。出来ると良いですねー。』(棒)

HU、確固たる目的を見つけた俺に興味無いアピールなんて

KI KA NA I ZE?

『うわぁ〜調子乗ってますね。新たな黒歴史確定。』

何とでも言いな。しかし神になるなら名前を相応しい感じにしたいな。

そう考えていたら、俺に未だ言い争っていた両親がこっちを見た。

「ほ〜らぁ〜。リユンもリユンって名前が良いわよね〜?」

「いや〜ブレクにはブレクって名前のほうがカッコ良いよな〜?」

「「ね?どっちが良い?」」

あ、圧が凄い。しかし名は体を表すとも言うし、神に相応しい名を付けるべきだろう。

「ぇぅちゅ!!」

フフフ。完璧だ。先程は神を殴るなどと野蛮なことを言ったが、俺は大人だ。傍若無人な神を時には大人の包容力で、時には王の厳格さを持って接する俺に相応しい。

「「えうちゅ?」」

は?ゼウスだ。北欧神話で言う神の王だぞ。

「‥‥‥テウムか?」

「‥‥‥レユスかしら?」

違う違う!!ゼウスだ。

「なるほど。流石は俺の息子だな。剛毅の英雄ゼンムと似たイントネーションでなおかつ勇敢を表す強者の五文字を入れてくるとは。」

「うふふ。やっぱり私の子ね。美しさを表す美徳の三文字を素直の意味を持つレとスで挟み込むなんて良い名前ね。」

「「‥‥‥は?」」

い、一触即発じゃないか!?

『そうですね。私としては名は体を表すというので“ドロ”とか“汚水”とかで良いんじゃないですか?』

話をややこしくしないで!!

「‥‥‥なぁ?テウムの方が良いよなぁ?テウムぅ?」

「あらぁ〜レユスの方が気に入ったわよね?ね?」

ズズィッと顔を近づけて凄まじい圧がビリビリと伝わって

い、い、いや〜〜!!


何か何時の間にかテレウスになってた。ゼウスの面影‥‥‥‥。

と、言う訳で俺の名はテレウスだ!!よく考えればわざわざ有名な神の名前を使わなくても、俺の名を広げていけば良い話だよな!!

『既に英雄神テセウスに名前が似てますけどね。』

ファーーーック!!

それは俺も思ったけど!もぅ、そういう事言わない!!

『良いじゃないですか。所詮どこまで行ってもパチモノにしかなれないってことですよ。

【名は体を表す】でしょう?』

名前がテセウスのパチモンだからか!?

嫌だわ!!そんな運命!!

『さぁ、テレウス様!!貴方の岩をも持ち上げる怪力と賢知の王と称される頭脳を持ってしてもこの試練は容易いものではありませんよ?』

それ、テセウスだからっ!!

いずれ越えるつもりだけど、それテセウスだからっ!!

『んんっ!!失礼。名前が似てたものですから。』

テメェ!!今日という今日は赦さずんっ‥‥‥噛んだ。

『‥‥‥やはり主様は主様ですね。』

そんな感じで俺はテレウスという名を手に入れたのだった。

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