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未成年の少年

作者: 華也(カヤ)

少年犯罪にちょっと違和感を覚えたので、書いてみました。

『未成年の少年』




著・華也(カヤ)



15歳の冬、世界の仕組みを知った。

理不尽な世の中を知った。

生きるに値する人間は死に、死ぬに値する人間が生きる。

この世界のズルさを、汚さを、理不尽を。

それを知ってしまった。

16歳の冬。

僕に別の名前が与えられた…


───────


この世界は理不尽な事に溢れていた。

未成年はどんなに残虐な犯罪を、殺人を行なっても、死刑にならず、のうのうと生きているという事実。

知りたくは無かった。

悪い事をした人間は罰せられる。

だから、親に、教師に、悪い事はしてはいけないと躾けられたのだから。

どんな理由があろうと、人を殺めてはいけない。

そう言われ、世界の見えない道徳に従って生きてきた。

今や小学生ですら、スマホを持っている。

携帯ではない。スマートフォンはPC を小型化したのを持っているのと同義だ。

どんなサイトへのアクセスもできる。

過去にあった未成年の残虐な事件の、その後を知ってしまった。

釈放され、普通の生活を送っている。

未成年の人は、人を殺しても許されると、法律が定めていると、うがった見方をしても仕方の無い事だと思う。

正直、それに値する正当な理由があれば、許されてもいいと思う。

酷いイジメ。己という人間を守るための防衛行動が、結果殺人につながってしまったのなら、私は加害者を責める事は出来ないと思う。

どんなに被害者の親や友人が擁護しようとも、そんな人間が大人になってロクな人間にならないと思うからだ。

それとは正反対の、なんの罪も無い人間が、残虐な…残虐という言葉にさえ足りないほどの殺しをしても、死刑にはならず、被害者の苦しみも理解もせず、将来がある、きっと良い人生が待っていたであろう人の人生を奪っても、被害者の関係者が許さずとも、法は、世界は許そうという仕組みになっている。

調べれば調べるほど頭がおかしくなる。

僕の信じていた正義は、この世界には無く、犯罪者を守るために法律があるように見えてしまう現実が、僕は許せなかった。

なんでこんな結論になったのかはわからない。

悪い情報だけを頭に詰め込んでしまったからなのか。

一番感受性が豊かな時だからなのか?

でも、そういう結論に僕の脳は、理性は、本能は答えを導き出した。





















未成年の間は、人を殺しても許される。





───────


16歳の冬が訪れた。

人生で一度しか訪れない、16歳の冬。

外で吸う冷たい空気は、肺を冷やし、口から二酸化炭素と共に白い煙になって吐き出される。

まだ12月になったばかり。

最近は、四季というものが無くなった気がする。

夏と冬しかないような。

暑いか、寒い。その2択しかないと思えるほど、この国はおかしくなっていた。

この世界を実質的に支配している人間が、そもそもおかしいのだ。

世界がそんなのに合わせる義理はない。

世界も悲鳴をあげているのかもしれない。人にも聞こえない、「助けて」という短くも切実な悲鳴を。

もう何にも期待はしてない。

人間にも、世界にも…


───────


何もしてなくても奪われる側になる事もある。

天文学的数字でも、それは唐突に訪れる。

毎日、ニュースを見ていればわかる。

誰かが毎日死んでいる。

自殺、事故、殺人。

自殺は、自分に与えられた最後の権利であると僕は思う。

字を読んでのごとく、自分を殺す。

唯一許される殺人だと思っていた。

事故は、もう自然現象に近しいのかと思う。これこそ、天文学的数字というのが当てはまると思うから。

その場にいなければ。

あと数分遅れていれば。

もしも、もしも、もしも。

被害者は右を向いたか、左を向いたかの差で決まる。究極に言うと、運というやつだと思う。

それが飲酒運転による事故に巻き込まれては、事故と殺人の両方だと思う。

でも、未成年であれば、死に値する罪ではなくなる。

どんなにお金の保障をしようとも、亡くなった人は戻って来ず、被害者は泣き寝入り。一生の傷を抱えたまま生きていく。

加害者はどうだろう。

常識ある人が…いや、飲酒運転する時点で常識があるとは思えないけど、仮に常識がある成人した人が加害者であれば、その傷を背負って、罪の意識を背負って、生きていけるのか?死んでいけるのか?

なら、それが未成年だったら?

…きっと彼らは最初の1年だけは罪に溺れるかもしれない。

でも、3年、5年もすれば忘れるのではないのだろうか?

そう。

全て、未成年なら許される行為になってしまうこの世の中がおかしいのだ。

世間は許さずとも、世界の、この国の法は許される。

いや、許してくれる。

反省している、後悔しているという言葉を吐けば、更生の余地ありと。

法が許す。人は許さずとも、人が作った法が許す。世界が許す。

だって、7人も殺した僕を、法が、世界が許したのだから。。。


───────


(このメッセージを誰でもない貴方たちに送ります)

【ここでニュースです。

非常に残虐な事件が起きてしまいました。16歳の少年が、同級生7人を殺害した容疑で逮捕されました。

現場から中継があるそうです。

リポーターの◯◯さん】

「はい。こちらは殺人の現場となった少年の自宅アパート付近です。

少年は親元を離れて、こちらのアパートに一人暮らしだった模様です。

少年は被害者の同級生を1人ずつ自室に呼び、包丁を使って殺害したと供述しています」

(報道規制されてる。本当は違うよ。みんな違う殺し方をしたよ。その事については言及しないのね)

【◯◯さん。加害者の少年は、被害者の同級生とのトラブルは何も無かったと発表されてますが】

「そうなんです。少年は、被害者の同級生とは、トラブルもなく、普通に教室でも仲良く話してる姿が見られていたそうなんです」

【では、理由もなく無差別に同級生を殺したという事になるのでしょうか?】

「逮捕時に少年は"嫌な事をされてカッとして殺してしまった。後悔してます"と供述しているそうで、見えないところでのトラブルが原因かという見解もされてます」

(なんにもなかったよ、そんな事。でも後悔はしているよ。だって本当はクラス全員殺すつもりだったんだから。(7人しか殺せなくて)後悔してますって意味だから)

「今回の事件を受けて、7人の被害者遺族、そして同じクラス、学年、学校の子供達は深い悲しみに包まれてます」

【わかりました。引き続き、取材をお願いします。

では、今回犠牲となった被害者7人の同級生、◯◯さん、◯◯さん、◯◯さん…。】

(ほら、死んだ人の名前と顔が晒された。僕の名前も顔も報道されない。ネットで晒されても、どうせすぐに忘れ去られる。今までの事件のように、僕が外に出る頃には、誰も覚えてない)


───────


【先日起きた、同級生7人殺人事件。

非常に残虐極まりない事件でネットではこう呼ばれているそうです



"16歳の殺人鬼"



検察、遺族側は死刑を求刑していますが、少年の弁護士団は、未成年であることから、まだ精神も未熟で更生の余地あるとしていますが…】

("16歳の殺人鬼"…。

後世にずっと囁かれ続けるのかな。

"16歳の殺人鬼"が起こした同級生殺人事件って。


死刑ものだよ。



でもならないよ。




だって僕は






未成年だから。





END

私の中の闇が全開で出てしまってますね(苦笑)

あくまでフィクションとして、一つの考えとして、一つの歪んだ世界の構造として読んでください。

この世界は歪んでいる。

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