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トップアイドル


都会の小さな雑居ビルのこれまた小さなテナントの一部屋。

そこに、ナナが所属する芸能事務所がある。


「おはようございます!電車が遅れてしまって。。。」

「おせぇぞナナ!早く始めろ!」

オニ、と呼ばれているコーチがナナを叱る。


レッスンの時間に遅刻するナナ。

とはいえ、アイドルのレッスンとは程遠い。ダンスや歌を練習することはなく、握力を鍛えていた。バネのついたグリップを何度も握っては離す。

昨今のアイドルは、単なるテレビの中の偶像では無い。ライブだけではなく、それよりも近づける場所がある。

それが、握手会だ。


ファンは握手会参加のチケット付きのCDを購入し、アイドルと握手ができる。

アイドルに会いたいファン、商業を成功させたい業者の間に成り立つ素敵な仕組みである。

無数のファンとの握手には、握力が欠かせない。その為の日々のレッスンである。




練習中のナナに、女性マネージャーが現れた。


「今日は14時から声帯、16時から頬骨よ」

「はいっ!」

元気よく答えるナナ。



スケジュール通り、ナナは声帯の手術と頬骨を削る手術を終えた。



アイドルは作れる。



痛みに耐え、ナナの容姿は完成した。

すらりとした背丈、スタイル、鮮やかなでサラサラな髪の毛、全ての男を捉える眼差し、妖艶な口元、それでいて幼さの残る顔立ち。



「よし、それじゃあ握手会に行こう」



ナナの向かう握手会の会場は、とても大きな会場である。


ナナは、トップアイドルの影武者なのだ。握手会の為に作られたアイドル。本物のアイドルが握手で握力を無くさぬよう、また、狂ったファンに襲われた時の保険として用意されたアイドルなのだ。



ファンは誰1人として、本当の彼女を知らない。

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