# 1
─ あっつい。
おかしい。
こんな日に、気温40度近い日に水着だけを着て、学校の屋上にいるとか、おかしい。
焼けるし、水が日光を反射して眩しい。
そして、私は日光がダメだ。
私の、他の人たちとは「ちょっと違うこと」のせいで、体温がとても変わりやすい。日光を浴びすぎて体温が上がり過ぎたり、寒いところに居過ぎたりして体温が下がると、死んじゃうのだ。
さらっと言ったけど、本当はすごい大変なことだ。「死んじゃう」というのは。
このことを知らなかった時は危ないことがたくさんあった。
炎天下の下、公園で遊びすぎて(といっても20分ぐらい)倒れるまで気づかないとか、雪だるまを作っていて夢中になっていたら(これは10分)凍死しかけるとか。
その度に、私と似た力を持つ母が助けてくれた。
だけど今は─
私は、すーっと息を吸い込み、頭の真ん中あたりにある、「何か」のプレッシャーを下げ、同時に左の手のひらに、右手の人差し指と中指で感情線と頭脳線に沿うように斜めに線を引く。
すると、体の周りを何か冷たいオブラートのようなもので包まれるような感覚があり、体温が下がり、日光のチリチリと肌を焼く感覚が消えていく。
─ ふう。
そう。
私は、自分の体温を自在に操る事が出来る、スーパー少女なのだ。