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微笑み

雨が、降っていた。


灰色の雲から、色を空に忘れてしまったかの様な水滴がアスファルトを叩く。

付けっ放しのテレビからは、台風の接近を伝えるアナウンサーの声が淡々と流れていた。

不意に、微かな鉄の匂いが鼻を掠める。

ふと手元に視線を落とすと、紙で切ったのであろう切り傷から、鮮やかな血が伝っていた。


ああ、この感覚


嫌になる。




降り荒ぶ雨音も、

灰色の入道雲も、

妙に鮮やかな血の赤も、


重なる。


ーーそうだ、あの日も、雨だった。




窓を激しく叩く雨音の中、

モノクロの世界から逃げるかの様に、

俺は目を閉じた







獅郎(しろう)







声が、聞こえる。


居るはずの無い、彼女の声が。




恵莉(えり)()…?」




そう零して、そんな自分を嘲笑(ちょうしょう)する。


幻聴まで聞こえる様になるとは。


成長の欠片も見えない。


あの日から、どれだけの時間が過ぎた?


忘れた訳じゃ無いだろう?


彼女は確かに、あの日……



あの時の光景を思い出しそうで、くしゃり、と髪を乱す。


水でも飲もうと顔を上げた時だった






ふわり、とした栗色の髪、

慈愛に満ちた翡翠色の瞳、

柔らかな金木犀の香り、






「ー獅郎、久しぶり」







見まごうことの無い、

昔と同じ微笑みが、

俺の目の前で咲いていた。











(夢なら、早く覚めてくれ)

(目覚めた後に、)

(彼女の偶像を、探してしまわぬ様に)










拙い文章ですが、連載していきたいと思っていますので、温かい目で見ていただければ幸いです(๑′ᴗ‵๑)

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