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第22話 私たちは、特別だと認識されました

翌日から、視線が変わった。


「……見られています」


私は、廊下を歩きながら小声で言った。


「だな」


レオンも、苦笑気味だ。


理由は明白だった。


・特別隔離対象

・解除後、即座に安定

・同時行動指定


噂にならない方が不自然だ。


「ねえ、あの二人って……」

「ペア管理の……?」

「実験体じゃないの?」


囁き声。

好奇と警戒が混じった視線。


「……環境ストレス、軽度」


私は自己診断する。


「問題ありません」


「強がるな」


レオンが、少し距離を詰める。


肩が触れる。


それだけで、

胸の奥が落ち着く。


「……補正、確認」


教室に入ると、

空気が一瞬止まった。


だが、教師が入ってきて流れは戻る。


「本日より、新演習課程に入る」


黒板に、大きく文字が書かれる。


【連携実戦演習】


「今回は、ペア単位での参加とする」


ざわめき。


「なお、指定ペアは――」


一拍。


「アリア・エインセル、レオン・ヴァイス」


完全に、注目が集まった。


「……想定内です」


私は、小さく言う。


「心の準備は?」


「あります」


正確には、

彼が隣にいる。


それだけで十分だ。


演習場。


複合魔法領域。

複数属性が干渉する、高難度フィールド。


「通常なら、三人以上が推奨される」


教師が説明する。


「だが、君たちは二人だ」


意味は、明白。


試されている。


「……役割分担を提案します」


私は、即座に言った。


「私が魔力制御・増幅」

「あなたが、判断と展開」


「了解」


短い返事。


演習開始。


結界が展開され、

疑似敵性体が出現する。


「……魔力、供給開始」


私が集中すると、

彼の魔法陣が、明確に強化される。


「……来る!」


彼の判断は、正確だ。


私の魔力は、

彼の判断に引きずられない。


重ならない。

邪魔しない。


――噛み合っている。


「……数値、想定以上」


私の魔力出力は高い。

だが、暴れない。


彼がいるからだ。


「右、抑える!」


「……了解」


指示が、自然に通る。


敵性体が消滅。


演習終了。


沈黙。


数秒後――


「……成功だな」


教師が、静かに言った。


周囲が、どよめく。


「二人で、ここまで完成度が高いとは」


私は、息を整える。


「……確認します」


教師を見る。


「これは、偶然ですか?」


教師は、首を振った。


「いいや」


「君たちは、すでに一つの系だ」


系。


魔法理論で言えば、

一体として扱われる存在。


胸の奥が、

静かに熱を持つ。


「……私たちは」


私は、彼を見る。


「二人で、成立しています」


レオンは、少し照れたように笑う。


「今さらだろ」


「……はい」


この日。


私たちは、

学園に認識された。


“危険な個”ではなく。


「完成しつつあるペア」として。


そしてそれは――

新たな試練の始まりでもあった。

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