エピローグ
エリック見送って神社に戻ろうとしたところで、
「朱莉さん」
と、私を呼ぶ声を呼ぶ声がした。振り返ると、水色のシャツを着た拓斗が立っている。
ここまで全力で走ってきたらしく、肩で息をしていた。
「あら拓斗くん、こんばんは。どうしたの?」
「桃花、桃花はもう帰りましたか?」
「ええ、さっきオリビアさんと一緒に帰ったわよ。残念だけど、少し遅かったわね」
「そうですか、ありがとうございます」
拓斗が桃花の家のを方を見た。
「十分以上前に帰っていくところを見たから、さすがに今から追い付くのは無理じゃないかしら。そろそろ到着してる頃よね」
私がそう言うと、拓斗は諦めた様子で、引き続き息を整えていた。
「桃花ちゃんたちのおかげで今日はとっても楽しかったわ。今度は、拓斗くんが桃花ちゃんを楽しませてあげてちょうだいね」
「はい。あと、俺、朱莉さんにも用があって」
「私に?」
私が答えると、拓斗はカバンから一冊の本を取り出した。それは三百ページくらいありそうな単行本だけれど、表紙が真っ白だった。
「これ、さっき出来あがったばかりの新しい小説です。でも、まだタイトルが決まっていません。朱莉さんが決めてくれませんか?」
「それは責任重大ね。どうして私に?」
「朱莉さんが教えてくれた、笹川神社の高台の花火伝説を題材にしているからです。俺自身の話も入ってるのでちょっと恥ずかしいんですけど、この神社のことなら、やっぱり朱莉さんにお願いするのがいいかなと」
顎に指をあてて、数秒考える。
「まるで煌めく花火のように」
昨日教会でエリックが言った言葉が、自然と口からこぼれ出た。
「ありがとうございます。それにします」
「えっ、本当に? 私、まだ中身を読んですらいないのに」
「はい。すごくしっくりきました。あ、その本は差し上げるのでよかったら読んでください。じゃあ俺、桃花の家に行くので」
カバンのファスナーを閉じた拓斗が、慌しく走り去っていく。
すっかり静けさを取り戻した神社の入り口で、エリックそっくりの後姿が見えなくなるまで、じっと見つめていた。
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