第二話
翌日、学校の昼休みに、カトレアは、サラとランドンを中庭に呼び出した。実はカトレアは、ランドンと同じ学校に行くために、泣き叫び、かなり父と母に無理を言った。両親はカトレアに根負けをしてしまい、普通の公立の高等学校に通えるようになっていた。
「ええ!?日曜日に、お忍びで隣の国にいく?俺も?」
ランドンは、いきなりカトレアに言われ、かなり混乱していた。
「そうよ!前回はうちの国の城下町までしかいけなかったでしょ?!再チャレンジよ!」
「でもよお、親父が言ってたけど、王家の者が隣の国に行くと、ドラゴンが復活して災いがおこるって、、」
ランドンの父親は、城の庭師だった。幼いときから、カトレアは単細胞で単純なランドンが扱いやすく、子分として扱い、剣の修行につき合わせてきた。
ランドンに断る勇気はないが、昔から言い伝えられているドラゴン伝説を繰り返し聞かされている彼にとっては、隣国までいくことは、単純に怖かった。
「ドラゴン伝説?そんなの、子どもや民を国に閉じ込めておくためのウソ伝説よ。その伝説があるおかげで、王家は自由に外に出られないし、民も制限付きでの外出になってしまっているわ」
「うーん、でも、もし本当だったら、国に災いがおこるんだぜ?!」
ランドンは190センチに100キロの体を縮こまさせて、カトレアをなんとか止めようとする。
「タダでとは言わないわ!最高級の肉をたらふく食べさせてあげるから」
伝説に意固地になって反対するランドンを言葉で説得することを、カトレアは諦めて作戦をかえる。
「最高級の肉??マジ?」
「マジよ。しかも、一食でないわ、三食つけるわ。好きなときに、3回も美味しーーーい肉がたんまりと食べられるのよ」
「!」
「ランドン、それでいいのか?」
二人の問答を横で聞いていたサラは、思わず口を挟んでしまう。
「!でもさあ、最近肉が高くて、食べられてないんだよお、、、」
「伝説より、肉に釣られるのか?」
「でもよお、、、サラは行かないのか?」
「行く」
「、、金か?」
「そうだ。お前は、肉だな」
「、、、、」
かくして、肉と金で二人を説得したカトレアは、上機嫌でにまりと笑った。
「よし!決まり!日曜日の日暮れ時、6時に秘密基地に集合ね!」
カトレアの号令に、二人は無言で頷くしかなかった。
△△△△△
秋の初期だった。夕方になると、太陽はほとんど沈んでいる。
カトレアが親やお目付け役のナターシャなどに内緒にして作った秘密基地は、城の地下道からつながった灯台にある。
カトレアは、幼い時から好奇心と探究心に溢れており、城の全てをくまなく探検をしてまわった。
そして、誰にも知られていない地下道を見つけ、そこから城外の林の中にある古い灯台に出られることを発見した。
灯台は何年も使われておらず、古くぼろぼろだが広いスペースがあり、そこから飛行船が飛ばせられた。
カトレアは、学校以外は城から出ることを禁じられていたため、ストレスは半端なく膨れ上がっていた。
当然、城を抜け出そうと飛行船を作り始め、がむしゃらにやるうちに、最近になってやっと少しずつ飛べるようになっていた。
ランドンとサラは、もう2年ほど、カトレアのお忍びに付き合わされていた。
はじめは飛行船は飛んでも、数キロほどだった。
しだいに、カトレア流に浮遊石を独学で調合し、強い浮遊力をもつようになってくると、飛行船はよく飛ぶようになった。
ランドンとサラは、狙いうちにしてくる野鳥を撃ち落としていくが、なかなか数が多くて断念する日が続いている。
しかし、今日、再度挑戦をした3人を乗せた飛行船は、運良く野鳥に気づかれずにすり抜け、猛スピードで空を飛んでいった。
「さすが!私の改良した船!どんどんスピードが上がっていく」
カトレアは有頂天で、国の境界を越えていくことを嬉々として喜んだ。




