3 森の住人編1 女の子と討伐隊、ガチャを壊してしまった、どうしよう?
お早うございます。
第3話投稿です。
バクテリオファージ・ガチャは俺のことを『まおさま』と、小さな聞き取れないほど小さな声で呼ぶ。
俺は何と呼ぼうか?
「名前を付けよう」
と言うと、明らかに嬉しい素振りを見せた。
モジモジしている。
可愛いヤツめ。
「うーん、ガチャだから……ガッチャ……ん、はマズいな、確か空飛ぶ赤ちゃん天使がこの名前だった。じゃバクテリオだからバ?バック?パック?マッ……くっ、これもいけないな、世界的有名なファストフード店の名前だ。うーんバクテリオファージ……ファ?あ、ファーファでどうだ?」
ん?止まった?
次は震えだしたぞ?
飛び跳ねだした。
どうやら嬉しいらしい。
命名、ファーファ!
さて、どこへ行こうかファーファ。
もっと森の奥へ行ってみようか!
てくてく。
ガサゴソ。
森の奥は、凄かった。
進めない程の茨や魔力を帯びたツタ、見るからに毒のありそうな巨大な昆虫、それらが入り乱れ、混沌としていた。
陽の光は届かず、まるで別世界である。
ジメジメとした世界、見たこともない虫がいっぱいだ。
それもデカい!
象みたいな大きさの昆虫は、もはや何か別の生き物では?
その内の一匹、巨大なムカデのような怪物と目が合った、ような気がした。
嫌な予感である。
その予感は的中した。
弱虫スキル、泣き虫スキルが揃って発動!
「うわあああああん!ファ、ファーファ!逃げるよ!」
呆れることなく俺に付き合って、逃げ出すファーファ。
ファーファは俺の泣き虫弱スキルを知っている。
それでも寄り添ってくれるのだ、こんなにありがたいことはないっ!
身体をうねらせて追ってくる巨大ムカデ擬き!
脚、速っ!
弾き飛ばされるファーファ。
ご飯じゃないと判断したんだろうな。
怒りが漲った。
よくもファーファを!
火は駄目だ、ファーファも焼いてしまう!水か?氷か?錆びないか?
風で!
立ち止まり、振り返る!
「!」
迫り来る異形の巨大昆虫!
「やっぱりこええええええええっ!」
噴水のように涙が出た。
それでも踏みとどまり、力を解放する!
「風の刃!」
ぶわっと風が吹き上がり、鋭い刃になって周囲を切り刻み始める!
無数の風の刃が巨大昆虫を分断する!
そして発生する凶悪な黒い竜巻!
コ、コントロールが!
「あっ!」
巨大な力は、俺の制御を離れ、周囲全てを分断し始める。
「とととおっとまれええええっ!」
泣き叫ぶ俺。
森の木々は、料理されたキュウリのように、サクサクとスライスされていく!
こ、このままじゃファーファまで!
分断されるファーファの移動脚。
「あああああっ!」
竜巻に巻き込まれ、消えていくファーファ。
「あ……あ……」
粉塵が落ち着き、辺りが静かになった。
そんなぁ。
こんなに悲しい涙を流したのは、母さんが死んだ日以来だ。
辺りは、何もない!
平原のようになっている。
俺はファーファを探して歩き回った。
「どこだよ。どこに行った!?」
焦れば焦るほど、視野は狭くなる。
この膨大な魔力、どう使えばいいんだよっ!
一日が過ぎた。
一人の夜は……無茶苦茶怖かった。
はい、泣きました。
夜空は綺麗だが、眺める余裕なんてない!
人工の灯り一つ無い世界。
空を飛び、上空から見れば灯りが見えただろう。
だけど、夜の空を飛ぶ勇気が全くなかった。
唯々、暗い世界が怖かった。
それでもファーファを探し続けた。
魔法で、どうにか探せないか?と思ったが、やり方が分からん!
とにかく歩き回った。
諦める?
その選択はない。
二日目の夜は夜目が効くようになった。
おお、さすがは魔王さま!
もっと沢山、能力開発しなければ!
使い方さえ分かれば!
3日目の朝。
あ!なんか光った!金属!?
大地に刺さっていたのは、切れたファーファの脚だった。
やった!手がかりだ!
それを引き抜き、握り締める。
どうしよう?どこに行ったんだよ?
周囲を根気よく探し回って見つけたのは、切れた脚3本。
ん?
!!
握り締めた脚から、何かを感じた!
これ!?
切れた脚を通して、ファーファの場所が……分かった!こっちだ!
全速力で走った!
多分、音速を超えたと思う。
そんなことはどうでもいい!
かなり離れた森の中である。
こんな所まで!
今なんか光った!?
いた!
見つけた!
ファーファだ!
減速し、ファーファと距離をとる。
「ファーファ!」
動いている!
名前を呼び、近づこうとすると……あ。
ファーファは木の陰に……隠れた!?
「……!」
避けられた!?
これは……嫌われた……の、かな?
いや……俺を……恐れた……?
脚、切っちゃったし、吹飛ばしたし、俺の側にいると、いつかは命を落とすのでは?
怖かったろうなぁ、あんな大きな竜巻に吹飛ばされて……。
泣き虫スキルが発動する前に涙が出た。
ごめんよ。
せめて、脚だけでも治らないかなぁ?
治してあげたい!
ああ、この場合は修理か?
ごそごそ。
?
なんかしているぞ?
ファーファ、木の陰で何しているの?
ぴょんと飛び出るファーファ。
「!」
脚には、ツタで枝が巻き付けてあった。
え?自分で修理した?
俺の前で、ぴょんぴょんと飛び跳ねて、おどけてみせる。
壊れていない、大丈夫だよ、と言わんばかりに!
「ごめんよ、痛くなかった?怖くなかったかい?」
ちちちっ!
と脚を立て、横に振ってみせる。
が、やはり木とツタでは無理らしく、ポキリ、と折れてしまう。
ひっくり返るファーファ。
「だ、大丈夫か!?」
どうにか起き上がったファーファは、明らかにしょんぼりしている。
うまく動けないのだ。
いや、お前がしょんぼりしなくていいんだよ!
僕が悪いんだよ?
治らないかなぁこの脚。
うん、一応魔王だし、修復とか回復とか、再生とかできないだろうか?
切れた脚を繋げ、両手で握り締め、祈ってみる。
繋がれ、と。
俺の魔法が多少当たっても、壊れないくらい頑丈になれと!
パチン!
何かが弾けた?
「ああああっ!な、治っている!繋がっている!」
ひゃっほーい!
よし!この調子で残りの2本も!
そして元通りのファーファ!
わははっ!さすが魔王!どうだ、凄いだろう!
「……一緒にくる?僕は君を捨てる気なんて毛頭ないよ、でも、君が嫌ならここで別れよう」
うう泣きそうだ、泣き虫スキル、発動するなよ!
「?」
ん?
ファーファは治った脚を使って、壊れていないレバーにコンコンと触った。
ファーファにはガチャのレバーが3っあるのだ。
「ガチャ?俺、コイン持っていないよ?」
!
なければ作ればいいんだ!
俺は念じる。
銀貨!カモン!
パチン!と何かが弾ける!
フッと手に現れる銀貨。
これは俺の魔力の固まりの銀貨だ!
あ、これって偽造か?
ま、いいか。
「これでも使えるか?」
こくこく。
よし、やってみるか。
スロットルに入れて、よっと!
ガチャガチャ!
コロン!
で、でたああああああっ!
何が入っているのだ!?
カチリ!カプセルを開けてみる。
すると、お馴染みの声が響き渡った
《R:レア》
おおっ!?レア?
《魔王専用》
ゴクリ。
《ひのきの杖》
は?
ポンッと目の前に現れるひのきの杖。
?
これは?
どんな意味?
チラリ。
ファーファを見る。
なんかそわそわしているぞ?
「……」
え?使えって?
ま、まあファーファが言うなら、つ、使ってみるか。
杖に魔力を込め、大地を打ってみた。
ごちっ。
「え!?」
何も起らない!?
更に力を込めて大地を打つ!
ドンッ。
「お、ちょっとクレーター状の窪みができた!」
なんか分かったかも!
大空に向けて、火の魔法を使ってみる!
「えいっ」
火が…………でない?
ならば、力を込めてっ!
「ふんっ!」
ぽっ。
バスケットボールくらいの大きさの炎が一つ、空にふらふらと吸い込まれて行く。
「こ、こ、これは!」
弱体装備!?
これさえあれば!
ファーファを改めて見つめる。
「んふーっ」
おおお、ファーファ自慢げ。
そして俺目線では、ファーファがキラキラ輝いて見えるっ!
「あ、あ、ありがとう!ファーファ!凄いや!」
「んふーっ」
「ファーファ!街へ行こう!この世界の人達の生活が知りたいっ!見たい!」
「マ、マオサマ」
「ん?なんだい?ファーファ?」
「アリガトウ」
「え?な、何をいっているんだい?俺を怒っていいんだぜ?しっかりしろと!俺こそごめんなさいだよ!ごめんよ、ファーファ怖い思いさせて……」
「……ミツケテクレタ、サガシテクレタ」
「!」
俺は泣き虫スキルが発動する前に泣いてしまった。
「一緒に行こう、ファーファ……」
俺とファーファは歩き出した。
「街を目指そう!」
この世界のことを知らなければ。
魔法とか色々。
それが俺の『生活の向上』に繋がるはず!
単純な俺は、こうして街を目指すことにした。
ひひっ、それに、なにか美味しい食べ物、あるかも知れないし!
てくてく。
ガチャガチャ!
こうなると、何かまともな服が欲しくなる。
できれば靴も。
「ファーファ、ガチャ、できる?」
人とは悲しい、楽な方にすぐに走る。
ちらっ、とファーファを見る。
ん?頭部を横に振った?
「……」
「え?ガチャは一日一回だけ?」
うーんなら明日まで、服装は待つか。
まあ銀貨が出せたんだから、服も出そうなんだけどなぁ。
服は何度やっても、ひのきの杖装備を外しても、何も出なかった。
多分、魔法の使い方がいけないと思うのだが。
ん?前方が騒がしい?
俺の周囲に、俺にしか見えないマップが表示される。
おお、便利!脳内マップが進化している!
赤い点が20程、一つの赤い点を追っているようだけど?
俺が竜巻で吹飛ばした場所?
なんだろう?と思うと、突然、音声が聞こえてきた!
「おい、早く捕まえろ!」
「なにか知っているかもしれん!」
「殺すなよ!翼だ!翼を射ろ!」
なんか物騒だな?
弱虫スキルが発動した。
赤い点を避け、大木の影を利用して移動する。
ファーファも慎重になる。
あ!見えた!
鎧を身につけた集団が……?
コウモリ?
違う女性だ!
黒い大きな翼を背中に生やし、鞭のような尻尾!
あれは?
「やめてください!誰か!」
サキュバス!?
えっ!?
昼間だよ?サキュバスって夜の属性では?
あ、矢が!つ、翼に!
「落ちたぞ!翼を斬れ!飛べなくしろ!」
「魔王が生れたって話だ!この森の惨状、何か知っているかもしれん!殺すな!」
「隊長、サキュバスはすぐに殺したりはしませんよへへへっ」
サキュバスに群がる20名の鎧の戦士。
「うう、なんでこんな酷いことするの?やめてください……」
「魔王が誕生したと聞いたが、なにか知っているな?」
「し、知りませんっ!」
「いや知っているだろう?」
……もしかして、俺が原因か?
あの子、俺と同じくらいだろうか?ちょっと年上?
どうなるのだろう?
あの子の未来、暗くないか?
ギラギラと光る剣。
本物だ。
その剣がサキュバスに迫る。
「ひひ、逃げたら殺す、黙って翼を差し出せ!楽に斬ってやる!」
「どっちもイヤです!」
俺は、怖くて助けることができない。
見ているだけで泣いているのだ。
逃げ出したい!
ごめん!サキュバスさん!
が、ファーファは違った。
「えっ!?」
ドゲシイイイイイイッ!
えええええっ!?
騎士を蹴り上げた!?
いつの間に!?ファーファ!?
何しているの!?
「ファーファ!」
「誰だきさま!」
え!?
全員が俺を見る。
勿論サキュバスさんも。
あ、おわた。
「このゴーレムの主か!」
「我々が王都騎士団直属と知っての蛮行か!?」
おいおい、蛮行はお前らだろ?
矢が飛んできた!それもかなり正確に!
反射的に動くひのきの杖!
カツン!カン、カン!
同時に放たれた3本の矢を弾く!
え?俺って凄くね?泣いているけど。
だが、出てきた声は、限りなく情けなかった。
「やーみーれー!やみてくだしゃい!」
「!」
「っはあああ?なんだこいつ?泣きながら何を言っている?」
「がははははっ!殺して埋めるか?その前に遊ぶか?」
「まて、矢を弾いた!手練れかもしれん」
「こいつがか?泣いて脚が震えているぞ!あははははっ!」
「まだ子供だぞ、矢は偶然だ!捕らえろ!何か知っているかもしれん!」
「こ、このゴーレム!強者です!」
杖を握る手に、力が籠もる。
脚は震えて動かない。
俺は何もできない!
そう、怖くて!
「小さい子に酷いことしないで!」
「え?」
叫んだのはサキュバスさん。
翼を広げ、低く飛び立ち俺に手を伸ばす!
え?
「つかまって!早く!逃げるのよ!」
ざあああっと雨のような音がした。
えっ?
血?
「俺達を前に、逃げる?無理無理無理無理無理無理無理!」
つ、翼が!
どさっ、と音を立て切れた翼が落ちてきた。
そのまま大木にぶつかり、動かなくなるサキュバスさん。
「……早く……逃げなさい……」
血まみれのサキュバス。
ガキン!
巨大なアッククスに飛ばされるファーファ。
「……!」
蹴られる子犬。
見知らぬ男が、母さんを殴っている。
そして男がいなくなると、母は俺を殴る。
怒りが、スキルを上回った。
「騎士ならば、騎士らしく振舞え!」
俺の声ではないみたいだ。
なんだこの声?
「はぁ?なんだと?このガキ!」
すっ、とひのきの杖を構える!
ひのきの杖から次々に溢れ出る火の玉!
「おわっ!こいつ!魔法使いか!?」
が、簡単に弾かれる。
この程度では効果無しか。
「ばかめ、騎士団への攻撃、公務執行妨害!死刑だ!こいつを殺せ!」
ふん、最初からその気だったろう?
分かるんだ、なんせ魔王さまだから。
それまで静観していた者達も一斉に剣を抜く。
「ぎゃっ」
え?
「お前はこっちだ!」
「夜が楽しみだねぇ?本領発揮しな!」
サキュバスさんの髪を摑み、引きずっていく若い騎士達。
こいつら、最低のゲロカスヤローだ!
ぷち。
「に……」
ぷちぷち。
「に?何を言っている?今更ごめんなさいは聞けんぞ?」
ブチッ!
「人間なんて!男なんて!大嫌いだああああああっ!」
俺は大声で叫んだ。
ドゴオオオオオンという轟音と共に、地震が起きた!
手の中の、ひのきの杖が何かに変わる!
「どいつもこいつも!酷いことばかりしやがってええええっ!」
女の人を、なんと心得る!
いつも酷い目に会う母さん!
そして酷い目に会う俺!
親からの暴力、世界からの暴力!どこへ逃げればいい?逃げるところがない!
そして誰も手を差し伸べない!
いや、1人いたぞ!あのサキュバス!
その優しい手を!
きさまら!許さああああああああぁんっ!
俺の憎悪は、目の前の騎士団に向った。
突然大地から吹き上がる黒い霧!
渦を巻き、騎士団に襲いかかる。
「な、なんだこれは!?」
黒い霧に包まれ、悲鳴を上げ、次々に倒れいく男達。
つんつん。
「え?ファーファ!大丈夫!?」
こくこく。
怒りが収まると、今度は悲しくて、泣きたくなった。
「……!」
「ああ、そうだね、今のうちに逃げよう!ファーファは翼をお願い!」
俺は気を失っているサキュバスさんを……ヤバい、こうしてみると、サキュバスさん、色々とでかい!
今の俺じゃ……身体じゃ運べない!
と思った瞬間、メキメキと身体が大きくなった!?
軽々とサキュバスさんを持ち上げる俺。
おお、俺様力持ち!
ん?
なんかあいつら様子が変だぞ?
黒い霧が晴れると……?
目の前の屈強な汗苦しい男共は、ほっそりした女性になっていた。
え?
「きゃああああっ!な、なによこれ!」
「いやあああっ!」
「の、呪い?呪いなの!?」
「聖護符が燃え尽きているわ!」
「そ、そんなはずない!配布された護符は一級護符よ!護符が!」
「ま、魔王級の呪い!?」
「……!」
取敢えず、怖くなったので全力でその場を後にした。
飛ぶように走る俺。
いや、飛んでいるぞ!
ファーファも凄い速さで付いてくる。
マップからは赤い点が消え、辺りが静かになる。
「……!」
「うん、この辺りでいいかな?」
立ち止まり、ゆっくりとサキュバスさんを降ろす。
顔色が悪い、手当を!
ファーファが翼を持ってくる。
「……」
「え?くっつくの?ファーファの脚と同じ?」
こくこく。
取敢えずやってみる。
この異世界で、俺に初めて手を差し伸べた人だ。
ん?人か?まあ人でいいや。
翼をくっつけ、傷口を両手で握り締め、祈った。
俺の誕生……魔王の誕生を誰かが知っていた?
そして騎士団を差し向けた。
このサキュバスさんの災難、俺がこの世界に来たのが原因だ。
治って欲しい。
あ、顔の色が!?
薄らとその頬に赤みが増した。
「……!!」
「うん、ファーファ、繋がったみたい!水を探してくるよ、向こうに小川があるみたい!」
そっと横たえようとすると、サキュバスさんの目がパチリと開いた。
見つめ合う2人。
最初に口を開いたのは俺だ。
「大丈……夫?」
「っんきゃああああああああああっ!」
「え?」
ドン!
突き飛ばされた。
胸の前で腕をクロスし、さっと後ろに飛び去るサキュバスさん。
「な、何をしたの!?」
「え?何もしていないよ?」
「うそよ!このド変態!あの子はどこ!?」
「え?」
あ、俺、成長したんだっけ?
「倒れている私にXXXXXやXXXXXなことをしたんでしょう!それにXXXXXまで!」
は?
目が点になる俺。
いや、それ犯罪だって!思いもしないぞ、そんなこと!
俺サマは鬼畜か?
ぶわっと涙を流すサキュバスさん。
「人間なんてだぃっきらい!」
同感。
俺もそう思う。
ばさばさばさっ!
「あっ!」
サキュバスさんは飛び去った。
「……ファーファ」
「……?」
「翼、調子いいみたいだね」
こくこく。
気が抜けると、プシューッ、と俺は元の姿に戻ってしまった。
この姿が、一番リラックスできるみたいだ。
小川まで行ってみる。川に映る俺。
15歳だが、小5?4?くらいかな、生前と変わらないや。
痩せた身体。
とても15には見えない。
学校の問診でよく栄養失調とか言われたなぁ。
まあ、ご飯食べようにも無かったしね。
でも、万引きなんてしなかったよ。
それは、小さくても俺の美学が許さなかったからだ。
いまも小さいままだけど。
ん?小川の上流からなんか流れてきたぞ?
「ファーファ、これ?」
これ、キャベツだ!
え?キャベツ?畑の作物?なんで川?
「!」
ファーファを見る。
「人だ!きっと誰かいるよ!キャベツを食べる人が!行ってみよう!」
こくこく。
暫く歩くと、ファーファが立ち止まった。
つんつん。
「なに?」
あ、見えない壁がある!
これ?なんだ?
「……」
「結界?触ると警戒される?衛兵?」
どうしよう?
手を伸ばして、ギリギリで止める。
「あ、大丈夫だよ!ファーファ!これ簡単に潜れるよ!行こう!」
カーテンを開けるように、俺とファーファは結界を壊すことなく、スルリとすり抜けた。
声がする!?
「ごめんなさい!キャベツ流して!」
「いいから、早く回収しないと!村の位置がばれちゃう!」
川上から歩いてきたのは女の子と男の子だ。
女の子は高校生くらい?帯剣している。
男の子は小学生低学年?弓を手にしている。
「お姉ちゃん!ゴーレムだ!」
さっ、と剣を掴むお姉ちゃん。
「何者だ!」
……おれ、何者なんだろう?
あ、魔王っす!いや、本当っす!
と、言いたいが、弱虫スキルが発動した。
剣、向けないでぇ!
こえーです!
どうでしたでしょうか?
面白かったですか?★★★★★
まあまあですか? ★★★☆☆
いまいち? ★☆☆☆☆
論外!? ☆☆☆☆☆
次回投稿は 2023/11/17 あさ11時17分投稿予定です。
ですが、バイトのシフト次第では2023/11/17 夜23時23分になるかも知れません。
いや、数字の合わせ、好きなんです。
サブタイトルは
第4話 森の住人編2
俺の名はテニィ、森の中心で、焼きそば最高と叫ぶ。です。
誤字脱字、多々あると思いますが、温かい眼で見てください。
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よろしくお願い致します。