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泣き虫弱虫魔王さま  作者: MAYAKO
3/10

3 森の住人編1 女の子と討伐隊、ガチャを壊してしまった、どうしよう?

お早うございます。

第3話投稿です。

 バクテリオファージ・ガチャは俺のことを『まおさま』と、小さな聞き取れないほど小さな声で呼ぶ。


 俺は何と呼ぼうか?


「名前を付けよう」


 と言うと、明らかに嬉しい素振りを見せた。


 モジモジしている。

 可愛いヤツめ。


「うーん、ガチャだから……ガッチャ……ん、はマズいな、確か空飛ぶ赤ちゃん天使がこの名前だった。じゃバクテリオだからバ?バック?パック?マッ……くっ、これもいけないな、世界的有名なファストフード店の名前だ。うーんバクテリオファージ……ファ?あ、ファーファでどうだ?」


 ん?止まった?

 次は震えだしたぞ?

 飛び跳ねだした。

 どうやら嬉しいらしい。


 命名、ファーファ!


 さて、どこへ行こうかファーファ。

 もっと森の奥へ行ってみようか!


 てくてく。

 ガサゴソ。


 森の奥は、凄かった。


 進めない程の茨や魔力を帯びたツタ、見るからに毒のありそうな巨大な昆虫、それらが入り乱れ、混沌としていた。


 陽の光は届かず、まるで別世界である。

 ジメジメとした世界、見たこともない虫がいっぱいだ。


 それもデカい!

 象みたいな大きさの昆虫は、もはや何か別の生き物では?


 挿絵(By みてみん)


 その内の一匹、巨大なムカデのような怪物と目が合った、ような気がした。


 嫌な予感である。

 その予感は的中した。

 弱虫スキル、泣き虫スキルが揃って発動!


「うわあああああん!ファ、ファーファ!逃げるよ!」


 呆れることなく俺に付き合って、逃げ出すファーファ。

 ファーファは俺の泣き虫弱スキルを知っている。

 それでも寄り添ってくれるのだ、こんなにありがたいことはないっ!


 身体をうねらせて追ってくる巨大ムカデ擬き!


 脚、速っ!


 弾き飛ばされるファーファ。

 ご飯じゃないと判断したんだろうな。


 怒りが漲った。


 よくもファーファを!


 火は駄目だ、ファーファも焼いてしまう!水か?氷か?錆びないか?


 風で!


 立ち止まり、振り返る!


「!」


 迫り来る異形の巨大昆虫!


「やっぱりこええええええええっ!」


 噴水のように涙が出た。


 それでも踏みとどまり、力を解放する!


「風の刃!」


 ぶわっと風が吹き上がり、鋭い刃になって周囲を切り刻み始める!

 無数の風の刃が巨大昆虫を分断する!

 そして発生する凶悪な黒い竜巻!


 コ、コントロールが!


「あっ!」


 巨大な力は、俺の制御を離れ、周囲全てを分断し始める。


「とととおっとまれええええっ!」


 泣き叫ぶ俺。


 森の木々は、料理されたキュウリのように、サクサクとスライスされていく!


 こ、このままじゃファーファまで!

 分断されるファーファの移動脚。


「あああああっ!」


 竜巻に巻き込まれ、消えていくファーファ。


「あ……あ……」


 粉塵が落ち着き、辺りが静かになった。


 そんなぁ。


 こんなに悲しい涙を流したのは、母さんが死んだ日以来だ。


 辺りは、何もない!


 平原のようになっている。


 俺はファーファを探して歩き回った。


「どこだよ。どこに行った!?」


 焦れば焦るほど、視野は狭くなる。

 この膨大な魔力、どう使えばいいんだよっ!


 一日が過ぎた。


 一人の夜は……無茶苦茶怖かった。


 はい、泣きました。


 夜空は綺麗だが、眺める余裕なんてない!

 人工の灯り一つ無い世界。

 空を飛び、上空から見れば灯りが見えただろう。

 だけど、夜の空を飛ぶ勇気が全くなかった。


 唯々、暗い世界が怖かった。


 それでもファーファを探し続けた。


 魔法で、どうにか探せないか?と思ったが、やり方が分からん!


 とにかく歩き回った。


 諦める?

 その選択はない。


 二日目の夜は夜目が効くようになった。


 おお、さすがは魔王さま!

 もっと沢山、能力開発しなければ!


 使い方さえ分かれば!


 3日目の朝。


 あ!なんか光った!金属!?

 大地に刺さっていたのは、切れたファーファの脚だった。


 やった!手がかりだ!


 それを引き抜き、握り締める。

 どうしよう?どこに行ったんだよ?


 周囲を根気よく探し回って見つけたのは、切れた脚3本。


 ん?


 !!


 握り締めた脚から、何かを感じた!


 これ!?


 切れた脚を通して、ファーファの場所が……分かった!こっちだ!


 全速力で走った!

 多分、音速を超えたと思う。

 そんなことはどうでもいい!

 かなり離れた森の中である。


 こんな所まで!


 今なんか光った!?


 いた!

 見つけた!

 ファーファだ!


 減速し、ファーファと距離をとる。


「ファーファ!」


 動いている!

 名前を呼び、近づこうとすると……あ。


 ファーファは木の陰に……隠れた!?


「……!」


 避けられた!?


 これは……嫌われた……の、かな?

 いや……俺を……恐れた……?


 脚、切っちゃったし、吹飛ばしたし、俺の側にいると、いつかは命を落とすのでは?

 怖かったろうなぁ、あんな大きな竜巻に吹飛ばされて……。


 泣き虫スキルが発動する前に涙が出た。


 ごめんよ。


 せめて、脚だけでも治らないかなぁ?

 治してあげたい!

 ああ、この場合は修理か?


 ごそごそ。


 ?


 なんかしているぞ?

 ファーファ、木の陰で何しているの?


 ぴょんと飛び出るファーファ。


「!」


 脚には、ツタで枝が巻き付けてあった。


 え?自分で修理した?


 俺の前で、ぴょんぴょんと飛び跳ねて、おどけてみせる。


 壊れていない、大丈夫だよ、と言わんばかりに!


「ごめんよ、痛くなかった?怖くなかったかい?」


 ちちちっ!


 と脚を立て、横に振ってみせる。


 が、やはり木とツタでは無理らしく、ポキリ、と折れてしまう。


 ひっくり返るファーファ。


「だ、大丈夫か!?」


 どうにか起き上がったファーファは、明らかにしょんぼりしている。

 うまく動けないのだ。


 いや、お前がしょんぼりしなくていいんだよ!


 僕が悪いんだよ?


 治らないかなぁこの脚。


 うん、一応魔王だし、修復とか回復とか、再生とかできないだろうか?

 切れた脚を繋げ、両手で握り締め、祈ってみる。


 繋がれ、と。


 俺の魔法が多少当たっても、壊れないくらい頑丈になれと!


 パチン!


 何かが弾けた?


「ああああっ!な、治っている!繋がっている!」


 ひゃっほーい!

 よし!この調子で残りの2本も!

 そして元通りのファーファ!


 わははっ!さすが魔王!どうだ、凄いだろう!


「……一緒にくる?僕は君を捨てる気なんて毛頭ないよ、でも、君が嫌ならここで別れよう」


 うう泣きそうだ、泣き虫スキル、発動するなよ!


「?」


 ん?


 ファーファは治った脚を使って、壊れていないレバーにコンコンと触った。

 ファーファにはガチャのレバーが3っあるのだ。


「ガチャ?俺、コイン持っていないよ?」


 !


 なければ作ればいいんだ!

 俺は念じる。


 銀貨!カモン!


 パチン!と何かが弾ける!

 フッと手に現れる銀貨。

 これは俺の魔力の固まりの銀貨だ!

 あ、これって偽造か?

 ま、いいか。


「これでも使えるか?」


 こくこく。


 よし、やってみるか。

 スロットルに入れて、よっと!


 ガチャガチャ!

 コロン!


 で、でたああああああっ!


 何が入っているのだ!?

 カチリ!カプセルを開けてみる。

 すると、お馴染みの声が響き渡った


《R:レア》


 おおっ!?レア?


《魔王専用》


 ゴクリ。


《ひのきの杖》


 は?


 ポンッと目の前に現れるひのきの杖。


 ?


 これは?


 どんな意味?


 チラリ。


 ファーファを見る。

 なんかそわそわしているぞ?


「……」


 え?使えって?

 ま、まあファーファが言うなら、つ、使ってみるか。

 杖に魔力を込め、大地を打ってみた。


 ごちっ。


「え!?」


 何も起らない!?

 更に力を込めて大地を打つ!


 ドンッ。


「お、ちょっとクレーター状の窪みができた!」


 なんか分かったかも!


 大空に向けて、火の魔法を使ってみる!


「えいっ」


 火が…………でない?

 ならば、力を込めてっ!


「ふんっ!」


 ぽっ。

 バスケットボールくらいの大きさの炎が一つ、空にふらふらと吸い込まれて行く。


「こ、こ、これは!」


 弱体装備!?


 これさえあれば!

 ファーファを改めて見つめる。


「んふーっ」


 おおお、ファーファ自慢げ。

 そして俺目線では、ファーファがキラキラ輝いて見えるっ!


「あ、あ、ありがとう!ファーファ!凄いや!」


「んふーっ」


「ファーファ!街へ行こう!この世界の人達の生活が知りたいっ!見たい!」


「マ、マオサマ」


「ん?なんだい?ファーファ?」


「アリガトウ」


「え?な、何をいっているんだい?俺を怒っていいんだぜ?しっかりしろと!俺こそごめんなさいだよ!ごめんよ、ファーファ怖い思いさせて……」


「……ミツケテクレタ、サガシテクレタ」


「!」


 俺は泣き虫スキルが発動する前に泣いてしまった。


「一緒に行こう、ファーファ……」


 俺とファーファは歩き出した。


「街を目指そう!」


 この世界のことを知らなければ。

 魔法とか色々。

 それが俺の『生活の向上』に繋がるはず!

 単純な俺は、こうして街を目指すことにした。

 ひひっ、それに、なにか美味しい食べ物、あるかも知れないし!


 てくてく。

 ガチャガチャ!


 こうなると、何かまともな服が欲しくなる。

 できれば靴も。


「ファーファ、ガチャ、できる?」


 人とは悲しい、楽な方にすぐに走る。

 ちらっ、とファーファを見る。


 ん?頭部を横に振った?


「……」


「え?ガチャは一日一回だけ?」


 うーんなら明日まで、服装は待つか。

 まあ銀貨が出せたんだから、服も出そうなんだけどなぁ。

 服は何度やっても、ひのきの杖装備を外しても、何も出なかった。

 多分、魔法の使い方がいけないと思うのだが。


 ん?前方が騒がしい?


 俺の周囲に、俺にしか見えないマップが表示される。

 おお、便利!脳内マップが進化している!


 赤い点が20程、一つの赤い点を追っているようだけど?

 俺が竜巻で吹飛ばした場所?

 なんだろう?と思うと、突然、音声が聞こえてきた!


「おい、早く捕まえろ!」


「なにか知っているかもしれん!」


「殺すなよ!翼だ!翼を射ろ!」


 なんか物騒だな?

 弱虫スキルが発動した。

 赤い点を避け、大木の影を利用して移動する。

 ファーファも慎重になる。


 あ!見えた!


 鎧を身につけた集団が……?


 コウモリ?

 違う女性だ!


 黒い大きな翼を背中に生やし、鞭のような尻尾!


 あれは?


「やめてください!誰か!」


 サキュバス!?


 えっ!?


 昼間だよ?サキュバスって夜の属性では?


 あ、矢が!つ、翼に!


「落ちたぞ!翼を斬れ!飛べなくしろ!」


「魔王が生れたって話だ!この森の惨状、何か知っているかもしれん!殺すな!」


「隊長、サキュバスはすぐに殺したりはしませんよへへへっ」


 サキュバスに群がる20名の鎧の戦士。


「うう、なんでこんな酷いことするの?やめてください……」


「魔王が誕生したと聞いたが、なにか知っているな?」


「し、知りませんっ!」


「いや知っているだろう?」


 ……もしかして、俺が原因か?

 あの子、俺と同じくらいだろうか?ちょっと年上?


 どうなるのだろう?

 あの子の未来、暗くないか?


 ギラギラと光る剣。

 本物だ。

 その剣がサキュバスに迫る。


「ひひ、逃げたら殺す、黙って翼を差し出せ!楽に斬ってやる!」


「どっちもイヤです!」


 俺は、怖くて助けることができない。

 見ているだけで泣いているのだ。

 逃げ出したい!

 ごめん!サキュバスさん!


 が、ファーファは違った。


「えっ!?」


 ドゲシイイイイイイッ!


 えええええっ!?


 騎士を蹴り上げた!?


 いつの間に!?ファーファ!?

 何しているの!?


「ファーファ!」


「誰だきさま!」


 え!?


 全員が俺を見る。

 勿論サキュバスさんも。


 あ、おわた。


「このゴーレムの主か!」


「我々が王都騎士団直属と知っての蛮行か!?」


 おいおい、蛮行はお前らだろ?

 矢が飛んできた!それもかなり正確に!


 反射的に動くひのきの杖!


 カツン!カン、カン!


 同時に放たれた3本の矢を弾く!

 え?俺って凄くね?泣いているけど。

 だが、出てきた声は、限りなく情けなかった。


「やーみーれー!やみてくだしゃい!」


「!」


「っはあああ?なんだこいつ?泣きながら何を言っている?」


「がははははっ!殺して埋めるか?その前に遊ぶか?」


「まて、矢を弾いた!手練れかもしれん」


「こいつがか?泣いて脚が震えているぞ!あははははっ!」


「まだ子供だぞ、矢は偶然だ!捕らえろ!何か知っているかもしれん!」


「こ、このゴーレム!強者です!」


 杖を握る手に、力が籠もる。

 脚は震えて動かない。

 俺は何もできない!

 そう、怖くて!


「小さい子に酷いことしないで!」


「え?」


 叫んだのはサキュバスさん。

 翼を広げ、低く飛び立ち俺に手を伸ばす!


 え?


「つかまって!早く!逃げるのよ!」


 ざあああっと雨のような音がした。


 えっ?


 血?


「俺達を前に、逃げる?無理無理無理無理無理無理無理!」


 つ、翼が!


 どさっ、と音を立て切れた翼が落ちてきた。

 そのまま大木にぶつかり、動かなくなるサキュバスさん。


「……早く……逃げなさい……」


 血まみれのサキュバス。


 ガキン!


 巨大なアッククスに飛ばされるファーファ。


「……!」


 蹴られる子犬。

 見知らぬ男が、母さんを殴っている。

 そして男がいなくなると、母は俺を殴る。


 怒りが、スキルを上回った。


「騎士ならば、騎士らしく振舞え!」


 俺の声ではないみたいだ。


 なんだこの声?


「はぁ?なんだと?このガキ!」


 すっ、とひのきの杖を構える!

 ひのきの杖から次々に溢れ出る火の玉!


「おわっ!こいつ!魔法使いか!?」


 が、簡単に弾かれる。

 この程度では効果無しか。


「ばかめ、騎士団への攻撃、公務執行妨害!死刑だ!こいつを殺せ!」


 ふん、最初からその気だったろう?

 分かるんだ、なんせ魔王さまだから。


 それまで静観していた者達も一斉に剣を抜く。


「ぎゃっ」


 え?


「お前はこっちだ!」


「夜が楽しみだねぇ?本領発揮しな!」


 サキュバスさんの髪を摑み、引きずっていく若い騎士達。


 こいつら、最低のゲロカスヤローだ!


 ぷち。


「に……」


 ぷちぷち。


「に?何を言っている?今更ごめんなさいは聞けんぞ?」


 ブチッ!


「人間なんて!男なんて!大嫌いだああああああっ!」


 俺は大声で叫んだ。


 ドゴオオオオオンという轟音と共に、地震が起きた!

 手の中の、ひのきの杖が何かに変わる!


「どいつもこいつも!酷いことばかりしやがってええええっ!」


 女の人を、なんと心得る!

 いつも酷い目に会う母さん!

 そして酷い目に会う俺!


 親からの暴力、世界からの暴力!どこへ逃げればいい?逃げるところがない!


 そして誰も手を差し伸べない!


 いや、1人いたぞ!あのサキュバス!


 その優しい手を!


 きさまら!許さああああああああぁんっ!

 俺の憎悪は、目の前の騎士団に向った。

 突然大地から吹き上がる黒い霧!

 渦を巻き、騎士団に襲いかかる。


「な、なんだこれは!?」


 黒い霧に包まれ、悲鳴を上げ、次々に倒れいく男達。


 つんつん。


「え?ファーファ!大丈夫!?」


 こくこく。

 怒りが収まると、今度は悲しくて、泣きたくなった。


「……!」


「ああ、そうだね、今のうちに逃げよう!ファーファは翼をお願い!」


 俺は気を失っているサキュバスさんを……ヤバい、こうしてみると、サキュバスさん、色々とでかい!


 今の俺じゃ……身体じゃ運べない!

 と思った瞬間、メキメキと身体が大きくなった!?


 軽々とサキュバスさんを持ち上げる俺。


 おお、俺様力持ち!


 ん?


 なんかあいつら様子が変だぞ?


 黒い霧が晴れると……?


 目の前の屈強な汗苦しい男共は、ほっそりした女性になっていた。


 え?


「きゃああああっ!な、なによこれ!」

「いやあああっ!」

「の、呪い?呪いなの!?」

「聖護符が燃え尽きているわ!」

「そ、そんなはずない!配布された護符は一級護符よ!護符が!」

「ま、魔王級の呪い!?」


「……!」


 取敢えず、怖くなったので全力でその場を後にした。

 飛ぶように走る俺。

 いや、飛んでいるぞ!

 ファーファも凄い速さで付いてくる。

 マップからは赤い点が消え、辺りが静かになる。


「……!」


「うん、この辺りでいいかな?」


 立ち止まり、ゆっくりとサキュバスさんを降ろす。

 顔色が悪い、手当を!

 ファーファが翼を持ってくる。


「……」


「え?くっつくの?ファーファの脚と同じ?」


 こくこく。

 取敢えずやってみる。

 この異世界で、俺に初めて手を差し伸べた人だ。

 ん?人か?まあ人でいいや。

 翼をくっつけ、傷口を両手で握り締め、祈った。


 俺の誕生……魔王の誕生を誰かが知っていた?

 そして騎士団を差し向けた。

 このサキュバスさんの災難、俺がこの世界に来たのが原因だ。


 治って欲しい。

 あ、顔の色が!?

 薄らとその頬に赤みが増した。


「……!!」


「うん、ファーファ、繋がったみたい!水を探してくるよ、向こうに小川があるみたい!」


 そっと横たえようとすると、サキュバスさんの目がパチリと開いた。


 見つめ合う2人。


 最初に口を開いたのは俺だ。


「大丈……夫?」


「っんきゃああああああああああっ!」


「え?」


 ドン!


 突き飛ばされた。


 胸の前で腕をクロスし、さっと後ろに飛び去るサキュバスさん。


「な、何をしたの!?」


「え?何もしていないよ?」


「うそよ!このド変態!あの子はどこ!?」


「え?」


 あ、俺、成長したんだっけ?


「倒れている私にXXXXXやXXXXXなことをしたんでしょう!それにXXXXXまで!」


 は?


 目が点になる俺。

 いや、それ犯罪だって!思いもしないぞ、そんなこと!

 俺サマは鬼畜か?


 ぶわっと涙を流すサキュバスさん。


「人間なんてだぃっきらい!」


 同感。

 俺もそう思う。


 ばさばさばさっ!


「あっ!」


 サキュバスさんは飛び去った。


「……ファーファ」


「……?」


「翼、調子いいみたいだね」


 こくこく。


 気が抜けると、プシューッ、と俺は元の姿に戻ってしまった。

 この姿が、一番リラックスできるみたいだ。


 小川まで行ってみる。川に映る俺。

 15歳だが、小5?4?くらいかな、生前と変わらないや。

 痩せた身体。

 とても15には見えない。


 学校の問診でよく栄養失調とか言われたなぁ。

 まあ、ご飯食べようにも無かったしね。

 でも、万引きなんてしなかったよ。

 それは、小さくても俺の美学が許さなかったからだ。

 いまも小さいままだけど。


 ん?小川の上流からなんか流れてきたぞ?


「ファーファ、これ?」


 これ、キャベツだ!

 え?キャベツ?畑の作物?なんで川?


「!」


 ファーファを見る。


「人だ!きっと誰かいるよ!キャベツを食べる人が!行ってみよう!」


 こくこく。

 暫く歩くと、ファーファが立ち止まった。


 つんつん。


「なに?」


 あ、見えない壁がある!

 これ?なんだ?


「……」


「結界?触ると警戒される?衛兵?」


 どうしよう?

 手を伸ばして、ギリギリで止める。


「あ、大丈夫だよ!ファーファ!これ簡単に潜れるよ!行こう!」


 カーテンを開けるように、俺とファーファは結界を壊すことなく、スルリとすり抜けた。


 声がする!?


「ごめんなさい!キャベツ流して!」


「いいから、早く回収しないと!村の位置がばれちゃう!」


 川上から歩いてきたのは女の子と男の子だ。


 女の子は高校生くらい?帯剣している。

 男の子は小学生低学年?弓を手にしている。


「お姉ちゃん!ゴーレムだ!」


 さっ、と剣を掴むお姉ちゃん。


「何者だ!」


 ……おれ、何者なんだろう?


 あ、魔王っす!いや、本当っす!

 と、言いたいが、弱虫スキルが発動した。


 剣、向けないでぇ!


 こえーです!


どうでしたでしょうか?


面白かったですか?★★★★★

まあまあですか? ★★★☆☆

いまいち?    ★☆☆☆☆

論外!?     ☆☆☆☆☆


次回投稿は 2023/11/17 あさ11時17分投稿予定です。

ですが、バイトのシフト次第では2023/11/17 夜23時23分になるかも知れません。


いや、数字の合わせ、好きなんです。


サブタイトルは


第4話 森の住人編2

俺の名はテニィ、森の中心で、焼きそば最高と叫ぶ。です。


誤字脱字、多々あると思いますが、温かい眼で見てください。


また、ページ下部の評価欄から、評価をしてもらえると嬉しいです。

いいね、ブックマーク、感想等も、もらえると励みになります。

よろしくお願い致します。


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