オープン回線
さっきから何やら言葉がごにょごにょと聞こえてくる。
この空域一帯には、共通している解放回線と呼ばれるものがあり、それが俗にオープン回線として知られている。
それを聞くためにこの辺りに引っ越してくるアマチュア無線愛好家もいるほどだ。
かくいう自分もそのうちの一人だ。
引っ越してきてから10年間。
このオープン回線をぼんやりとラジオ代わりに流している。
話している内容と言うのも数多くあり、単純な雑談がかなりの数を占めている。
しかし、ある時だけ、午後11時45分から午前0時15分だけは、全員が黙ってしまう。
この時間というのは、30分だけのラジオ番組として、誰かがやっている時間だ。
何か大事件でも起きない限り、あるいはそれを知らない人だけが話しかけてくることになっている。
それ以外はとても静かな、特別な時間だ。