人面送
悪友の京田から何やら大きな箱が送られてきた。何かと思ったら『人面送』だった。
京田は確か隣町で医者をやっていたはずだが、ずいぶん連絡を取っていない。
思い起こせば数年前、やつの自宅で家吞みをして以来だ。
「あいつからの人面送か。嬉しくはないな」
俺は呟いて、それでも封を切った。箱の内側に奴の顔が『人面蒼』の如く貼り付いている。
「よう、久しぶり。澤村、元気か?商店街の福引きで『人面送』が当たった。どうだ?不気味だろう。ワハハハハ」
立体的な顔が一方的にしゃべる。相変わらず見ているだけで腹が立つ。
「ところで俺は二日酔いなんだ。うーん、話してるうちに気持ちが悪くなってきた。レロレロレロ…」
「うわっ!」
俺は思わず箱から飛び退いた。もちろん映像だから部屋が汚れたりはしないが、悪趣味極まりない。
ゲロまで立体化されている。この仕組みはどうなっているのか。
俺は箱の下部についている『リセット』をタッチして、このバカメッセージを消去した。
顔がムニュムニュッと消えて、肌色の平面に戻った。
『人面送』は最近流行っている一種のグリーティングカード的なものだ。
だがカードとは違って、それは一辺が30㎝ほどもある立方体の箱である。
蓋を開けると、そこには送り手の顔が現れる。長さが10㎝かそこらの小さな顔だが、とにかくリアルだ。3Dのホログラムとも違う。
要するに実体があり、なおかつ肉体の存在感がエグいのだ。
リセットした箱は上半分が隙間で、下半分に肌色の柔らかい粘土が詰まっている、といったら判ってもらえるか。
俺は『人面蒼作成』をタッチして、カメラのレンズに自分の顔を向けた。
また肌色がグニョリグニョリと動き始め、俺の顔になった。
「ううむ。気持ち悪い。自分自身の顔にこんなことを言うのはどうかと思うが、これは不気味だ」
次に『メッセージ作成』を押そうとするが、よく考えたら奴などに何も言うことはない。あんな不愉快な画面を見せられて『お便りありがとう』では間抜けというものだ。
そういえば、最後にあった時の家吞み会ではあいつが昔の盲腸の手術跡を見せ『どうだこの傷跡』などと馬鹿なことを言うので、俺は俺で一昨年草サッカーの時に切ったアキレス腱の手術跡を見せた。
生々しさで俺の方が勝り、俺は勝ち誇った。
「ワハハハ、驚いたか。お前は俺には勝てないのだ。一昨日来やがれ」
懐かしくも馬鹿同士の付き合いだ。よく考えたらホントにちっとも会いたくない。
俺は一旦箱を閉じた。
翌日俺は映画研究会出身の友人を連れて、自宅に戻ってきた。
「じゃあ、頼むよ」
「大丈夫か。やりすぎると結構グロいぞ」
「望むところだ」
俺は出来上がったメッセージを再生してみた。
俺の顔が喋り始める。
「よう、お前こそ元気か。俺もまあまあ、やっているよ。だが忙しい。目が回りそうだ。目が…目が…ううっ、目が!」
俺の顔から目玉がドロリと溶けて流れた。
俺は眼球を流れ出させたまま、話す。
「見苦しい点には目をつぶってくれ。ウヒヒヒヒ」
俺は映研を褒め称える。
「いや、よく出来てる。ありがとう」
「まあ、いいけど。それにしてもこんなメッセージ送って大丈夫か。ホントに気持ち悪いぞ」
「あいつの本物のゲロよりはましだよ」
俺は人面送を京田当てに送った。
翌々日、京田から電話が入った。
「お前、ビックリするじゃないか!悪趣味だぞ」
どの口が言うか。
「ふん。ビックリさせられて悔しいか。俺の方が一枚上手だったな」
勝ち誇った俺に京田の唸るような声が聞こえる。
「くそう、見てろよ」
一ヶ月ほど音沙汰が無かったので、俺もすっかりこの『人面送』のことは忘れてしまっていた。
だから別の友人から『京田が死んだ』という知らせを聞いて本当にビックリした。
そして今度は警察から呼び出しが来て、さらに驚いた。事件性でもあるのか?容疑者じゃないよなあ。
容疑者ではなかったけれど、任意の参考人だった。刑事が言う。
「この箱が被害者のマンションに置かれていて、宛名は君だ。心当たりは?」
見れば、そう、そこにはあの『人面送』の箱が置いてある。うーむ、京田君。お前は最後まで迷惑な奴だったんだなあ。
京田はマンションで何らかの毒性のものに当たって死んだらしいのだが、自殺なのか事故なのか、それとも事件性のあるものなのか、警察も悩んでいるとのこと。
人面送は書斎の奥に置いてあって、俺に送るばかりの状態となっていたようだ。この箱は基本ただのビックリおもちゃのくせに何故かセキュリティが厳重で、一旦送り主をロックしてしまうと本人の顔認識でないと起動しないのだ。
俺と京田は一度『人面送』を交換してしまったため、セキュリティが働いたらしい。面倒な話だが仕方無い。俺は刑事の目の前で開封をさせられた。
「よお、この前はよくも気色の悪い顔面崩壊画像を送りつけてくれたな。後悔させてやる。今度は本物の食中毒画像だ。ギャハハハハ」
俺は刑事と顔を見合わせた。何だ、こいつ。京田と俺が凄い変態仲間みたいじゃないか。
人面送の京田は毒々しい色のキノコを食べ始めた。
「グハハハ、意外と美味いな。だが、これ以上食べるとホントに死んじゃうから、ここまでだ。うむ?何か気持ち悪いな」
訂正しよう。少なくとも京田は変態みたいじゃなくて、筋金入りの変態だ。人面送の京田はみるみる顔色が悪くなって、目が血走り始める。変な汗を額にかいて、舌が震えている。
「や、ヤバいな。ま、マジ、クラクリャすどぅ。こ、こんにゃシどい、ちゅ、中毒しょ、症状がでるはじゅじゃなかったんだゃが…」
それでメッセージは終了し、画面はリピートを始めた。
「刑事さん、どうやらこの男、自殺ではなく、その…ドッキリで毒キノコを食べて」
「うーむ。そうしたら思った以上に毒性が強くて…ということか」
刑事は理解しがたいものを見たようで、呆れた顔になる。
とりあえず俺への疑い?は解け、京田の死は事故ということで終了した。俺に何か責任があるかと言うと、妙な画像を送って事態をエスカレートさせたという引け目はある。
うーん。…とはいえ、最初にゲロゲロ画像を送りつけてきたのは京田だしなぁ。
やっぱ俺に責任はない。ないったらない。
人面送は所有権という意味では送付予定先であった俺にあるというので、受け取るように警察に言われた。もちろん一旦は断ったのだが、考え直した。
多少責任があるかも…とチラリとでも思っていた俺は供養のつもりでその箱を引き取ったのだった。
しばらくしたら、あいつの好物のでっかいシュークリームでも箱に入れて何処かに埋めてやろうと思う。そう考えたのが間違いだった。
翌々日、俺が夕飯にうどんを食っていると、押し入れから何か聞こえてくる。
「おーい」「おーい」
どう考えてもこれは京田の声だ。俺は食べかけのうどんを鼻から二本ほど飛び出させた。
「き、京田、迷ったか。成仏しろ」
俺は押し入れの中に向かって呼びかける。
「いや、そう言うな。別に恨んで化けてでたわけじゃない。ちょっと開けてくれ」
今度はハッキリと京田の声だ。
俺は押し入れに向かってひれ伏し、手を合わせる。
「な、ナンマンダブ、ナンマンダブ。六根清浄、六根清浄。ベル・エス・ホリマク、我と共に滅ぶべし。臨兵闘者開陣列在前。アーメンラーメン僕イケメン。エコエコアザラク・エコエコザーメン。えーと、えーと」
俺が思いつく限りの祈りや呪いやその他意味不明の呪文を唱えていると、また京田の声がする。
「澤村、気持ちはわかるが、俺も自分の状態がよくわからんのだ。ちょっとここから出せって」
…俺はスンと黙って無表情で部屋を出ると、とりあえず近所のコンビニに行った。
コンビニで2時間ほどウロウロして頭を冷やし、それから家に戻る。
「ワハハハハ。俺としたことがノイローゼとはな。幻聴が聞こえるなんて働き過ぎに違いない。明日は仮病で休もう。そうしよう」
そう言って、押し入れが視界に入らないように大回りし、入浴の準備をした。
「おい、どこへ行ってたんだ。いい加減にしろ!出せって行ってるだろ!」
押し入れからまた京田の大声がして、俺は脱ぎかけたパンツに片足を引っかけたまま、脱衣所で派手に転倒した。
「なあ、お前はなぜこういう風に生き返ったんだ。いや、生き返ったと言うべきか」
俺が人面送を開封すると中にはやっぱり京田の顔があり、憮然とした顔をしていた。
「そんなことが判るわけないだろう。俺もつい2時間ほど前に眼が覚めて、気がついたらここにいた」
箱の中の顔が普通に喋っている。頭がどうかなりそうだ。いや、なってるかもしんない。
「真っ暗な箱の中で2時間だ。おい、不安だったぞ」
「うう。気持ちが悪い。不安て、お前。もう何ていうかお前の存在自体が不安という言葉じゃ表しきれないくらいの不吉さだよ。頼むから成仏してくれ」
「そう言うな。俺だってこんなバカな状態は信じたくないさ。ところで、澤村」
「…何だよ」
京田がテーブルの方向を向く。
「腹が減った。何か食わせてくれ」
「…腹が減るのか」
仕方なく俺は自分の食べかけのうどんを温め直し、手のない京田の口に箸で持っていってやる。
「ほら、食え」
「うむ。悪いな、アーン。うぐうぐ。ズルズルズル」
「…どこへ入っていくんだ」
「知らないよ。おい、ちょっとテレビをこっち向けてくれ。見えないから。アーン、うぐ。…ズルズルズル」
「…この角度でいいのか。何でお前はそんなに落ち着いているんだ」
「ふん、慌てたら事態が好転するというなら慌ててやるけどな」
何だ、こいつ。腹立つな。
一杯のかけうどんを京田に食わせ、麦茶をストローで吸わせた後、俺は訊く。
「なあ、京田。言い残したことがあるとか、事件の真相を語るためとか、何か事情があって初めてこういう不思議な出来事が起こるもんじゃないのか」
この事態を収めるためだ。心残りがあるのなら聞いてやろう。
「事件の真相か。うーむ。俺はお前をビックリさせるために毒キノコを食べて、本物の食中毒映像を作ろうと思ったのだが、食べ過ぎて失敗した。どうだ、ビックリしたか」
そのまんまだ。
「お前はどうしたいんだ。こんな状況、俺は耐えられん」
「ムヒヒヒ。気の毒にな」
「こ、この人面蒼野郎…」
さすがに俺がキレそうになったのを感じ取って、京田が付け加える。
「まあ、まあ落ち着け。俺だってこれじゃあ困る。何かあるような気がするんだ。俺がこの箱から離れられるキーワードのようなものが」
苛立つ俺はスウと深呼吸してから、考え込む。
「つまりそれがお前の心残りってことか。好きな女に告白し損ねたか」
「うーん。病院の看護師に何人か手を出したが、そこまで思い入れは」
俺は箱を閉めた。
「悪い。反省してる。すいません。もうしません」
もう遅いよ。
仕方なくもう一度箱を開け、もう一度訊く。
「両親に伝えたいこととか、病院経営で気になることとか」
「うーん」
「食べたいものとか、行きたかった所とか」
「ヌハハハハ、ピンと来ませんなあ」
また箱を閉める。
「悪かった。澤村。悪気はないんだ。不安で口調が軽くなる」
こいつは不安だと人を煽るのか。
箱を開けて奴を睨みながら、俺は考える。
「そもそもこの『人面送』を俺に送ってきたのは何故なんだ」
そう言われて京田も「ふむ」と考え込んだ。
「確かにな。しばらくお前と会ってなかったから、顔を見たかったというのはあるかもしれないが…」
「俺はまったくそんなこと無かったぞ。お前の手術跡なんか二度と見たくないからな」
俺の言葉に京田は眼を瞬く。
「何だ、それは」
「覚えていないのか。お前が俺に盲腸の手術跡を」
「ああ、思い出した。澤村の手術跡の方が気持ち悪くて負けた気分になったな」
こうやって言葉にするとあまりに馬鹿らしくて涙が出そうだ。
俺が涙ぐむ間もなく、京田は俺の顔をジッと見つめて言う。
「そうか。俺はお前に負けたのが悔しくてこの『人面送』を送ったんだ」
「死んだお前に言うのも何だが、お前はもっと大人になれよ」
「そういうお前だって特殊メイクまで使って俺に返送してきたじゃないか」
そういえばそうだ。こいつのことは言えないか。
京田が身は乗り出せないので、箱の中で顔を乗り出して頷いた。
「それか」
「どれだ」
「多分俺はお前なんかにビックリさせられたままだったのが無念で、こういう状態になったのだ」
近所迷惑にもほどがある。勝手に人をライバル視して、化けて出るなど大人のやることとは思えない。
「わかった、わかった。もうお前の勝ちだ。少なくともお前が押し入れの中で声を出したとき、俺はうどんを鼻から飛び出させた。無かったことにしようとして2時間ほど外でクールダウンしたが、その後風呂に入ろうとして、またお前の声が聞こえて今度はパンツが半分脱げたまま転倒した」
「ワハハハハハ、そうか。そんなに驚いたか」
人面蒼の鼻の穴が膨らむのを初めて見た。
「ああ、間違いない。お前の圧勝だ」
俺の言葉に京田は心から満足そうな顔をして眼を閉じた。
「うむ。これで思い残すことはない」
こいつはホント、しょうもない人生の終わり方だなあ。反面教師にしよう。こんなアホのようにはならないようにしないと。
「おい、澤村。何かお前失礼なことを考えていないか」
眼をカッと開いた京田が箱の中から睨む。
「な、ない。何としょうもない奴だとか今世紀最大のアホ事件だとか、そんなことは1ミリも思っていない」
「…まあ、いいだろう。力が抜けてきた。澤村、お別れだ」
人面送が徐々に平坦になっていく。
「京田、この箱にシュークリームを入れて埋めてやるからな」
「礼を言うぞ。さわむ…」
それっきり箱は二度と動かなかった。
翌日、俺は奴に約束した通り箱の中にシュークリームを一ダースも詰め込んでから粗大ゴミとして処理した。他に捨て方がわからなかったし。
これで、ようやく終わった…と思ったのは甘かったのだった。シュークリームだけに。
例によって完全に京田のことなど忘れていた半年後、そいつは急に俺の家の壁に出てきた。
「よう、久しぶり」
リビングの壁に京田の顔が浮き出ている。
「お、お前…成仏したんじゃ」
「うーむ。それがな」
京田は何事もなかったかのように話し始めた。
「何かよく判らないうちに、自分の家の壁に出てきてな。それから気がついたら、どこにでも出られるようになった。ほら」
そう言うとやつは壁から消え、その後何と俺の手の甲に浮かび上がった。
「ぎゃああっ」
俺はあまりの驚愕に飲みかけていたコーヒーを鼻から吹きだした。
「おい、汚えなあ。俺にもかかったじゃないか」
京田の顔は俺の手の甲でそう言うと、スッと消えた。
次の瞬間、人面蒼が俺の座るソファーの背もたれ、俺の右脇付近に浮かび上がる。
「や、止めろ。ホント心臓に悪い」
俺は震えながら京田に懇願する。
「ワハハハ。ビックリしただろう。どこからでも自由自在だ」
そう言うと今度はテーブルに位置を移す。
「いい匂いだなあ。俺にもコーヒーをくれよ」
俺はあまりの不気味さと京田の無礼さに腹が立ってきたが、ヘソを曲げられてここに居座られるのも大変困るので、仕方なくもう一杯インスタントコーヒーを入れて持ってくる。
「またストローか。面倒だ」
俺がそう零すとテーブルに浮かんだ京田がニヤリと笑った。
「あのさ、こんなことも出来るんだ」
何と頭が浮いて肩から手までテーブルから出てきた。もはやこれは人面蒼ではなく、怪人テーブル男だ。
「おい、澤村。お前今、心の中で怪奇人間テーブルとか思っただろう」
京田が睨みながら、コーヒーを一口飲む。
「思ってない。そんな失礼なことは」
ちょっと違うからな。
「だが、京田。お前、そこまで身体が出せるのなら、もしかして全身出てこられるんじゃないのか」
俺の問いに京田が少しだけ心細い顔となった。
「出来そうな気がするんだ。だが」
「うむ。だが?」
「壁やテーブルから離れて生きていける気がしない。全身飛び出た瞬間に死ぬ気がするんだ」
京田は両手をテーブルから出して腕組みした。
「も、もうお前、とっくに死んだ筈じゃん」
俺はその京田の妖怪っぷりに眼を見開く。リビングのテーブルに裸の男の上半身が生えている。家を出てコンビニに行って、2時間くらい頭を冷やしたい気分だ。
「そう不気味な眼で見るな。俺だって傷つくぞ」
「嘘言え。傷つくくらい繊細な奴がそんな怪人テーブル男になったりするもんか」
俺が泣き声で言うと、京田もさすがに自分の姿を見て、顔だけ残して上半身を引っ込める。
「だが澤村、この身体はなかなか便利なところもある。どこにでも忍び込めるし、のぞき見や盗み聞きが自由自在だ。モノを持って潜れないから窃盗は無理だが」
京田が能力のプレゼンをするが、まったく俺の気は乗らない。
「京田、何か役に立ちそうな気もするし、お前のその能力は金につながりそうな気もするが」
「む、そうだろう」
「俺はそういうのとは無関係で頼む」
出来たら完全に縁を切ってくれ。
「ふうむ、まあ、お前はそう言うとは思ったが」
京田は特別残念そうでもなく、またニヤリと笑う。
「お前には世話になった礼を、と思ったんだが。まあいいだろう。俺の地下での活躍を楽しみにしていてくれ」
テーブルから京田の顔が消えかかったと思ったら、手が出てきてバイバイと振られ、それからようやくすべてが消えた。…地下の活躍って何だ。
しばらくして奇妙なニュースがたびたび世間を賑わした。
『大規模なインサイダー取引か?どこからか情報が漏れた?』
『密室の汚職、なぜか会話の一部始終が暴露される。首相官邸のどこかに盗聴器?』
『アイドルと俳優の密会現場。生々しいそのやり取りの一部始終が明らかに。どちらがリークしたのか争って破局へ!』
…もちろん京田のせいという確証はないが、関わった当人しか知らない筈の様々な情報暴露事件が相次ぎ、その度に俺は奴の不気味な人面蒼フェイスを思い出して、またコンビニへクールダウンに行くのだった。
さて、潔く俺の部屋から消えていった人面蒼の京田だが、今頃どうしているか。
「おーい、澤村。今夜はピザとろうぜ。コーラとピザな。太らない身体っていいもんだな。ワハハハ」
天井に張り付いた京田の顔が嬉しそうに、そして遠慮の欠片もない大声を出した。
実はまだ俺の家にいるのだった。
読んでいただき、ありがとうございます。
ラストの「実はまだここにいるのです」を一回やってみたかったのです。