表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヤクザと恋してみました。

作者: haru

今日も新宿歌舞伎町は多くの人で賑わっている。その光の裏で今日も私の彼は“仕事”をしていた。

「やめてくれ…!金なら明後日までには何とかする…!」

50代後半だろうか。冷や汗をかきながら後退りしている。

「金、早くよこせ」

男のポケットから財布を引き抜くと

「これしか入ってねぇのかよ」

財布から10万ほどの札をとると銃を男につきつけた。

「命だけは!このとおりだ!」

引き金を引いた音は街の喧騒にかき消された。

「これからデートだってのに、血が付いちまった」

独り言を呟くとタバコに火をつけた。独特な柄のワイシャツには血がついている。返り血をあびたらしい。

「もしもし、今終わった。後片付けは任せた。」

仕事の終わりを告げた電話だった。彼は足早にその場から立ち去った。一番街へ出ると人並みの多さに気持ち悪くなるほどだ。待ち合わせの近くのトイレへ寄り返り血を洗っていた。幸い、着ているワイシャツが赤で返り血はあまり目立たなかった。鏡を見ると顔にも血がついていた。どおりで周りの人が避ける訳だ。トイレを出ると更に人が増していた。金曜日の夕方というのも相まっているようだ。彼女と待ち合わせ時間まであと15分。もう居るのだろうか。彼女はいつも早めに来ていることの方が多い。チンピラに巻き込まれていなきゃいいが。自分の予想が当たっていた。彼女は街のチンピラに巻き込まれていた。チンピラの男の手を掴む。

「何だよ、この野郎!」

チンピラと目が合った瞬間に男は手を引っ込めた。

英龍会のバッチが見えたからだろう。

「すみませんでした!!」

チンピラ達が足早に去っていった。

「大丈夫か?」

振り向くと、彼女は大丈夫と言いながらも足が震えていた。彼のスーツの袖をぎゅっと掴んでいた。

「悪かった、もうここで待ち合わせにするのはやめよう」

そう告げて彼女を抱きしめた。ふわっと甘い香りが漂う。いつもの彼女の匂いに、気を張っていた心が解けた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ