臆病の王
4/15 少し読みやすさを意識し、改行を入れてみました。
国の中でも一際大きく目立った時計塔の建物。この国の王様はその建物の中で仕事をしていた。
今回の仕事は……
「ユーゴ国王様」
「あっ!ばっ!!!ヒィッ!!!殺さないでください……!!!」
「……ユーゴ国王様。貴方様の側近ビリジトです」
王室とは思えぬような書斎とも呼べる少し狭い部屋に、棚やボード、机にその上に積まれ置かれた書類の数々。そこの椅子に座るのは、なんとも弱々しい王様だった。
「あ……あぁ……良かった……ビリジトか……」
一応室内に入る際、ドアをノックして入る旨を伝えて入ったのだが、何故かすごく怯えられてしまった。
この怯え具合は日常茶飯事で、この王様は四六時中人が来る度に怯えてその人物が安全かどうかを確認する癖があった。
「最近は人口が増加し、市場も盛んになり毎日賑わっております。」
「それはなにより」
「ですが、危惧しなければいけないことがあります。それは使える土地が狭くなってきていること。このままでは十分な畑も耕せなくなり、やがては貧困を招きかねます。」
実際、民たちの移住食である家も最近は大所帯になり、すし詰めになってきている問題が最近目立ち始めていた。
「あ、あぁ……では土地を広げておこう」
「でしたらまずは他の国へ申請しに行かなければなりません。」
「へ?」
「領土問題ですよ。勝手に土地を広げてしまっては他の国との争いを生んでしまいます。」
これは世界の取り決めであり、その決め事を破ると宣戦布告と見なされてしまい戦争へと発展してしまう危険性があった。
「他の国の……王様から……!!死ぬ……!そんなことしたら今度こそは絶対に死ぬ……!!!」
大袈裟に怯えて怖がりながら、机の下に頭を隠す国王ユーゴ。他の国の王様たちはそんなに野蛮なのだろうか……
「はぁ……国民のためですよ王様。」
「わ、わかってる……。ふぅー……。行きましょう、申請に」
気を確かに持ち直したその目には覚悟が宿っているようだ。では、とビリジトが
「……今回は送迎係兼護衛を、パイロットであるイースに一任させます。」――
不定期更新です