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吸血鬼。The Vampyre.  作者: ジョン・ウィリアム・ポリドリ博士 Dr.John William Polidori/萩原 學(訳)
ポリドリ博士の日記
43/52

6月12日

6月12日 街へ騎乗。巡回図書館で定期購読、夜はオディエ夫人宅に伺う。誰もいなかった。オディエ嬢は時間をつぶすために、平板で戦争のようなランツ・デ・ヴァッシュを演奏した。人々が到着した。O博士とパルパニズム[9]などについて話し合った。ワルツ、コティヨン、フランスのカントリーダンス、イギリスのダンスなどを踊り始めた。イギリス人以外の女性たちは皆ワルツを踊っていた。スレイニー夫人に紹介され、次の晩に招待された。紹介なしで女子を誘うと、嫌いな人は断られるとか。夜半まで。『バランス』に泊まる。

June 12.—Rode to town. Subscribed to a circulating library, and went in the evening to Madame Odier. Found no one. Miss O[dier], to make time pass, played the Ranz des Vaches—plaintive and war-like. People arrived. Had a confab with Dr. O. about perpanism,[9] etc. Began dancing: waltzes, cotillons, French country-dances and English ones: first time I shook my feet to French measure. Ladies all waltzed except the English: they looked on frowning. Introduced to Mrs. Slaney: invited me for next night. You ask without introduction; the girls refuse those they dislike. Till 12. Went and slept at the Balance.

circulating library: 当時は巡回図書館なる貸本屋の一種があったらしい。


Ranz des Vaches: アルプスの牛飼いが角笛で牛を呼び集めるときの旋律。


編注[9]

perpanism と書かれている言葉は、あるいは perhanism かもしれない。 このような言葉は、医学的なものであれ、その他のものであれ、存在するのだろうか? ひょっとしてピュロニズムというべきだろうか?

The word written is perpanism, or possibly perhanism. Is there any such word, medical or other? Should it perchance be Pyrrhonism?

訳注 Pyrrhonism とは、不可知論者ピュロン Pyrrho に由来する懐疑論の一種。ピュロン主義は1562年、セクストス『ピュロン主義哲学の概要』のラテン語訳によって再発見され、モンテーニュ、デカルト、ヒュームなどに影響した。その近代的懐疑論を象徴するのが Balance scales すなわち天秤である。


Went and slept at the Balance.: その名の宿に泊まったものと思われるが、見当たらない。

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参考文献

Wikisource: The Vampyre
翻訳の底本にした単行本の電子書籍版。原典影印つき
Internet Archive: The New Monthly Magazine 1819-04-01: Vol 11 Iss 63
初出の掲載誌影印本。些か読みにくいのが難点
The New Monthly Magazine 1819-05-01: Vol 11 Iss 64
ポリドリ博士の抗議が掲載された5月号
The Vampyre (in Short Ghost and Horror Collection 011)
LibriVox にある朗読
The diary of Dr. John William Polidori
The diary of Dr. John William Polidori
作者の甥ロセッティが編集発行した日記。編者による序文つき
The Vampyre as a literary war on the image of Greece
The Byron Society に収録されたKonstantina Tortomani さんの論文
Peter Cochran’s Website – Film Reviews, Poems, Byron…
バイロン研究家、ピーター・コクラン氏のサイト。バイロン卿の手紙あり
The Vampyre;A New History
Nick Groom による吸血鬼の歴史
Polidori’s ‘The Vampyre’: Composition, Publication, Deception
Nick Groom 2021年の論文
POLIDORI'S THE VAMPYRE
The University of Queensland, Australia Contact Magazine
ハムレット
第1幕第2場
Wikipedia
メドヴェジャ Medvegja
Arnold Paole
コシツェ
天国 (イスラーム)
パウサニアス (地理学者)
Jean Marc Jules Pictet-Diodati
calèche
Sécheron
リピーター(時計)
Suzanne Curchod(Madame Necker)
Ranz des Vaches
ブログ
『悪の華』の謎を解く3――ハイデガーの郷愁とノヴァーリスの夜
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