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吸血鬼。The Vampyre.  作者: ジョン・ウィリアム・ポリドリ博士 Dr.John William Polidori/萩原 學(訳)
前書き
1/53

説話『吸血鬼』The Vampire. A Tale. の成り立ちについて

本作品は、ジョン・ウィリアム・ポリドリ博士 Dr. John William Polidori によるゴシック小説『吸血鬼』The Vampire; A Tale. を章分け及び一部修正し、訳文を付したものである。題名にある tale は、「物語」とも「お話」とも訳され、類語の中では「作り話」の意味合いが強い。此処では「説話」と訳す。ホレス・ウォルポール『オトラント城』以来の「ゴシック小説 Gothic Stories」としては、城砦の描写を欠くので微妙ではあるけれど、化け物も東方趣味も「ゴシック小説」の要素。今日(こんにち)では、というか当サイトのジャンル区分では「ホラー」になるけれど、そんなものは当時まだ無かったから、「ゴシック物語」の一つとして知られたものと考えるべきであろう。底本には Wikisource にあるシャーウッド・ニーリー&ジョーンズ版と、近年になって公開された The New Monthly Magazine 1819年4月1日号影印を用いた。

挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)

当初、Internet Archive で公開された影印は判読困難な箇所も多かったところ、Wikisource で進められている The New Monthly Magazine 電子化で該当部分が公開され、読み易くなった。

挿絵(By みてみん)

御覧の通り、雑誌では by Lord Byron と謳っており、このため説話 The Vampyre. はバイロン卿の作品として世に広まってしまった。これについてポリドリ博士は The New Monthly Magazine 編集部へ出版の翌日、バイロン卿はGalignani(ガリニャーニ)誌へ4月27日、それぞれ抗議の手紙を出し、ポリドリ博士の手紙は一部が次号に掲載された。これにより、本作品の著者はポリドリ博士となる。詳しくは後書きにて。

挿絵(By みてみん)

シャーウッド・ニーリー&ジョーンズ版の単行本は、次の4部から成る。

1. Extract of a Letter from Geneva

2. Introduction

3. The Vampyre

4. Account of Lord Byron's Residence, &c.

雑誌記事では4を欠き、2は小題を欠く。代わりに[......Ed.]と括弧書きされた編注が入る。これまで邦訳された『吸血鬼』では、此等を揃えることなく、ほとんどは3のみ翻訳、たまに2を添えるばかり。所謂『ディオダティ荘の怪奇談義』は1にあるから、読者は重要な背景情報から遮断されていた訳で、これは翻訳として不誠実極まりない態度と言わざるを得ない。この翻訳では4部全てを訳した。

本文は、ろくに改行もなくダラダラと続くばかりで読みにくく、それだけで字数制限を超えてしまう。そこで、訳者の趣味に於て章分けし、小題を附した。この点は訳者の創作であり、原文には含まれないものと承知されたい。

『ハムレット』以来の幽霊譚 Ghost Story として創作された本作品の語句には、当時の流行り物や慣習、聖書・『ハムレット』・コールリッジ『年寄り船乗り』『クリスタベル姫』などからの引用あるいは影響がふんだんに含まれ、訳していて解らないものも多かったから、そこは訳注を入れた。訳注の中には平井呈一訳への批判もあるが、訳者の私怨が籠もっただけなので、読者は気にされずとも構わない。

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参考文献

Wikisource

The Vampyre
翻訳の底本にした単行本の電子書籍版。原典影印つき
The New Monthly Magazine and Universal Register/Volume 11/Number 63/The Vampyre
初出の掲載誌

Internet Archive

The New Monthly Magazine 1819-04-01: Vol 11 Iss 63
同上。些か読みにくいのが難点
The New Monthly Magazine 1819-05-01: Vol 11 Iss 64
ポリドリ博士の抗議が掲載された5月号

その他

The Vampyre (in Short Ghost and Horror Collection 011)
LibriVox にある朗読
The diary of Dr. John William Polidori
The diary of Dr. John William Polidori
作者の甥ロセッティが編集発行した日記。編者による序文つき
The Vampyre as a literary war on the image of Greece
The Byron Society に収録されたKonstantina Tortomani さんの論文
Peter Cochran’s Website – Film Reviews, Poems, Byron…
バイロン研究家、ピーター・コクラン氏のサイト。バイロン卿の手紙あり
The Vampyre;A New History
Nick Groom による吸血鬼の歴史
Polidori’s ‘The Vampyre’: Composition, Publication, Deception
Nick Groom 2021年の論文
POLIDORI'S THE VAMPYRE
The University of Queensland, Australia Contact Magazine
ハムレット
第1幕第2場
Wikipedia
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Arnold Paole
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パウサニアス (地理学者)
Jean Marc Jules Pictet-Diodati
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Suzanne Curchod(Madame Necker)
Ranz des Vaches
ブログ
吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ
【全訳】ジョン・W・ポリドリ博士『吸血鬼』The Vampyre; A Tale.
【原典版】ジョン・ウィリアム・ポリドリ博士『吸血鬼』
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