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化心  作者: 榛原朔
間章
78/432

間話-科学者達

マキナが呼び起こし、ニコライが発展させたガルズェンスの科学だが、その担い手になったのは何も聖人だけではない。

いつの時代にも、それを学ぼうとする者はいた。

それはもちろんこの時代にも……




彼らは、当たり前のことだが生まれた時期や場所など、その全てがまるで違った。


一方は首都バースにて、科学者として多少は国の手助けになっていた両親の元に。

そしてもう一方は、狩猟ギルドのある少し寂れた情景の村で、狩人の父と小さな駄菓子屋を営む母の元に。


真逆の環境で、しかし全く同じ道を進んだ。

蒸気と風、菌。

どちらも同じく神機を預かり、どちらも同じく研究に励み、そして2人は真逆の性格で。




「おーいっ、ヘーローン!!」

「はぁ‥‥何よ」


研究塔を静かに歩いていたヘーロンに駆け寄ってきたのは、騒々しく飛びついてくるブライスだ。

ヘーロンは、そのせいで書類をいくつか落としてしまっている。

だが、拒絶しているような雰囲気でもない。

親愛がそこにはあった。


「ヘーロンの神機って、あたしのより微生物学に向いてるからさー。また手伝ってほしくって」

「前にも手伝ったじゃない」

「今度は培養肉だよ!!」


その言葉を聞くと、ヘーロンは少し考え込む。

自分が今行っている研究とどちらを優先させるべきか、と。

1分ほど考え込み、出した結論は……


「仕方ないわね」

「やったぁ、ありがとー!! ヘーロン大好きー!!」


ブライスは、その答えを聞くと笑顔の花を咲かせる。

人によっては目を背けたくなる程の輝きで、そのじゃれ合いの激しさもさらに増した。


すると当然、ヘーロンは体勢を崩して文句を言う。

平和で、温かくて、幸せで。

姉妹のような科学者は、2人一緒にメトロへと向かった。






~~~~~~~~~~




研究塔の中央。

ニコライが主に活動している場所で、アレクはにこやかに彼に声をかけていた。

目的は量産のための設備についてだ。


「ニコライ様、こんな感じでどうっすか?」

「ふむ……」


内容は至ってシンプル。

グレードレスに巨大な製造工場を作り、レーンを一直線に設置する。


そして、ただひたすらアレクが最適化し続ける。

取り敢えずの設備としては、設備の位置や順序も、規模に見合った電力も、機械の強度も足りていた。

だが、明らかに改造前提の大雑把なものだ。


ニコライは、しばらく考え込むとアレクに助言をする。


「この場所にこの設備はよくない。

このタイプはもっと……」


取り敢えず作って直していこうがアレクのモットー。

ただ、それは憧れの人のやり方ではないので、いつもこのようにダメ出しをされてしまっていた。


しかし、それもアレクの幸せの形だ。

次の案、さらにその次の案をどしどし出していく。

すると、さらにダメ出しをされるのだが……


「流石っす。尊敬っす。確かに甘かったんですぐ直すっす」

「うむ。頑張りたまえ」

「えへ、やる気出たっす〜」


ニコライの助言を期待と捉え、ニコライの労いを至高のものと感じている。

そしてアレクは、量産工場の完成に向けてさらに奮闘するのだった。


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