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化心  作者: 榛原朔
二章 天災の国
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186-呪いは災いに誘われて・後編

さっき倒したばかりの泥人形は、際限なく生まれ、リュー達の両親の姿になっていく。


その光景を見たリューは、茫然自失してしまっていた。

視線が乱れ、青くなった顔で呼吸を荒らげており明らかに正常な状態じゃない。俺が全員倒すべきか……?


「何、人も……!!」

「ねぇ、殺して見せてよ。あのマッドサイエンティストじゃないけど、これは僕も気になるなぁ」

「はぁ……はぁ……!! やるに、決まってんだろ……!?

今生きてるのは、俺達だ……!! 俺達、だけなんだよッ……!!」

「ふぅん、やっぱ実際に会ってないしできちゃうんだ。

じゃあ君は? クロウくん」

「は……?」


リューが必死の形相ながらも泥人形を吹き飛ばし始めると、エリスは同じように斬っていた俺に話しかけてくる。

思わず剣を止めて見上げると、岩の柱に埋め尽くされ、閉じられた空には、俺をジッと見つめているエリスがいた。


俺を飲み込むような底の見えない瞳……

笑顔なのに、考えるまでもなくそこにいるのに、どこにもいないような……


「ほら、そこにいるのって君の村の人達でしょ?

親や幼馴染みだって揃ってる。

君にとってはみんな家族だったはずだよ」


俺が身動きできずにいると、エリスはわくわくとした口調で向こう側にいる泥人形達を見るように促してくる。

その瞬間、俺の体は自由になった。


「……」


何故か痛みが増してきた右目を抑えながら、俺はゆっくりと示された方に視線を移す。


するとそこには、俺より少し年上くらいの青年や、親くらいの年齢っぽい男女、少年少女、おじさん、おばさん、老人などが立っていた。


エリスが言うには村の人らしいけど……特に感情は動かない。

ちらりとエリスを見上げてみると、随分とわくわくしているみたいだ。むしろ、期待に添えないのが気まずいな……


「俺は……そもそも、覚えてねぇから。なんとも思わねぇよ」

「あっははは、最高だ! それでこそ僕らを殺す神秘だよ!

その歪み……いつか迎える覚醒が楽しみだ!」

「……?」


俺が構わず倒しにかかると、エリスは嬉しそうに笑いながら空中を回転し始める。

何が嬉しいのかはまったくわからない。理解不能だ。


「……うーん。でもまぁ、僕らを殺すってことは邪魔ってことでもあるし、死んでくれてもいいんだけどね?」


エリスには今直接手を出すつもりがない。

そう判断して泥人形達を斬っていたのだが、しばらく俺を眺めていた彼は、唐突につぶやいて手を打ち鳴らす。

すると……


"カラクムの輝き"


「クソっ、結局……!!」


俺の周囲にある地面は崩れていき、泥人形もろとも落とされた穴の底で炎に包まれてしまう。


水の相で対抗してみるも、焼け石に水だ。

決して触れた瞬間に炭になるような業火ではないのに、火が消える様子はない。


業火ではないからすぐ燃えないけど……

じわじわと、熱い……!!

穴に落とされたせいで逃げれもしないし、ぼーっとする……!!


"万土漫遊"


「いっ……!?」


剣で地面を抉ったり、御札で自分だけでは出せない量の水をかけたりと、俺がどうにか助かろうと苦心していると、しばらくしてから今度はいきなり地面が盛り上がり始める。


さらには、指のような動きをする岩に持ち上げられたかと思うと、燃えていた足場を潰して安全な足場まで生まれた。


地面ごと地上に昇りながら辺りを見回してみれば、泥人形ごと穴が埋まっていくだけでなく、落ちていなかったリュー達の周りの泥人形まで消えていっている。

もう意味がわからない……


「こほっ、こほっ……蛙使いの荒い梟じゃ、まったく……」

「谷爺っ!?」


俺がされるがままになっていると、地上に降ろされた俺の後ろから声がかけられる。慌てて振り返ってみれば、そこにいたのは蛙の守護神獣――多邇具久命(タニグクノミコト)だ。


どうやって来たのかはわからないが、俺を助けに来てくれたらしい。百鬼夜行の時に、彼が先に愛宕に向かってから会ってなかったけど、無事でよかった……


「多邇具久命……」

「久しいの、エリス」


熱から解放された俺がホッと一息ついていると、谷爺とエリスが静かに話し始める。

鈴鹿さんと同じく、彼らも知り合いだったらしい。

まぁ、彼女と同じように敵対するんだろうけど……


「ふん……ま、そうだね。はぁ、そんなボロボロで落ちてきたってことは、どうせあの梟だよね?

大人しく死んどけばよかったのに」

「もち〜! ミーが泥爺を落としたのさ!

死にかけドロドロ偽物吸引! 泥に塗れて人形還元!」

「くっ……!!」


"影喰イ"


予想通りエリスが面倒くさそうながらも敵対心を見せると、どこから現れたのか、いきなり黒い物体が彼に襲いかかる。

彼らの話的にも物体の口調的にも、あれはおそらく射楯大神(イタテノオオカミ)だろう。


あれだけ騒がしくて、なんで気づかれずに接近できたのか……

ともかく、これで守護神獣が二柱。

大厄災にも対抗できるんじゃないか……?


「ふふ……森に牙を剥かれちゃ堪ったもんじゃない。

ま、それでも僕には敵わないけどね。堕ちろ、ゲス梟……!!」


"ダウンバースト"


「くぺ……!!」


だが、そんな俺の期待もつかの間。

エリスが手をくいっと下に向けると、楯助は空から吹き下ろした爆風に叩き潰されてしまう。


それは地上に激突しても威力は変わらない。いや、それどころかむしろ破壊的になって俺達にも遅いかかってくる。

動けないし、息もできない……!! いや、圧倒的……!!


「はっ……!!」

「息はできるかの?」


俺が懸命に爆風を耐えていると、唐突に息が楽になる。

どうやら谷爺が岩で風を遮ってくれたらしく、顔をあげると困り顔の彼が横目で見ていた。


「あ、谷爺。ありがとう、できる。けど……」

「ううむ、儂らでは勝てんじゃろうなぁ。ごふっ……」

「どうすんだよ、これ……!!」

「鈴鹿も止められとるみたいだしのう……こほっ」


ひとまず爆風を防ぐことはできているが、エリスが止めない限り続きそうなのでいつまでも保つとは思えない。

とはいえ、俺達の手札はちっぽけな運、剣などの武器、谷爺の岩や泥などだけで、対抗手段にはならなそうだ。


こんな規模の攻撃じゃ運関係ないし、矢もすぐ弾かれる。

打てる手はこのままこの岩陰でエリスの気が済むのを待つくらいだろう。


それか、ヴィニーと土蜘蛛が隙を見て動くとか……いや、この規模だ。どこにいようと耐えるのに精一杯か。

あいつの気が済むまで待つ、もしくはどうにかして動く方法を考える、だな。


もし谷爺が俊敏に動けるなら、土に潜って接近とかできそうだけど……さっきから吐血しているし、無理はさせられない。

いや、というか……


「そもそも、この爆風はなんなんだ……?

エリスが持ってんのは泥の呪いだろ?」

「さての……儂らが初めて会った時、彼女はほとんど戦闘能力を持たないサポーターじゃった。多くの仲間と共に、ゴホッ……アポカリプスと戦う勇士ではあったがの」

「は!? 彼女……!?」

「やぁ、君たち。随分と面白そうな噺をしているね」

「ッ……!?」


移動はできても風の出どころがわからない……と話を聞いていると、突然背後から声をかけられた。

慌てて振り返ると、そこにいたのはもちろんエリスだ。


この爆風を吹き下ろしている元凶であるため、特に関係なく接近してこられたらしい。


右手に顎を乗せた格好で羽ばたいている彼……? 彼女……? は、明らかに谷爺を睨んでいるのに、表面上はにっこりと笑みを浮かべている。


……今、初めてわかった。

これはいつも、笑顔の仮面をつけていたんだということが。

以前も今も、殺そうとしてるのに笑っているんじゃなくて、笑顔を貼り付けながら殺そうとしているのだと。


「面白い……そう、お主は言うのじゃな。この話が」

「そう。面白いよ、この噺は。僕も忘れてしまっているような大昔の御伽噺でしょう? もっと聞きたいなぁ」

「……どこまで本気なのやら」

「すべて本心だとも。……ただし、核心に迫れば殺す」

「はぁ……じゃろうな。こほっ……」


俺と話す時は好々爺然としていた谷爺だったが、続きを促すエリスに対しては慎重で、若干冷たい対応だ。


俺を庇うようにこちらを飲み込んでくるような瞳と対面し、だが動きを止めることなく泥を操り、何かあればすぐに防げるようにしている。


俺やリューはうまく動けなくなったのに動けるなんて、流石は守護神獣……弱ってても俺より断然強い。

無理は、させたくないんだけど……


しかも、あれの返答も予想していたらしく、自分から続きを促しておいて話し過ぎたら殺すと宣言するエリスに、ため息をついていた。


鈴鹿さんとエリスが話していた時もそうだったけど、彼らとは生きてきた時間や見てきたものが違いすぎて、まったく話についていけないな……


「ねぇ、多邇具久命。せっかくのスワンプマンを消したり、クロウくんを助けちゃったり、すごくウザイのわかってる?

その上そんな昔噺までされちゃうんなら、正直、今一番消したいかもなぁ」

「ッ……!!」

「あはは。今はお呼びじゃないよ、クロウくん?」


"呪泥"


エリスの言葉に俺が思わず谷爺の前に出ようとすると、それは泥を操って、無数に枝分かれした槍のような攻撃を繰り出してくる。


以前ローズの茨を腐敗させていた技だ……!!

俺も少しはマシになったけど、剣だけでどうにかなるものでも……!!


"万土漫遊"


しかし、呪泥が俺に触れようとした瞬間、その触手は谷爺の泥に阻まれ、地面が軽くうねったことでエリス自身も後退を余儀なくされた。


また助けられたというか……つい動いてしまったけど、明らかに余計なことしたな……

俺はかなり情けなく思いながらも、これ以上谷爺の気を散らさないよう彼の後ろに戻る。


エリスは後退したが、これであれが意識を向けるのは谷爺だけになってしまっただろう。

俺を殺す気があるとしても、背後にいれば的は一つだ。


自分でも倒せないと言っていたし、本当にどうしたらいいのかわからない……


「っ……だから邪魔‥」

「風を、止めなァーッ……!!」


だが、一度高度を上げていたエリスが、ダルそうにしながらも再び谷爺を狙うべく地上に近づいてきた瞬間。

うねる地面の中から、突然人影が飛び出してくる。


エリスが岩で俺達を閉じこめたため、顔はよく見えない。

だが、武器は隙間からの月光を反射しているし、大きさ的にも問題なく判別できた。


人影が持っていたのは、紫苑よりも幾分大きい金棒。

つまりその人影は、さっき俺が思いついた通りに行動したらしい土蜘蛛だ。


彼女は叫びながら接近すると、引きずっている金棒で地面を引き裂きながら、渾身の力でエリスに殴りかかっていく。

しかし……


「ハァァッ……!!」


"覇壊"


「は? なに君」


引き裂いた岩を纏った金棒が、エリスに炸裂するかと思えたその刹那。言葉を遮られて苛立った様子のエリスは、わずかに遅れながらも土蜘蛛に気づき、目を向ける。

それだけで、彼らの戦いには決着がついてしまった。


"シンクホール"


まず、エリスが土蜘蛛を見据えると、金棒に纏わりついていた岩はすべて剥がれ落ちてしまう。

しかも、金棒から剥がれ落ちたのと同じように、彼女達の足元の地面までまとめてだ。


つまり彼女達の周りには、唐突にどこまでも続いていそうな大穴が現れた。底からは煙や光が漏れているので、おそらく溶岩まで直通である。


そしてもちろん、ただの金棒がエリスをどうにかできるはずもない。リューの足と同じように受け止められ、弾かれると、そのまま宙に放り出されてしまう。


土蜘蛛にはエリスとは違って翼がないため、エリスと大穴の間で交互に視線を動かし、信じられないものを見る目をしていた。


「は……!?」

「ばいばーい、つっちー?」

「土蜘蛛ッ……!!」


俺には、彼女を助ける術はない……

あんなに助けられて、気遣ってもらったのに、助ける術がない……!!


笑顔の画面を貼り付け、楽しげに手を振るエリスと、歯を食いしばって今にも落ちていきそうな土蜘蛛を見ていることしか……


「くっ、かかれい土塊!」


"万土漫遊"


俺が呆然と彼女が落ちていくのを見ていると、前にいる谷爺は怒号をあげて土を操り始める。

さっきまでのように防ぐためではなく、今にも穴に落とされようとしている土蜘蛛を、穴の外に弾き飛ばすための柱だ。


巨大な柱はまっすぐ穴に向かっていき、ギリギリのところで土蜘蛛を穴の外へ押し出……


「いやいや、この穴の上で大地の力は使えないよ。

みんな地球に飲まれちゃうんだから」


せなかった。

空を飛んでいるエリスが笑うと、土蜘蛛の金棒から岩が剥がされたように、彼らの足元に大穴が開いたように、谷爺の岩柱もボロボロと崩れて穴に吸い込まれていく。


柱の先端は土蜘蛛にぶつかったようだが、直後に崩れた中途半端な力では、外に弾き出すまではいかない。

だが……


「いいや、それで十分さ!! 崩れた足場でも、ほんの少しでも形があればあたしは飛べる!! 穴の外へ!!」


崩れていく岩柱に囲まれた土蜘蛛は、不敵に笑うと金棒を穴の外に放り投げる。そして、身軽になった体を縮めると、崩れていく岩石を足場に穴の外へ向かって思いっきり飛んだ。


「ぐぅ、あああッ……!!」


一度では崖端まで届かなかった土蜘蛛だったが、谷爺のお陰で崩れた足場はとめどなく供給されている。


また穴に落ちかけた彼女は、叫びながら再び岩石を蹴ると、今度こそ穴の外に転がり落ちた。

よ、よかった……!! ひとまず彼女は無事だ……!!


「はぁ……はぁ……あたしは、まだ……!!」

「なぁに、直接手を下してもらいたかったの?

じゃあ、今度こそ殺してあげる(ばいばい)


しかし、ホッとしたのもつかの間。

純白の翼を羽ばたかせるエリスは、いつの間にか倒れ込む土蜘蛛の前に現れ、首を傾げていた。


"モルテ・ラメール"


「ッ……!!」


助けたい。けど、俺が動いたらまた谷爺の邪魔になるかもしれない。そもそも、接近しても気を引くことすら難しい。

俺がそんな思考の檻に囚われている間に、倒れていた土蜘蛛を不気味な水が包み込む。


水中に浮かぶ土蜘蛛は、最初こそ藻掻いていたものの、すぐに痙攣してまともに動けなくなる。

岩は水に侵食される谷爺も、今度こそ助けることはできずに俺を止めるだけだった。


「紫……苑……!! あた……し、は……あん、たの……救いに……!?

あん、たに……!! 無、駄死に……は……!!」

「あらら。流石神獣、やっぱりタフだね。まだ多邇具久命も殺さないといけないんだから、早く死んでよ」


しばらくして水球から出された土蜘蛛は、今にも死んでしまいそうな顔色で懸命に紫苑の名前を呼ぶ。

口から黒ずんだ血を吐きながら、焦点のあっていない目で。


するとエリスは、ついに地上に降り立ったかと思うと、足を踏み鳴らして生み出した岩の槍で彼女に止めを刺した。

やはり笑顔を貼り付けて、どこも見ていないかのような目で見つめながら。


「はい、終わり。で、次は……」


土蜘蛛を岩の槍でぐちゃぐちゃにしたエリスは、満面の笑みで手を打ち鳴らすと、続いて俺達の方向に視線を向ける。

しかし、俺達が身構えた瞬間にかき消えると……


「がッ……!!」

「谷爺ッ……!? どっから、いきなり、なんで……!?」


俺の隣に現れ、さっき俺を燃やしていた以上の炎で谷爺を焼き殺し始めていた。


慌てて水の相で水をかけるも、やはり消えない。

剣を抜いてエリスに斬りかかるも、まるで鉱石でも斬っているような硬さで薄皮一枚斬れはしない。


以前ローズ達と戦った時に拮抗したなんてとんでもなかった。あの時も敵として見られていなかっただけで、最後の泥の海を出すまでもなかったんだ……!!


「流石に時間をかけすぎた……

君はさっさと死のうね、多邇具久命」

「……!!」


"水禍霧散"


"霧雪残光"


御札で剣に水を纏わせ、普段なら一撃で断ち切れる技を繰り出しても表面が軽く斬れるだけ。

連撃を繰り出しても、カラスの羽根のようなマントが少し切れるだけ。避けるまでもないようだった。


「くぅぅ……!!」


俺が何もできずにいる間に、谷爺はほとんど動かなくなる。

おそらく、もう死んでしまったのだろう。


だけど、こいつに避ける気がないなら……!!

みんな死んでしまったのなら、仇は俺が……!!

俺は、こいつを斬るという未来を……!!


"未来を選ぶ剣閃(スクルド)"


「ああ、それは駄目だよ。今はまだいい、だけど未来は何度も使っちゃいけない。それは人の身に余るものだ。

神でも……楽じゃないと思うけどね」


……は?

俺はエリスが立っていた場所に、全力で剣を振るった。

だけど、さっきまで谷爺を焼いていた場所にすでにエリスはおらず、いつの間にか俺の背後から抱きついてきている。


動けない……

別に力をかけられてる訳じゃないけど、何かしようとしたら、その瞬間に首を折られかねない位置だ……


「……あれ? 案外そうでもないんだね。君には‥」

「そいつから離れな、エリス。律は眠り、暴禍の獣(ベヒモス)は消え去ったが、まだ俺がいる。契約は残ってるぜ。

滅亡にはお帰り願おうか」


俺の耳元で囁いていたエリスが、興味深そうに俺の顔を覗き込んできた瞬間。おそらく俺達の背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


律やら暴禍の獣(ベヒモス)やら、何を言ってるのかはわからないが、前回も俺達を助けてくれた魔人――レイスだ。

その声を聞いたエリスは、俺が動けないように抱きついたまま自分だけ振り返る。


「やぁ、そろそろ来る頃だと思っていたよ。

今回は2人殺したし、割と満足だ。大人しく帰るとしよう。

できればクロウくんも殺しておきたかったけど」

「今回はまだ手を出してねぇ。文句はねぇよな?」

「もちろんさ。じゃあまた……そうだね、また後身……かな?」

「嫌だっての。てめぇもさっさと帰れ」

「あはは、じゃあね」


エリスはしばらくレイスとの言い合いをすると、案外すんなりと解放してくれる。

そして、俺に対して変わらない笑顔の仮面でにっこりと笑いかけると、岩の天井を破壊して飛び去っていった。


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