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化心  作者: 榛原朔
二章 天災の国
194/432

168.5話-それは彼らを形作るもの⑧

最古の神秘が……神にまで至った神秘――鬼神(きじん)が暴れる戦場では、誰もが自身の人生を振り返る。

彼らの叫びに触発され、感情が入り乱れる。


そんな中、黒くのっぺりとした式神は殺し合いを傍観しながら、彼らの叫びから漏れ出た神秘から心を覗いていた。

片手には赤黒の八面体。視線は天へ。

ただ、愛した者を想い……




~~~~~~~~~~




世界は動く。空間がねじれ、人や叫び声が飲み込まれても。

だが、時計の針は一定に。

星は彼らを眺め続ける……




暗い森の中。

質素な小屋が立ち並ぶ里の中央で、異形の怪物達が叫ぶ。

大きな火を囲みながら、口から血を吐く程の大声で。


「人間を許すな!!」

「友すら殺す悪魔だ!!」

「奴ら醜き獣に報いを!!」


その輪から離れると、小屋の影にはほんの数名の子ども達。

自らの姿に怯え、異形の怪物が叫ぶ声に怯え、泣いていた。


「ママ……なんでぇ……」

「怖い、怖いよぉ……」

「うわーん!! 助けてよ、パパー!!」


叫び声は渦となり、鬼人達を飲み込んでいく。

苦しみを逃さず、恨みを集めて……




どんなに荒れた海も、やがて収まる。

ここは多少小綺麗になった建物の中。

疲れた表情をした鬼人達は、奥に座る男達に詰め寄った。


「なぁ……大嶽丸!! 俺らは人間が憎いんだ!!」

「んなこたぁ、わかってんだよ。俺だって同じだ。

けどな、あいつらはまだ滅ばねぇ。

今できるのは、恨みを絶やさねぇことだけだ」


この場で落ち着いて見えるのは奥にいる3人のみだ。

それも感情を押し殺したようなものだったが、押し寄せる鬼人達は既に手遅れ。


目は赤く充血し、顔や手足をブルブルと震わせて、終わりのない人生に心が負けてしまっていた。

彼らは震える声で訴える。


「それも辛ぇんだ!! 不完全な形でも神秘は神秘。

寿命がねぇ人生なんて……辛すぎる……!!」


彼らの叫びは部屋中に響く。

それは目にも耳にも悲痛で、奥にいる鬼人達の心に少なからず影響を出していた。


「……同意はできます。私も、彼らを理解すればするほど……」

「俺も、疲れたな。今すぐにでも人間共の街を鏖殺して回って、スッキリしたいところだ。……今、すぐにでも!」

「やめろやめろ!! 俺まで引っ張られるだろうが!!

……はぁ。わーったわーった、殺してやるよ。てめぇらの意思は、ちゃんと俺が引き継いでやる」


詰め寄った名もない鬼人達だけでなく、左右に座る腹心達も同意したことで、彼はうんざりしたように声を上げる。

ぐったりと適当に手を振っているが、そっぽを向いている目は強く輝いていた。


「……いいのですか?」

「……ふん。もし願いが叶った時、俺達3人も死んで他のヤツらが生き残ってたら、そいつぁ今よりも惨いことになる。

折れたのなら、もう楽になりゃあいい。たとえそれが悪だとしても、救いがそれだけしかねぇんなら正しくていいんだ」


左側に座る鬼人が静かに問いかけると、中央にいる鬼人――大嶽丸は辛そうに顔を歪めながらも立ち上がった。

右側に座る鬼人と同じく、手には刀を握って覚悟を決めている。




血が、部屋中に勢いよく飛び散った。

首と胴体はなき別れ、畳は血を吸い込みきれずに水たまりのようだ。


「なぁ!! 辛ぇなぁ!! 本当に……本当に!!」


濃厚な血の匂いが充満する中、硬質化した全身を真っ赤に染めて、彼らは涙ながらに笑う。


「ハハハ……無駄に、しねぇぞ!! その血肉も、意思も!!」


部屋の外には眠る里。

部屋の中には地獄絵図。

ああ……クルクルと。世界は巻かれて閉じていく。


「あぁ……本当に‥」


辛いな、人生は……




閉じられた本は開くもの。

丸まった巻物もいずれは広がる。

かつての熱気で勢いよく。


ここは愛宕。燃える都。

人々を逃すために戦っていた男達は、そのほとんどが死に、最後に生き残っていたのはたった一人の青年だった。


「燃えて……いる。人の、焼ける、匂いが……。これが、鬼……

これが、神秘……。ちくしょう、俺にも、力があれば……」


彼は炎に喉を焼かれながらも立ち上がろうとする。

揺れる視界、震える手足に鞭打ってでも。

しかし、ただの人ではそれも叶わず。

青年は意識を手放した。


だが、彼が地面に顔を打ち付ける直前。

光と共に数人の神が現れ、雪のように白い手が彼をギリギリのところで抱き止める。


「安心しなさい、勇ましき子。貴方の覚悟は今、神をも動かしました。もう眠っているといいでしょう。……お休み」

「ふふ……堕落仕切っていなくてよかったよ。

まだ人間が腐っていないのなら、ここは我が抑えよう」


この島の土地神達は、目の前で暴れていた鬼人を抑えるために足を踏み出す。


……それは、遠く不死桜の上からでも見える惨劇で。

……引きこもりの詩人すらも、心を痛める出来事で。




彼らの願い。燃える都。すべてを守れるだけの力を。

この燃える都が彼らの原点で強さの形だ。


炎は収まることはなく、街のすべてを焼き尽くす。

熱気で空気は歪み、世界は朧気に……




熱気で空間がうねる。

景色が膨張し、人は押し伸ばされ、叫び声も広がっていく。

ここは里の外。神奈備の森の奥深く。

一族の恨みに押しつぶされた鬼人達が、密かに密会をしていた。


「俺達はもう、疲れたよ……」


真ん中に1人の女性を囲って、鬼人達は胸の内をさらけ出す。

彼女は、彼らの世代のまとめ役。

後から生まれた鬼人達の中で、もっとも長生きで強い者。

仲間達の苦悩を、しっかりと受け止めていた。


「そうやねぇ。うちも、じいさまらの話にはもうついて行けへんわぁ。小さい頃は恐ろしゅうて恐ろしゅうて堪らんかった人間も、今となってはあれやからなぁ」

「俺達は本格的に滅ぼす程の恨みでも……多分、ない。

それがしたいのはあの方達だけで、その時には必ずあれが出てくるのだろう?」

「逃げ遅れたもんがたった一人になった時、よぅやく現れた狼や狐、それから妙な女やなぁ。うん、強かったねぇ」


彼らの脳裏に浮かぶのは、数名の土地神。

非力な者を逃がすために残った男達を、ほぼ殺し終わった頃に現れた強者達だ。


ここにいるのは、まとめ役の女性含めた数名以外ではまともに名前すらない鬼達ばかりなので、まさに格が違う。

あの時、彼らには逃げるしかできなかった。


「それでもお前達は生きるのだろう?」

「そうやねぇ……正直1人で生きとっても虚しいんやけど、うちはこの世代の代表やから、見届けるべきやろうなぁ。

2人はそうでもないはずやけど、生きるん?」


生きる意思を表明した女性は、そのまま一番近くにいる2人の鬼人に問いかけた。


1人は霧がかった夜のように黒い和服で細身の鬼人。

1人は真っ赤な紅葉のように赤い着物の美しい鬼人。

2人には迷いがないようで、ほとんど間を空けずに断言する。


「はい。俺はまだ若いですが、この名を継いだからには」

「それに、わたくし達が首謀者ですから。かつての同族を燃やしたわたくし達は、皆さんの分まで背負うべきです」

「覚悟があるんならええよ。一緒に引き継いでいこか」

「……すまない。よろしく、頼む」




緑一色な森の一部が、季節外れに真っ赤に染まっていく。

少し離れた場所にある、秋に近い気候になっている地域よりも遥かに紅く、梅雨の気候のように液体が滴る。


「しゃあないことやけど、悲しいなぁ」


血の池に佇むのは、3人の鬼人。

人から変化したものではなく、鬼人から生まれた、心までもが人とは少し違ってしまっているもの。


彼らの服は、どれも紅葉のように鮮やかに染まり、その瞳はほんの僅かに湿っていた。

じっくり観察しなければ理解できない心の機微であった。


そんな心を、紅葉は隠す。

彼らは、仲間を苦しませないように全力の一撃で命を奪ったため、その衝撃で次々に。


誰の顔も見えはしない。

誰の心も晴れやしない。

紅葉はただ、降り積もっていく……




血にまみれても葉は軽く、叫び声一つで飛ばされる。

晴れた視界には鬼屋敷。


ここは鬼の里。もはや一つの都市となった地域。

その中でも、もっとも立派な屋敷の奥で、3人の鬼人が今にも殺されかけようとしていた。


「誰が同胞を殺すことを許した!! 誰が!!」


3メートルはある巨漢の鬼神(きじん)が、黒い和服の細身の鬼人を一方的に殴っている。


上下関係、体格差、心の強さに当然実力差。

すべてにおいて劣る男は、逃げるどころか防御や急所を避けることすらできない。


他の2人も別の鬼神(きじん)に抑えられているため、ただ恐怖に震え、涙ながらに懇願するしかなかった。


「すみ゛、ま゛せん……お゛れ゛だちば……!!」

「裏切りモンは、死ねよ……なぁ!!」

「う……!!」


拳の大きさが顔とほぼ同じなので、たった一発でも顔は無惨に潰れてしまう。それを、何度も、何度も。

もはや、彼の死は逃れられないように思えた。


「堪忍……して、おくれやす……。

あんたはんかて、お仲間殺したんちゃいますの?」


だが、なんとか鬼神(きじん)の拘束を解いた女性が、ギリギリのところで止めに入った。


顔を血で真っ赤に染め倒れている男と、それに覆いかぶさるようにしていた大男との間で拳を受け止め反論する。


「黙れガキがッ!! 命に対して認識の薄いてめぇらと、同じ重みだと思うなよ!? あいつらの、その覚悟をッ!!

少しでも理解してから口開きやがれッ!!」

「っ……!! 結局は、おんなじことじゃ……ありまへんか?」


もちろん大男は激昂して殴りかかる。

しかし女性は、仲間の男の分まで怒りを受け止め、なお言葉を続けた。血に流しながらも、歯を食いしばって。


それと同時に、背後からさっき振り解いた細身の鬼神(きじん)が迫るが、それでも女性は揺るがない。

視線は鋭く、里の長老達の感情を受け止め続ける。


「……殴って気ぃ済むんやったら、うちが引き受けますわぁ。

あんたはんらの後の世代も、強うて有用やってこと、うちが証明したります」

「……正気か?」

「ええ。その代わり、この2人のことは堪忍な」


彼女の言葉を聞いて、ゆっくり歩み寄っていた男が信じられないものを見る目で彼女を見ると、そう問いかける。

取り消すなら今だぞ……という意味のこもった問いかけだったが、女性は微笑みすら浮かべてみせた。


そして、さっきまで殺意しかなかった巨漢も、意表を突かれたことで意識がその提案に逸れていく。

幸か不幸か、彼の興味を惹いたことで女性の未来は決まった。


「ハハハ……いい度胸だ。そりゃーオメェ、我ら3人の全力を受け止める覚悟だと受け取っていいのかよ?」

「もちろんかまへんよ、じいさま。

うちも全力で受けるさかい」

「面白れぇ。んじゃ場所を変えよう。約束通り、そこのゴミ共を生かさなきゃいけねぇし、何より里が吹き飛んじまう」


3人の鬼神(きじん)と1人の鬼人は、黒い和服の鬼人と赤い着物の鬼人を野良鬼に任せると、外へ出る。


向かうは鬼人の里の外。

里には余波すら届かないような遠くだが、おそらく天迦久神の逆鱗に触れる場所だ。




鬼神(きじん)達が荒ぶり、森は荒れる。

その影響は島の近海にまで及ぶ程で、人間はもとより、多くの鬼人達ですら無事ではすまない嵐を生む。


……定期的に行われていたストレス発散。

中でももっとも荒れたのが、この夜のことだった。

木々は薙ぎ倒され、海は逆立ち、木の葉や波しぶきが視界を覆っていく……




青年は妖鬼族の話を伝えながら、侍を育てた。

鬼神(きじん)は特に恐ろしい見た目の者を外に連れ出し、人間への恐怖を煽りながら多くの鬼を支配下に置いた。


彼らは時々ぶつかり合う。

それは森の中であったり、街の外であったり。

侍が間に合わずに襲われた、小さな村であったり……




嵐が静まると、海は静かに光を反射し始める。

水面に映るのは、雷雨の中、鬼達に襲われている村だった。


その村の端で、1人の少年が数多くの鬼人を前に友を庇っている。手には刀を握り、自身の3倍近くある巨躯を前にして。


「人間の目は気に入らねぇな」

「あぁ、あの方達のことがなくても、ガキの頃の思い出は忘れねぇ。人間なんざクソだ。いつかぜってぇ滅ぼすぜ」

「けどまずは、生意気にもダチを守れると勘違いしたちびをいたぶってやろうぜ」


どうやら鬼人達は、少年の目を見て恨みを募らせているらしい。今にも雷が落ちそうな雨の中、雨粒が目に入ることすら気にせず少年達を睨みつけ、残虐な笑みを浮かべる。


少年は果敢に抵抗するが、そもそも人と鬼人では力の差がある上に、鬼人は大人でこの人数差。

刀は瞬く間に折られ、拳や金棒で全身を叩きのめされて、刀で何度も貫かれる。


「うぅ……うぅ……!!」


庇われている少年は声を押し殺して泣き、惨たらしくいたぶった鬼人達は、そろそろ次の獲物に行こうと目を移した。

その瞬間……


「大……丈夫、だよ。僕らは、助かる。ほら……見て。

誰もが、怯える……嵐の、夜にも……輝けるものは、ある」


ゆらりと立ち上がりながら、少年は空を指さした。

これには鬼人達も驚き、攻撃を忘れて彼を見つめてしまう。


「な、なんだてめぇ……!?」

「本当に人間か……!?」

「もし、あれを味方に、つけたら……さ。僕ら、だけじゃ……なくて。国中を、救えるくらいに……なる。お侍さん……を育てている、あの、お兄さん……みたいに」


少年は、鬼人達を無視して、雷で輝く空を見上げ続ける。

そして口からは、強い意志を秘めた言葉が溢れ出ていた。

荒れる大自然を、強大な神秘を、軽々と超えていけるだけの覚悟が。


「僕らも……強い心を、持とう。大人たち……みたいに。

お兄さんだけに、頼るんじゃ……なくて。

僕らが……頼られる人に、なる……んだ」


少年の背後に、雷光が落ちる。

そして、怯える少年の背後には、その光から生まれる影が。

雷雨は彼らを包み込み、視界は一瞬で奪われる……




嵐の後には、いつにも増して輝く朝日。

ここは村外れのちっぽけな家。


周囲に人気のないこの家には、一緒に暮らしていると言えるレベルで、普段から密かに会っている者達がいた。


子どもでありながら、己の神秘をほぼ完璧に制御できたことで、限りなく人に近い形をとれた鬼人。

仲良くなってから鬼人だと教えてもらった老人。


彼らは争う人と鬼を見てきた。

大人でも人に近い形をとれる鬼人は少数であるため、ぱっと見では暴れる獣を狩る人の図だ。


しかし、彼らは鬼人も人であることをよく知っている。

何よりも、彼ら自身の生き方がそれを証明している。


そのため、彼らの別れの日は……


「私が死んだら……君は、1人になってしまうかな……」

「そうかもなー。でも、いちおーかーさんみたいなのはいるぜー。……なんかよー。みんなおれをこわがるし、やんなって外出たらちょーろーにころされかけたんだけどよー……

あのひとだけは、うけ入れてくれんだー。わざわざきょかとって、里の外に家たててさー。……じーさん?」


老人と少年は、のんびりと縁側に座っている。

二人の間には饅頭が置かれ、いつも通り穏やかな昼下り。


だが、悲しみの中にほんの少しだけ喜びをにじませていた少年の話に、老人はすぐに返事を返さない。

少年が船を漕ぐ老人を怪訝そうに覗き込むと、彼はしばらくしてからゆっくりと目を開けた。


「あぁ……すまない。……うん。とても、いいことだ」

「鬼だけど、いーひとなんだ。おれもな!」

「……うん。……うん。いつか、みんなもわかってくれるといいね。君達も、人と同じなんだってこと……」

「そしたらしょーかいしてくれよ! おれ、ともだちほしーんだ! 大人いがい、みんなおれに、おびえるんだ……」


暖かな空気が、彼らの間に流れる。

老人はもとより、少年すらうとうとしてしまいそうなのどかな空気だ。


「そうだね……もちろん、してあげるよ。

……だけど、君、名前ないんだよね?」

「そんなもんねぇよー。鬼は人じゃねぇって、獣なんだって言って、あるのはしゅーめいせいのしょーごう? だけ」

「なら、私が君に名前をあげよう。いつか、人と鬼が殺し合いをやめた時。君が架け橋になるんだよ……」

「なるなる!! やくそくな!!」


老人の言葉に、少年は顔を輝かせる。

体調を気遣って飛びついたりはしなかったが、今にも飛びつきそうな程に身を乗り出して。


それを見た老人は、穏やかに微笑む。

いつか……いつか……遥か遠い未来でも。

いつか、この子が人に名前を名乗れますように……と。


「……うん。……うん。名字は、私のものをあげよう。昔、侍をしていた頃……偉大な方に戴いたものだ。それから……名前。

……君は、明るいから。鬼と人を、つなげるくらいに……」


彼らがしたのは、とても穏やかな約束。

彼がもらったのは、自分が人であることの証。


「じーさん?」


名前を紙に書いた老人は、静かに目をつむる。

もう、少年が呼びかけても目を開けることはない。


「……そっか。死んじゃったかー……。おれは寿命ねーみたいだけど、じーさんは人なんだもんなー……。だけど、じーさん。

おれ、がんばるよ。きっと人のともだちをつくる!!

あっはっは!!」


少年は笑う。老人の分まで、豪快に。

目には薄っすらと涙が浮かぶが、彼は自分がもらったものを無駄にしないために、老人の言った通りに笑うのだ……




~~~~~~~~~~




笑い声や叫び声は反響し、一つの形にまとまっていく。

手の八面体を震わせ、思わず視線をそらして耳を塞ぎたくなる程の音量に。


『おい』

「あっは、バレちゃった?」

『幕府の奴らだけではなく、我らの中まで覗き見るな。

貴様、死にたいのか?』

「い〜やいや、私は暇なだけだよ。もうやめるさ。私まで死んでしまったら、あの子は本当にいなくなってしまう……」


ドスの効いた声に脅され、黒い影はサイコロを懐にしまう。

視線も上から下に変えて、自分の目で戦いを見始める。

顔はない。しかし、どこか侘しさを感じる立ち姿だった。


演出的にセリフ付きになったせいでエグい……

この先の.5話はできるだけセリフなしでいきたいです……

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