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コント「不良」

作者: 桜耳

コント「不良」

スーツの男

学生服の男


○都内・公園内


学生服男、公園にいる。


スーツ男、カバンを持ちながら公園に入る。


スーツ「今日のプレゼンは絶対に成功させないと。訪問まで一時間あるし、公園で確認しておくか」


学生服「おいお前、ガン飛ばしただろ?」


スーツ「……」


学生服「無視するなよ」


スーツ「いいえ、誤解です。すみません、急ぎますので」


学生服「お前ムカつくから、タイマンするぞ」


スーツ「ちょっと待ってください」


学生服「なんだよ、ビビりなリーマンだな」


スーツ男、カバンを地面に置く。


スーツ「愛妻弁当が入っているので」


学生服「俺と勝負した後に食ったら染みて痛いぞ」


スーツ「待ってください、私がルールを指定しても構わないでしょうか?」


学生服「何でもいいよ。さっさとかかってこいや」


スーツ「トゥルルル! テン、テン、テンドゥ、――」


学生服「なんだよそれ」


スーツ「偏差値の低い 不良が 勝負を しかけてきた!」


学生服「失礼だな。ぶっ飛ばしてやる」


スーツ「偏差値の低い 不良は 右ストレートを くりだした!」


学生服男、顔に殴りかかる。


スーツ男、よける。


スーツ「攻撃は はずれた!」


学生服「かわした? なら、どてっ腹はどうだ」


スーツ「不良の ボディブロー 攻撃!」


学生服男、スーツ男の腹を殴る。


スーツ「効果は いまひとつの ようだ!」


学生服「なんで、効かないんだよ――」


スーツ「リーマンは喧嘩が弱い、思い込みだな。あと、君、二回攻撃はルール違反だ」


学生服「喧嘩にルールもクソもねえんだよ」


スーツ「君、私がルールを指定するのを認めただろ?」


学生服「……たく、わかったよ。ルールを説明しな」


スーツ「交互に攻撃する、攻撃する際には技名を言う」


学生服「なんだよ、そのルール」


スーツ「ポケモンのゲームの戦闘システムと一緒だ」


学生服「ポケモンのゲーム? 知らねえな」


スーツ「お前、ポケモンのゲームをしたことないのか?」


学生服「ねえよボケ」


スーツ「確認だけど、ポケモンは知っている?」


学生服「知らねえよ、何回も言わせんなよ」


スーツ男、大声で笑う。


学生服「……何がおかしいんだよ」


スーツ「お前……ポケモンもやってないくせに……不良なんてやってんの?」


学生服「いいだろ別に」


スーツ「人間、大人になる過程で経験すべきことがあるんだよ」


学生服「説教かよ」


スーツ「学校で勉強をする、友達と喧嘩する、友達とポケモンの対戦をする」


学生服「最後の違うだろ、たぶん」


スーツ「じゃあ、友達とポケモンごっこをする」


学生服「あんまり変わってないな」


スーツ「つまり、テレビやゲームの話は友達作りに必須ってこと。……お前には親友と呼べる存在がいないだろ?」


学生服「なんでわかるんだよ」


スーツ「社会人だからな」


学生服「……俺だって、友達とテレビの話をしたり、一緒にゲームしたりしたかったよ。でも、できなかった、両親のせいでな。ピアノ、バイオリン、塾、勉強勉強で全然遊べない。友達を作るには、不良になって喧嘩に強くなるしかなかったんだ」


スーツ「大変だったんだな、笑って悪かったよ」


学生服「俺も突っかかって悪かった。急いでいたんだろ?」


スーツ「いいさ。お詫びになるか分からないが、ここに行け。お前には才能がある」


スーツ男、名刺を渡す。


学生服「西東京ボクシングジム?」


スーツ「俺が通っていたジムだ。チャンピオンを何人も排出している。俺はプロになれなかったが、お前はどうかな? パンチの速度は、プロと遜色ない」


学生服「でも、家出しているし、金もないから」


スーツ「寮がある、古くて狭いが。鍛えながらバイトもしろ、みんなそうやってプロになる」


学生服「あ、りがとう、ございます」


スーツ「親友もできるぞ、みんなあの鬼コーチに絞られるんだ」


学生服「はい」


スーツ「俺とも友達になっておくか? 一回、ポケモンごっこしてみるか?」


学生服「はい、お願いします」


二人、2メートル離れて向き合う。


スーツ「攻撃する前に、必ず技名を言うんだぞ」


学生服「いくぞ、俺の攻撃! 必殺、コンバットナイフ」


学生服男、ナイフを出す。


スーツ「やめろ、本当に殺しちゃうだろ。ごっこ遊びなんだから素手な」


学生服男、ナイフをポケットにしまう。


スーツ「ナイフは捨てろ、補導されるだろ」


学生服男、ナイフを捨てる。


学生服「いろいろとありがとうございました。このジムで頑張って、いつか両親と和解してみせます」


スーツ男、学生服男に背を向ける。


スーツ「……がんばれよ」


学生服男、ナイフとスーツ男のカバンを拾い、公園から走って出ていく。


スーツ「人助けっていいな。俺もプレゼン――あれ? カバンが無い。まずい、パソコンも資料も――」


スーツ男、公園から走って出る。


○同・公園外


学生服男、学生服を脱ぐ。スマホで電話をかける。


男「モノは回収したので帰りまちゅ。さすがママ、完璧な作戦でちゅね。これで都市開発の受注は、ウチがいただいたでちゅ」

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