裏切りの…?
僕は好きな人を婚約破棄することになった。
「ねぇ…あなたの婚約者が私をいじめてきたの…」
この女は僕が大好きな彼女を悪く言うやつだ…
正直言って今すぐ永眠してほしい…
でも目的を果たすまでは人を殺さないようにしないとね。
笑顔を作って話しかけないと。
「そうなんですか…
あなたをいじめる人なんて婚約破棄されて当然ですね。」
当然なわけがない…
彼女は公爵令嬢だ…
子爵令嬢であるこの女をいじめていたとしても裁かれることはない。
この女は貴族社会のルールを理解してない。
◇◇◇
「オルフェイ・レルフェ公爵令嬢…婚約を破棄します…いいですよね?」
こいつやべー、的な目で見られた。
まぁ当たり前だよね。
卒業パーティでこんなこと言い出すやつは頭がおかしい。
「なんで…私は何もしてないのに」
それも裏を取ってある。
彼女がやってない証拠は信頼できる友人に渡しておいた。
「嘘をつかないでください。
この…子爵令嬢をいじめたんでしょう?
隠さなくてもいいですよ?」
この女の名前が出てこなかった。
まぁいいか…
「私は振る舞いがなっていない彼女に注意をしただけです。」
「言い方がきつかったんじゃないですか?」
「私は………っわかりました。
そこまで言うなら婚約破棄を受け入れます。」
「じゃあ…子爵令嬢に謝ってください。」
「それはしません…私はフレリク令嬢をいじめていませんから」
「そうですか…じゃあ、さようならですね。」
あぁ…よかった。
これで君を傷つけずに済む…だから、じゃあね。
「っ…私はあなたが好きだった…」
そんな泣きそうな顔をしないで?
でも、僕を諦めてくれてよかった…
こんな最低な人間は好かれるべきじゃない。
だってそうでしょ?
君を好きになるたびに巻き起こる殺人衝動…
これを僕は抑えられないんだ。
だからさ、君は僕じゃない人と…幸せになってね。
「そうですか…」
僕はそれだけ言って、振り返らずに卒業パーティの会場を後にした。
彼女の涙を流す声を聞いても、絶対に振り返らずに…
だって彼女の涙を拭くのは僕の役目じゃないから。
◇◇◇
「お前は追放だ、と言うことに表向きはなっている。
「そうですか…わかりました、それで構いません。」
「これからもお前の弟の補佐として王宮で働いてもらう…よろしくな…」
「はっ…承りました。」
「お前は…好きになったんだなぁ…」
「はい…ご迷惑をおかけしました。」
「いや…お前のほうが、よっぽど人間らしいよ。」
◇◇◇
「なんで…どうしてなのよっ!」
「子爵令嬢…貴女は、死刑です。
罪状は貴女の父親がしていた横領の連帯責任と嘘の申告ですね。
王太子だったこの僕を騙していたんです。
立派な不敬罪ですね。」
「だ、騙してなんてないわ!
だってあの女が私をいじめたのよ!」
「あはははっ!
何を言っているんですか?
あなたごときを少しいじめた程度で公爵令嬢を裁けるとでも?
滑稽ですね!」
「そんな…あ、あなた言ったじゃない…
私をいじめる人は婚約破棄だって…」
「はぁ?あんなの演技に決まっているでしょう…
馬鹿なんですか?
あぁ…馬鹿でしたね…
僕は最初っから…あなたが大嫌いですよ。
さようなら…
あぁ…こんなに汚れたら、彼女に…嫌われてしまいますね。
…そうでした…もう、いいんでしたね。
あなたが…好きでした。
…っ…僕のこの言葉は…なんて未練ったらしいのでしょうか。
あなたみたいに、すっぱり忘れられたら良かったのに…」
「なぁ…知りたくねぇか?
お前が…婚約破棄された理由…」
「え…?理由なんて、あの人があの子に惚れたからじゃ…?」
「いや…違うんだ…あいつは、そんなやつじゃあねぇ」
「あなたは、あの人をかばうの?」
「全部…王族の血ってやつのせいなんだよ」
◇◇◇
「なぁ…まだ…女を殺したいって思ってるのか?」
「うん、僕が女を嫌いな限りこれは治らないだろうね」
「まぁ…母親がやばいやつだったからしょうがないか…
もしかして…婚約者の女もか?」
「あの子のことは…好きだよ…」
「よかったじゃないか!
それなら、殺したいって思わないんじゃ…」
「違うんだ…好きだからこそ…」
「まさか…好きでも、殺したくなるのか?」
「…だから…婚約破棄することにした。
もう計画は立ててある。
それには君の力が必要だ。
…手伝ってくれる?」
⚪⚪⚪
「なんであんなやつに近づくんだ!?」
「…あの女は親が横領をしてる…
それを解決するついでに、彼女と婚約破棄する足がかりにする」
「そうか…でも…それはどうやって…」
「あの女を彼女がいじめていると言って来るはず…そのときに…」
「俺も手伝う…」
「これは彼女があの女をいじめていない証拠だ。
これをどう利用するかは…君が決めてね」
「わかった…」
◇◇◇
「てぇ、ことがあったんだよ」
「そんな…」
ってこととかありそう?