表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

私が『うさこ』と呼ばれる理由

名字が「いなば」だから、因幡のシロウサギ➡️うさこ……。


詳しくはシリーズ一作目をご覧ください(*´-`)

 私が初めて好きになった相手は、職場の上司。

 父親とあまり変わらない年齢だけど、そんなことはまったく気にならなかった。


 優しくて、思いやりが深くて、今までこんな人に会ったことがない。

 だから、本気だったの。


 私が警察官を拝命したのは、今から5年前。

 警察学校を出たあと、3年間の交番勤務を終え、その後所轄の刑事課にうつって刑事デビュー。


 周りからは羨ましがられた。


 でも、実情は。

 パワハラにセクハラ。


 直属の上司ったら、二言目には『女のくせに』『女に何がわかる』だもの。


 それでも辞めずに頑張ってこれたのは、支えてくれた仲間がいたから。

 今でも感謝している。


 そんなある時。

 管轄区内で殺人事件が起きた。


 初めての捜査本部、初めての聞き込み。

 すごく緊張したし、あまりにも張り切りすぎた。


 そんな私をなだめ、励ましつつ、刑事として本当に大切なことを教えてくれたのが……私の初恋の相手、高岡聡介(たかおかそうすけ)警部。


 初めは、何とも思わなかった。

 珍しいタイプの刑事だとは思っていたけど。


 でもその後、高岡警部の直下で働くことになってわかった。

 この人は、他に類を見ない素敵な人なんだって。


 仕事熱心で、部下みんなを心から大切に思ってくれている。


 ちなみに。

 グレーだけど髪の毛は健在だし、お腹も全然出ていない。


 こんな素敵な人だし、年齢的にも家庭持ちだよね……そう思っていた。でも実は。

 事実上のバツイチ、長い間独身を貫いていると聞いた時、私の心も決まった。


 迷わずアタック!!


 なんだけど……。


 次から次へと事件は起きるわ、仕事は忙しいわ。

 もう、そんな暇なくて。


 気がつけば時間だけが経過していた。


 そんな中。勇気を出して一歩踏み込もう、と思ったのは、人事異動の噂がきっかけだった。


 所轄の刑事課に欠員が出たせいで、どうやら私にお鉢が回ってくるらしい。

 しかも、場所は県の一番東側。


 もしその話が本当なら、今までみたいに毎日会えなくなってしまう!!


 今しかない。


 自分で自分の背中を押して、私は思い切って高岡警部に自分に気持ちを伝えることにした。


 結果は……。


 惨敗。


 そもそも、本気にすらしてもらえなかった。


『こんなオジさんをからかうものじゃない』


 そう言われるのは想定内で、その対策もしていた……はずだった。


 挙げ句、人事異動の話は別の人に決まってしまって、恥ずかしいやら気まずいやら、しばらくはまともに顔を合わせることもできなかった。

 向こうも、そのまわりの人達も気を使ってくれて、余計にいたたまれなかった。


 初恋は上手くいかないって、本当だったんだ。


 仕事、変えようかな。


 ここにいちゃいけない気がする……。



 その後、1ヶ月ほど過ぎた頃か。

 学生時代の友人に誘われ、初めての婚活パーティーに出席したのは。

 けどなんだか、比べたら悪いけど、高岡警部ほどの人はいない。


 同年代の若い男性が、みんな同じ顔に見えてしまう。でも。

 親もうるさいし、仕方なく何度かパーティーには出席した。


 何一つ、身にならなかったけどね。


 そんな時だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ