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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
10章 日常の一時
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10-3 アインズヘイルで休息を アレとは……

普段皆で食事を取る部屋へと入る。

部屋の中はカーテンが閉め切られ、小さな魔導ランプがぽつぽつと大きな机の上に並べられていた。


その魔導ランプに照らされた影が、全部で4つ。

それぞれがフードを被り、見えているのは口元だけ。

唯一魔導ランプが誰も照らしていない席へと私は腰を下ろした。


「……集まりましたね」


4つの席を見渡せるように座ったリーダー……つまりはウェンディ様が口を開くと、他の三人がコクンとうなずく。


「では、会議を始めましょう」


ウェンディ様がそう言うと途端に空気が変わっていく。

私も、あまりの緊張感に思わずごくんと唾を飲み込んでしまった。


「今回は緊急臨時集会ですが、皆さんお集まりいただきありがとうございます」

「ふん。当然でしょ」

「うむ。議題は……アレのことだろう?」

「っすね。ロウカクで買ったアレのことっすよね」

「あの……」

「どうしましたミゼラ?」


皆が何の話をしているのかもわからないが、それよりも私は真っ先に思った私の疑問をぶつけさせてもらう。


「その……なんですかこれ? また『ご主人様を平和的に分かち合う会議』ですか?」

「いいえ。先ほども言いましたが今回は臨時の集会です」

「あ、じゃあ別に名前は無いんですね。第何回とかも――」

「『第5回ご主人様に喜んでもらう為の作戦会議』です」


……5回もしてるんだ。

というか、前回の『ご主人様を平和的に分かち合う会議』も24回って言っていましたし、どれだけ会議を開いているのですか?

よく旦那様にばれませんね……。


「この格好の意味は……」

「秘密感があって格好良いからです!」

「そ、そうですか……」


そんな理由だったんですね……。

ウェンディ様が部屋に入る前にニコニコした顔で被り方を説明していましたが、一体誰に向けた格好良さなのでしょう……。


「あれ? そういえばシロはいないんですか?」


そういえば旦那様も朝から見ていないような……。


「シロは本作戦に参加できないため、特例で丸一日ご主人様と街でデートをしています。……明日の朝までは、一日中ご主人様と一緒です」

「え、いいなあ……」


思わずぽつんと呟いてしまった……。

一日中旦那様と一緒というのはとても難しい。

朝おはようから、夜お休みを経てまた朝おはようまで一緒にいられることを思うと、ついつい言葉が勝手に出てしまい周囲の温かい視線に恥ずかしくなり、体を小さくするように縮こまってしまった。


「羨ましいわよね……。わかる。わかるわその気持ち……」

「シロから条件を提示されたときは、皆うぐってなったっすからね……。今日一日は、完全にご主人はシロのものっす。あーんもお買い物も、一緒にお風呂も夜這いも駄目っすからね」

「だが、シロの気持ちも汲んでやらねばな。参加したい気持ちを抑え、我々や主君のために身を引いたのだ」

「ええ……。シロの分も買っていたのですが、その後の事を考えると難しいでしょう。シロもそれがわかっているので、同等かそれ以上のものを提示したのでしょうし、尊重いたしました」


皆同じ気持ちだったんだ……って、なんだろうこの一緒だとわかった事への安心感は。

でも、シロが参加出来ないっていう事はその……夜の事についてお話するのだろうか。

それに、ロウカクで買ったというアレとはなんなのだろう?


「コホン。では本題に戻ります。ロウカクで手に入れた秘密兵器。すなわち……これでご主人様に迫ります!」


ウェンディ様が取り出したのは……えっと、下着ですか?

それと透明な布地もあるのだけれど……なんだろう。

それに下着なら……ウェンディ様達はもっと小さくて劣情を誘う物を持っていたはずなのに、何か特殊なスキルがついているのだろうか……?


「これはロウカクに古くから伝わる民族舞踊の衣装で、コレを着て腰やお尻を振ってセクシーに踊るそうです」

「やはりそれか」

「ついに出番が来たのね。高かったのよねそれ……」

「ちゃんとした本物の衣装っすからね。でも、その分作りは完璧っすよ」

「えっと……それで旦那様に迫るのですか?」

「そのとおりです。昨今男女間で起こる問題はマンネリだそうです。ご主人様に新たなアプローチをしていく事はこれから必然になっていくのです!」


……すごい力説だけど、内容はエッチだ。

要はエッチな格好で旦那様に迫るというものなのだろうけど、そこまでの効果があるのだろうか?

それに、旦那様はマンネリとは無縁な気もするのだけれど……。


「ミゼラ。主様はマンネリとか関係ないんじゃないかって思ってるでしょ」

「え、あ、はい。そうね……」


思っている事が顔に出ていたのだろうか。

ソルテさんに指摘されて焦ってしまった。


「そういう油断が危ないんすよ。ご主人は他所でも女を作ることもあるんすから……」

「コレン様の事……かしら?」


コレン様の事は聞いている。

旦那様が帰ってきた際顔色が悪く干からびているような状態で眠りについた後に皆から理由を聞いているから。

……確か、女王様でレンゲさんの妹で、旦那様と……って。


「それだけではないぞ。主君には座標転移(ポイントゲート)があるからな。既に何人か怪しい者もいるのだ」

「そのとおりです。それに、ご主人様はこの衣装を着て女性が踊るお店を大層気に入ったそうですので、間違いなくお気に召すでしょう!」


この服を着て踊るお店って……い、いかがわしいお店じゃない!

これだけ綺麗どころを侍らせているというのに、旦那様もそういうお店に行くのね……。

冒険者の人がギルドで夫婦喧嘩をしていた言い訳で別腹だとか言っていたけど、やはり男性はそういうものなのかしら?


「つまりは普段と違った趣向で旦那様に喜んでいただくということですよね?」

「……もちろんそうです。ですが、ミゼラにはまだ伝えていませんでしたが、一つ重大な事が起こっています。ご主人様が『地龍の加護』を得た事で、耐久性と回復力が向上してしまったのです」

「えっと……それは、良い事ではないのですか?」


地龍の加護をいただいた話は旦那様からも聞いている。

ご主人様が死んでしまい難くなるというのは、とても良い事だと思うのですが、問題なのですか?


「……知ってのとおり、帰りの道中でご主人に自分達は迫ってたんすけど……加護の効果は下半身にまで影響があるみたいなんすよ」

「凄いですよ……。帰りの道中、毎日だったはずなのにご主人様はしっかりと応えてくださいました……。勿論相手は一人ずつではありません……。最後は……4人全員で、でしたので、流石に疲れたようでああなってしまいましたけど……」


毎日……複数って、四人って……それはああなるわよね……。


「私達としては普段、この人数を相手にする主様の体の事を考えて毎日は流石に……って問題が解決するわけなのだけどね。……でも、これからは一人で相手をするとしたら、次の日動けなくなる覚悟がいるわよ?」

「そんなに……?」

「効果は微々たるものだが、流石は龍の加護といったところだろう。まさかスキルの様な戦闘時の効果だけではなく、房事の際にも効果があるとはな……」

「ご主人の性欲は元が元っすからね……。あの体力を訓練の時も発揮できれば、もう少し強くなれそうなんすけどね……」

「つまり……私達がもっと頑張らねば、ご主人様にご満足いただけないかもしれないのです」


地龍に加護をもらって死に難くなったとは聞いていたのだけれど、まさかそんな効果もあるなんて……。

あれ? そういえばアレもそういう効果だったような……。


「……ちょっと待って。一つ報告したいのだけれど……」

「どうしたミゼラ?」


まさか、地龍の加護にそんな効果もあるなんて……。

話すなら今しかないわよね……。


「この前、錬金術師ギルドに行った際にレインリヒ様に龍の肝の効果を聞いたの。主な効果が、精力が上がるみたいで、しかも一時的な効果じゃないって……」

「なんと……」

「しかも、つい最近錬金を教えてもらっている片手間で作っていたわ。しかも二本も……。その内一本はもう飲んでいるはずなのだけれど……」


もう一本はすぐに魔法の袋にしまっていたけど、一本は出来てすぐに飲んでいたから間違いないわよね……。


「それは重要な案件ですね……」

「頑丈さと持久力に回復力。更には元の精力まで向上するんすか……。これは絶倫皇の再臨っすかね?」

「流石にそこまでじゃないでしょ……。でも、これではっきりしたわね……。私達で満足させないと、これからも他所に女が出来てしまう理由になるわね」

「そうですね……。ご主人様が好ましく思うお相手であれば文句はありません。ですが、出来れば私達とシロで満足をしていただきたいところです。なので、やはり早急に決行いたしましょう」

「そうっすね……。ここの皆がご主人の子供一番乗り……って言うなら文句は無いっすけど、流石にコレンより後はなんか嫌っすもん」


その気持ちは……わからなくはない。

なんというか、旦那様の子が生まれるのは勿論嬉しい。

でも、旦那様の周りにいる皆さんの子供なら尚の事心から喜んで祝福する事が出来る。

私も……いつかは欲しい。

一番最後でもいいけど、最後ならここにいる皆の後がいい……。


「……そうですね。やりましょう」


元より悩む事などない。

旦那様が喜んでくれるのであれば、ただそれだけの理由でもやるべきだ。

でも、あの……。


「……これって、皆でって事ですよね?」

「そうね」

「……皆さんはその……他の人と一緒って、恥ずかしくないんですか?」

「……ふむ。そうだな……恥ずかしくないわけではないのだが……」

「四の五の言っていられない事もあるの。それに、慣れるわよすぐに」

「あ、はい……」


その言葉には重みがあった。

私はまだまだ錬金術師としても、旦那様のものにしても新米で、わからない事が沢山あるのだろう。

これから、少しずつ皆のように染まっていくのだろうか……。

ちょっとだけ不安が募るのだけれど、すぐさまその不安は取り去られる。

だって、皆はずっと笑顔で楽しそうに過ごしているから。

私もこれからもずっと、笑顔で暮らしていけると確信しているから。



数日後、私達はレンゲさん監修で踊りを練習し、衣装を着て旦那様に迫った。

旦那様は驚いて目を丸くしていたし、私もあまりの露出に恥ずかしくて最初は全然踊れずにいたのだけれど、流石は冒険者の三人だ。

三人が激しく扇情的に踊るのを見て微笑む旦那様を見て勇気を出し、ウェンディ様が手を取って一緒に踊ってくれた。


ウェンディ様やアイナさんの胸が躍り、ソルテさんとレンゲさんの尻尾が揺れる。

私にはどちらも無いのだけれど、腰が良いと褒めてくれたので顔が赤くなるほど恥ずかしかったけど、ちょっぴり嬉しかった。


……そんな楽しい記憶が薄れる程の出来事がその後あったのだけれど…………。

久しぶりだからとはいえ、加護や龍の肝があったとはいえ……旦那様……元気すぎじゃないかしら……。

祝! 一億PV突破!

まさかまさかの一億ですよ!

皆様本当にありがとうございますー!


そしてコミカライズ四話更新していますー!

アイナさんの素敵やんを是非見てくださいな!


そしてお出かけ中につき感想返しは後日となりますー!

申し訳!

英気を養って五巻作業もウェブ更新も頑張りますー!

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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、ゴジラ対策をしている自衛隊の面々というイメージが……。 イツキさんの性欲、災害レベル?
2021/07/11 03:31 退会済み
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