7-1 幸せ・願望 帰り道
7章突入です。
まったりめにいきましょうー。
ユートポーラからの帰り道。
帰りなのだから転移で戻る事も考えたのだが、せっかくなのでスライム系の材料を大量に集めてから戻る事にしたのだ。
スライムは種類も多く、何が必要になるかわからないため頻繁に休憩を行っては狩りを行い、安全を考慮して一人で動く事は禁止とすることにした。
現在も馬車を止めて休憩中で、シロとアイナがスライムを狩りに出てくれており、レンゲが馬車周辺を警戒してくれている。
ウェンディは荷台で暖かな日差しを浴びつつお昼寝中。
座ったまま小さな寝息を立てている姿が、とても可愛くて微笑ましい。
ギッ……ギッ……。
「あっ……ちょっと……主様、もう少し優しくしてよ……」
「悪い。でも、やっぱり敏感なんだな」
「当たり前っ、でしょ……んんっ……大事なところなのよ?」
「でもほら、こことか気持ちいいだろ?」
「……うん。凄く、気持ちいい」
ソルテが艶っぽい声を出し、その声色からも十二分に気持ちよさが伝わってくるかのようだ。
「あぁ……っ。んっ……もう、そこば……っかり……」
「ここもいいだろ?」
「あぁっ! もう、いじわる……」
既にソルテのツボは理解した。
さあ、これからめくるめく快楽の世界に落とし込んで――。
「あのー! 馬車の荷台でいかがわしい声上げないで貰えないっすかね!?」
レンゲが外から荷台にむかって、唾が飛ぶんじゃないかって勢いで叫んできた。
「はわっ?」
あーあー。
ウェンディが気持ち良さそうに寝ていたのに起きちゃったじゃないか。
でも、まだ頭は覚醒していないらしく、ふわふわと視線を彷徨わせて俺にたどり着くと、
「おはようございまふ」
「はい。おはよう。まだ寝てていいよ」
「ふぁい……」
そういうとゆっくりと横になり小さな寝息を立てて眠ってしまった。
よしよし。ゆっくりおやすみよ。
「いかがわしかったか?」
「そりゃあもう! 何してんだこいつら! って感じっす!」
「尻尾の手入れなんだが……」
親方から貰った櫛を使って、暇なのでソルテの尻尾を弄っていたのだ。
流石親方。ソルテがあっという間にこの櫛の虜になってしまった。
「やばいわー……凄い気持ちよかった……」
ソルテは力なく荷台で横になっており、尻尾は弄る前よりも色艶が増しているように思える。
大変もふもふでした。
何時間だってやっていられるもふもふ具合でした!
「レンゲもやってもらいなさいよ。絶対はまるから。それにほら。尻尾も凄い綺麗に整ってるもの」
「確かに綺麗っすけど……いいんすか?」
「私の尻尾はこれ以上やると禿げちゃいそうだし、主様はまだ物足りないみたいだしね。同じ尻尾を持つ者同士、この幸せを分かち合いましょう?」
「おお! 尻尾仲間っすね! わーい! ご主人自分もお願いするっすー!」
ぱいの一件で仲間はずれにされていたせいか妙に嬉しそうなレンゲ。
尻尾についてはむしろこちらからお願いしたいくらいなのだが……。
ソルテが戦闘準備を整えて表に出ると、レンゲが荷台に乗りこみ俺の膝上にうつぶせで体を預けて尻尾を向ける。
「好きにしていいっすよー! よろしくお願いするっす!」
ほう。好きにしていいと……。
まずは最初の粗めの櫛から優しく解していこうじゃあないか。
「お、おー……繊細な指の動きっすね」
「でしょ? 最初は心地いいくらいなのよね」
ソルテはそう遠くない位置で警戒しているので、荷台の外からレンゲの言葉に答えていた。
「っすね。なんか、このまま眠くなりそうっす」
「最初だけよ……」
さて、次はこっちだな……。
ここからがやばいのだ。
親方の本領発揮、確かに人気と言うのも頷ける一品。
『峰榛の櫛 器用度(小) 指先の達人』
アクセサリーというわけではないのだが、道具として能力がついている時点で親方の腕のよさを物語っている。
更に指先の達人は、DEXに応じて効果が増すという、DEXの高い俺にはぴったりの能力だ。
これにより、櫛で梳かれた際にまず引っかからなくなり、気持ちよさが増すというまさしく素晴らしいアイテムだった。
「おおおお!? 背中がぞくってしたっす!?」
「さて、レンゲはどこが弱いのかな?」
一撫でごとにレンゲがビクンと体を跳ねさせている。
今はまだ少しくすぐったさがあるのだろうが、この櫛の本領は続けていくとより顕著に現れるのだ。
「ん? ぁれ……ん、ぁ……んふぅ……」
少しずつ、レンゲの口数が減っていき漏れ出すのは吐息と、小さな喘ぎ声。
出したくて出しているわけではないのだろうが、この快楽からは逃れられまい。
「ぁ……これは……ぁっ、はぁん……やばいっすね……」
「でしょ。……というかレンゲもやらしい声出してるじゃない」
「っっぁ!……申し訳なかったっす。んぅ、はぁ……これは無理っす……」
徐々に尻尾が整っていくと、レンゲの声がうわずって息も荒くなっていく。
「レンゲのは、ソルテともまた違うんだな……。ソルテのは、さらっと流れるようなさわり心地だったけど、レンゲのはもふっと埋まるような感触だ」
「そ、っすかぁ……? ぁ……駄目っすよそこは……あぁ……駄目っす……」
くねくねと腰を動かして逃げようとしているのだろうが、尻尾はむしろ当ててくれといわんばかりに押し付けられている。
くくく、どんどん綺麗にしてやろう!
腰が浮き、徐々に桃色吐息が混じるようになってきたレンゲの尻尾を無遠慮でありながらも優しく梳いていく。
時に素早く、時にゆっくりと焦らす様に、その都度レンゲが敏感に反応していく様を堪能しつつ、もふもふを堪能するというスペシャルな時間だ。
「あぁぁぁ……もう、駄目駄目駄目っす……っ! ん、あぁ……っっっ!」
尻尾の先まで、きっちり丹念に手入れを終えた俺は、力なく倒れこんでいるレンゲの肩を抱き起こすと、汗ばんだ体を拭いていく。
「はぁぁ……はぁ……こーれは……やばいっすねぇ……」
「良かったか?」
「良すぎたっす……」
「ならよかったよ。ほら、腰上げて」
「んっ! んっ……! あはは、力はいんないっす……」
ぴょこんぴょこんと動こうとする意志は伝わってくるのだが、殆ど浮いていない。
仕方ないのでズボンの隙間に手を突っ込んで、奥の方まで拭いていく事にした。
「あははは、お尻触られてるっすー」
「拭いてるだけだよ。触るってのはこういうのだ」
どさくさまぎれにレンゲのお尻を鷲掴みにする。
柔らかく、汗ばんでいたせいか手の平にぴったりと吸い付くような感覚で、ズボンの間ということもあって手から中々離れない。
……いや、俺が手を放していないだけか。
「いつまでやってんのよ……」
「いやーだって力入らないんすもん」
体を拭き終わったレンゲは俺の膝上で寄りかかり、尻尾がふりふりと揺れて喜んでいるように見える。
すると、荷台の外にいるソルテの、更に後ろからアイナとシロが顔を出して中を覗いてきた。
「あ、アイナ、シロおかえりっすー」
「ん。ただいま。集めてきた」
シロが魔法の袋を俺に手渡すと、珍しく俺の膝上にいるレンゲの方を気にしているようだ。
まあ、普段はシロが良く座るポジションだからなぁ。
「あぁ、ただいま。レンゲはどうしたんだ?」
「ご主人にまさぐられて力入んないんっすよ」
「まさぐ……?」
「尻尾の手入れよ。でも、極上だったわ……」
「ん、ソルテもされたの?」
「ええ。シロもしてもらいなさいよ」
「んんー……シロの尻尾でもいいの?」
「ああ、勿論いいぞ」
シロの尻尾はもふもふ……という訳では無いが、ふわっふわのさらさらな尻尾であることに変わりは無い。
「ん。じゃあ後でやって欲しい」
「これで尻尾仲間が三人っすね!」
レンゲは嬉しそうに笑い、よいしょっと声をかけてシロに視線で席を譲ると、シロは嬉しそうに俺の膝上に座る。
「ありがと」
「いえいえ。仲間っすから!」
レンゲ……そんなにぱいだけ一人だったのが寂しかったんだな……。
そのまま俺の横に腰を降ろして、寄り添うように座ってしまった。
「ふむ……ウェンディ……は眠っているのか」
「寝てて良かったわよ……。あんな姿、他人に見せられないし」
「そうっすねぇ……。流石に恥ずかしいっす」
「いえ……その、起きてます……」
「いい!? 寝たふりしてたんっすか!?」
「ち、違います。一回起きて、その後また眠ろうとしたんですけど……。だって、卑猥な声が聞こえてきたので……起きるに起きれなかっただけです!」
「卑猥!? そ、そこまでじゃなかったと思うっすよ!」
「ふむ……」
レンゲとウェンディが言い合いをしている間、アイナがなにやら考え込んだ顔をしている。
「どうしたんだ?」
「いや、どうすれば尻尾が生えるかと考えていたんだが……何も思いつかなかった」
「流石に無理だろう……」
「そうか……そうだな……」
何とも残念そうなアイナだが、アイナやウェンディならば髪を弄らせてもらいたい。
幸いにも親方から貰った櫛には髪用もあるのだ。
ちなみに、能力は同じ物がついているのでもしかしたら同じような状態になるかもしれないのだが……。
まあ、流石に髪を梳いたら悶えるなんて事は起きないだろう。
……起きないよね?