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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
6章 温泉といえば
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6-10 温泉街ユートポーラ 忙しなく

今何時だ?

起きてからどれだけ経った?

どれだけ作った?

わかんないよ!


今俺何してるんだっけ……。

ああそうだ、バイブレータを作ってるんだった……。

魔力誘導板と振動球体と魔石を贋作(マルチコピー)でポポポンポン。

あと何個作ればいいんだろう。

もう何個作ったんだろう……。


朝起きて簡単な朝食を取ってから、アイリスからの頼まれごとを優先して終わらせてシロにはレインリヒの元へアクセサリを届けてもらい、ダーマに留守中の家の管理を要請して貰っている。

ウェンディには明日の馬の手配を頼んだし、食料以外の必要そうな物の買出しも頼んだ。

荷物持ちとして、レンゲに事情を話して頼んだのだが……。


『あー……。なるほどっす。あはは、やっぱりご主人っすね』


と呆れられつつ二人にはまだ内緒で引き受けてもらった。

アイナ達の行動パターンも分かっているし、うってつけだったのだ。


「主、レインリヒのところ行ってきた」

「ああ、おかえり。何か言ってたか?」

「んー、帰ってきたと思ったらまた何処かに行くのかい? 私もここを放って温泉でゆっくりしたいよ、ってレインリヒが言った後、リートの顔が引き攣ってた」


相変わらずの二人だな。

でもまあ帰ってきたら転移魔法で連れて行ってあげようか。

転移魔法ならば日帰りでも行けるし時間はあまり取られないだろう。

でも、リートさんはレインリヒと一緒に連れて行ってもゆっくりできるのだろうか?


「そうか、悪いんだが次はヤーシスのところにこれを持って行ってもらえるか?」


シロから空の魔法の袋(小)を受け取り、今度はヤーシスへ渡すバイブレータを詰め込んでいく。


「わかった。主、お昼ご飯はどうする?」

「俺はまだ無理だな……。シロは途中で屋台で何かを買って食べてくれ。悪いな、大分お昼を過ぎちまってるからお腹空いてるよな」

「んー……主の分も買って来る。落ち着いたら、一緒に食べよ?」

「ああ。そうしようか」


本当はお腹ぺこぺこだろうに。

嬉しい事を言ってくれるじゃないか。

これはシロのためにも、早めに一段落させないとだな。

シロに二人分のお金と、魔法の袋(小)を渡すと、ニマっと二人揃って笑い、お互いのやるべきことに戻る。


「さて……」


グッグッっと、腕を伸ばし、肩と腰を回して凝りを解す。


「次は冒険者ギルド用のポーションだな……」


劣と微と小は多めに、中と大はある程度で足りるだろう。

もし足りなければ、リートさんを口説いて温泉を餌に手伝ってもらおう。


そういえばなんだが、レベルが上がると劣や微が作りづらくなる。

出来れば錬金ギルドに新人が入ってくればその子に仕事を任せられるのだが、残念な事にまだいないようだ。

こんなことなら製薬ギルドに移ったという奴らを、低賃金で働かせればいいのに……。


『錬金』


出来上がったのは回復ポーション(小)。

もの凄く魔力を抑えてやっても(小)なのだ。

手作業でやると、まず微や劣は作れない。

なのでスキル使用でまず(小)を作り、贋作で効果を落とす。


もういっそ材料は変わらないのだから(小)を劣や微と同じ値段で売ってしまってもいいのだけどな。

ほかの街との兼ね合いもあって、そういうわけにもいかないのが、めんどうくさい世の中ってところなんだろうけど……。


贋作で微と劣を大量に量産していく。

今度は何日掛かるかわからないので、出来るだけ多く作っておかないとだからな……。

薬体草は劣と微で全部使ってしまい、中と大はそれほど必要ないので小は薬体大草で作った中に贋作を使用して作るとしよう。


ポーションを作り終えれば、当面の仕事上の問題はなくなるので一段落だろう。

そうしたらシロとお昼だな。


手作業でやるものではないので、ほいほいポーションを量産していくが、散乱しつつあるのでそろそろ分かりやすく10本ずつにまとめないとだな。


そんな事を考えていると、高速でノックを済まされ返事をする前に勢いよく扉が開けられた。


「たっだいまっすー! ご主人、ご飯買ってきたっすよー!」

「レ、レンゲさん? ノックは返事を待たないと意味がないですよ!?」

「あー忘れてたっす! 次から気をつけるっすね!」

「もう……ご主人様、今帰りました。荷物はご主人様の部屋に隠しておきましたので、後で魔法空間にしまってくださいね」

「ありがとう、それと二人ともおかえり。お昼、外で食べなかったんだな」

「ご主人忙しそうっすし、お昼もまだだと思って買ってきたっす!」

「あー……俺の分はシロが買ってきてくれるみたいなんだが、まあシロが戻ってきたらご飯にしようか」


俺の分くらいなら、シロが余計に食べられるだろう。

そろそろ戻ってくる頃だろうし、タイミングよくポーション作りが終わってるといいが。


「ご主人様、何かお手伝い出来る事はありますか?」

「じゃあポーションを10本ずつ縛っておいてくれるか?」

「かしこまりました」

「じゃあ自分もやるっす!」


二人に束ねる作業を任せ、俺は次々に回復ポーション中と大を作っていく。

そして、最後の薬体大草を使って、ポーション作成は終わりとなった。


「ふう……疲れた……」

「お疲れ様です。お水飲まれますか?」

「ああ戴くよ。魔力回復ポーションばっかりで、口の中が変な感じだったんだ」

「いやー……すっごいっすねえ。こんな数作るなんて、よく魔力中毒にならないもんすよ」

「元々MPは高めだったらしいからな。成長もしているし魔力は適性があるんじゃないかな?」


唯一初期ステータスで隼人に褒められた分野だしな。

魔法を主として戦う魔術師にもなれそうと言われたのだから、得意がってもいいだろう。


「あー……水美味い……」


ウェンディから受け取った水が驚くほどに美味い。

魔法で生み出した水のようだが、特段美味く感じるのは疲れている故だろうか。


「ただいまー……と、おかえり?」

「おーシロ。ご苦労様、こっちもちょうど一息ついたところだ」

「お帰りなさいシロ」

「おかえりっすー」

「ん。主、ご飯買ってきた」


シロから魔法の袋を受け取り、錬金室だがここで食事を取ることにする。

お腹ペコペコだよ……。


「あー……やっぱり美味いな牛串サンド」

「ん、シロもお気に入り」


シロと俺は最早この町で買い食いをするならば定番となっている牛串サンドを食している。


「モグモグ、あ、自分これ食べたら一度あっちに合流するっすね」

「そうか。こっちもある程度は終わってるし……悪かったな準備もあっただろうに」

「いいっすよー。自分は二人とご主人達を繋ぐ、大切な役っすからね」


飄々と応えてはいるが、俺達と別れた後に入念に荷物の確認等は行うのだろう。


「それに、自分の担当は食事と馬車の手配っすから。どっちもご主人がやってくれたんすよね?」

「ああ。馬車も手配してあるし、三人の分も含めて食事はこっちで準備するから、安心しておいてくれ」

「助かるっすよー。魔法の袋はないっすし、馬車にも限界があるっすからね。荷物が減るのは嬉しい限りっす」

「レンゲ個人の準備は出来ているのか?」

「自分は小物が数点だけっすからね。それよりもご主人が何をするのかわかっておいた方が良さそうっすし。……まだ何か隠してることはないっすか?」

「はっはっは」


笑って誤魔化しておこう。

当然だが、温泉街までついていくだけなはずはない。


「むう……はぐらかされたっす。ウェンディとシロは何か聞いていないんすか?」

「私もわかりませんね……。でも、何であってもついて行くだけですから」

「シロもまだ知らない」

「うーん……何でもいいっすけど、ご主人が洞窟に来るのは駄目っすよ?」

「わかってるって……。俺だって自分の弱さくらい自覚してるっての」


俺が行けば邪魔にしかならないというのはわかっている。

ダンジョンで無いとはいえ、洞窟ならば周囲は暗く、奇襲を受ける可能性も高い以上、ついて行くのは得策では無いだろう。

とは言っても、状況にもよるけどな。



昼食が終わると、レンゲはアイナ達と合流しに戻り、ウェンディとシロにはポーションを入れた魔法の袋を渡して、帰り際に食料の買出しを頼んだ。


一人錬金室に残った俺は、次の作業に取り掛かることにした。


材料の鉄のインゴットを取り出して、手形勢(ハンディング)で指輪の形を作りつつ、台座部分には大きめの球体を取り付ける。


球体をある程度の形までは手で広げ、次は彫刻刀で細かい造形を作り上げる。

目を彫り、歯を彫り、リング部分も欠けているようにしたり、歪ませたりして、と。

出来れば錆とか欲しいな……。

つや消しとか出来ればいいんだけど……。

やすりで削るか。


なるべくおどろおどろしいデザインにしてと、一つ一つ内側にナンバリングも刻んで銘は無しっと……出来た!


『呪われていそうな髑髏のリング1 対不死小』


よし。微妙!

まあ使い捨てだし、こんなものだろう。

さて、量産していきますかね。


『呪われていそうな髑髏のリング2 対不死小』

『呪われていそうな髑髏のリング3 対不死小』

『呪われていそうな髑髏のリング4 対不死小』


合計20個と。

まあこれだけあれば足りるかな?


「ただいまー」

「お、ちょうどいいところに来たなシロ」

「? 主何か作ってるの?」

「おう。シロはこれを見てどう思う?」


机の上に広がった呪われていそうなシリーズを見せる。

大量にあるからか、余計にどす黒いオーラが見え隠れしているように思えた。


「……つけたら呪われそう」

「ふっふっふ、だよな!」


よしよしよし。

シロがそういうなら問題はなさそうだ。


「主、これ何かに使うの?」

「まあな。シロにはこれを持っていてもらうぞ」

「……呪われない?」

「大丈夫だ。呪われそうとはあるけど、普通のリングだからな。特に怨念を込めたってことも無いし」


さっきつけてみたけど、普通に外せたしな。

能力欄にも呪いとは書かれていないし、まず大丈夫だろう。

指輪を紐に通して、シロに預けると、コンコンっとノックの音が聞こえた。


「失礼します。ご主人様、夕食のご準備の時間ですが……」

「了解。さて、それじゃあ今日は皆早めにお風呂に入って寝るようにな。出発は明朝。見送りの際にネタばらしをしてソルテの驚く顔を見るとしようか」


驚けばいいが、呆れられそうな気もするな。

まあそれはそれで良しとしようか。

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