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異世界でスローライフを(願望)  作者: シゲ
5章 王都一武術大会
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5-17 (仮) 王都一武術大会チーム戦 - 小休止 -

201709/26 23:52 申し訳ありませんが、次話、流れの都合上最後のシーンをカットしました。

          迷走中のまま投稿してしまい申し訳ありません!

「たっだいまーっす!」

「おう、おかえり。ちゃんと見てたぞ」


レンゲがテンション高めに腕をぶんぶんと振りながら戻ってくると、俺が手を上げて応えると三人とも駆け足で近寄ってきた。

その顔は何かを求めるように皆笑顔であった。


「お疲れさん。三人とも格好良かったぞ」


俺はその期待に応えるようにサムズアップで応えると、三人の笑顔が更にレベルアップしていた。

ぽんぽんとそれぞれの頭を軽く撫でて労いたいのだが、いかんせん俺の膝上には二人の重しが乗ったままである。


「見事であったぞ! 良い試合であった!」

「ありがとうございます!」

「次も期待しているぞ!」

「「「はい!」」っす!」


アイリスからのお褒めの言葉も授かり、少し早いが昼食を取る事にする。

アイリスやシュパリエ様も興味があるからという理由だけで一緒に食べることとなったのだが、いいのか?

毒物や粗悪な食材を使っているわけではないけど、安全面とか衛生面とか問題ないのだろうか。


「ほう! 美味いではないか!」

「今日はクリスが作ってるからな。褒めるならクリスを褒めてやってくれ」

「そうかそうか! クリスとやら凄く美味いぞ! 隼人卿は良い娘を手に入れたようじゃな!」

「ありがとうございますアイリス様。光栄の至りです」

「クリスさん! 是非! 是非私にもお料理を教えてください!」

「はい! 勿論です姫様」

「姫様だなんて……シュパリエで構いませんよ。これからクリスさんは私の師匠ですから!」

「ふええ!? そんな、無理です無理です!」


流石にお姫さんを呼び捨てはまだ無理かな?

だから俺は背中を押してあげようと思う。


「隼人の胃袋を掴んでるのはクリスだからな。クリスに師事すれば間違いないぞ! 失敗しても隼人なら喜んで食べてくれるさ」

「おお、おおお、お兄さん!?」

「イツキさん!?」


オット、イッケネ、マチガエター。

クリスは恥ずかしがり屋だもんな、と言うつもりがついうっかりである。

隼人についてはお姫様って料理を作っているはずがポイズンクッキングになるイメージがあるから、食材を無駄にしない為にもやはり主人公的なポジションにいる隼人が喰らうべきだろう。

耐久力も高いだろうからね!

それに婚約者だしね!

楽しそうだからじゃないよ?

本当だよ?


「お主が作った方も十分美味しいではないか。あまり食べた事のない物ばかりじゃが、わらわにはこちらの方があっているかな」

「あ、僕もイツキさんの作る料理好きですよ」

「デザートならばお兄さんの方が上手だと思います!」

「まあ! 男性なのにですか?」

「お兄さんは手先が器用ですし、知識も技法も豊富なのでとっても上手なんです!」

「それに、僕達の元の世界の料理を再現してくれたりしますからね。僕は料理が出来ないので……イツキさん頼りで故郷の味を楽しませてもらっています」

「まあまあ! では是非教えてくださらないかしら!」


Oh……。

まさかのクリスと隼人で反撃だと。

お姫様に料理を教えるとか……うわあ、想像以上にきっと面倒くさいぞ。

かといってお断りするわけにも行かないしな……。


「ま、まあ機会があれば」

「是非よろしくお願いします!」


どうか指を切ってしまうレベルではなく、ポイズンクッキングにならず普段からお菓子作りくらいはしているレベルでありますように。

姫様が指をスパーンしたら俺の首がスパーンみたいな展開だけは勘弁願いたい。


「ほう、デザートか。今日はないのか?」

「あー……あるにはあるけど、まだ入るのか? もう結構食べてるだろう」


シロやアイナ達ほどではないにせよ、大人一人分くらいは食べているはずだ。

おなかが少しぽこっとしているから間違いない。


「にしし、女の子はデザートならばいくらでもはいるのじゃぞ?」

「流石にいくらでもは嘘だろ……」


前の世界でもデザートは別腹とはよく言われていたものだが、構造的に無理だと思うの。

でも女の子の体には不思議が多いからな。

胸には希望が、お尻には慈愛が、それならばデザート用として二つ目の胃袋があってもおかしくはないのかもしれない。


「なら出すか。シロ達も食べる……よな?」

「ん、勿論」

「私たちも貰っていいかしら? 試合の後だし、甘い物は特別よね!」


隼人達のほうを確認するが、結局全員食べるようだ。

ストックがなくなりそうだが、また作ればいいよな。


「まあ、今日は普通のアイスクリームだけどな」


でも今日の食事量からすれば丁度いいくらいか。

ジャムはモモモとリンプルと、後はオランゲがあったか。

箱に入ったアイスクリームを魔法の袋に擬態させて使っている魔法空間から出すと、自作のディッシャーで円形にして取り分けていく。

なんかこのディッシャー使ってるとアイスクリーム屋さんになった気分になるよね。


「ジャムはお好みでどうぞ」

「おおおお……冷たい氷菓子が屋外で食べられるとは……」

「好きなのか?」

「うむ! 冷たくて舌触りが良いからな! 普通は果実を凍らせて削るものじゃが、これは牛の乳か?」

「まあ牛の乳が材料ではあるけど、手は加えてあるぞ」

「主の『アイス』はとっても美味しい。ほっぺが落ちる」

「そうか! では早速頂くとしよう! まずはそのままじゃな!」


アイリスが銀製のスプーンで小さくアイスクリームを削ると、小さな口に近づけていく。

何故か俺は少しドキドキしながら反応が気になってしまった。


「うむ、バニルの甘い香りがたまらぬな!」


香りを楽しんだ後にスプーンを口に運び、堪能するように目を閉じて吟味している。


「ほああ……わらわこれ好き」


蕩けたように口をだらしなく開けて好意を示し、先ほどよりも大きくスプーンにとって更にもう一口と食べ進めていく。

どうやら気に入っていただけたようだ。


「ふぅ。お気に召したようで良かったよ」

「お気に召したどころではないぞ! んんんー! モモモのジャムもたまらないな! リンプルの爽やかさ、オランゲの酸味も良いな!」

「そうか。おかわりあるけどいるか?」

「なんと! 良いのか? 食べつくしてしまうぞ?」

「それはない。シロがいる限り」

「ぬぬ! 負けぬぞ!?」

「いや、おかわりは一人一回までだからな」


シロとアイリスの分を掬って器に盛って手渡すとすぐにかきこむように食べる二人。

ねえ聞いてる?

おかわりは一人一回までだからね?

そんな何杯も食べられるほどないからな?

それに、他にもおかわりしたそうにしている奴らもいるから我慢してくれ。


さて、それじゃあ俺も自分の分を食べるとするか。

少し溶け始めてはいるが、それでも美味いのがこのアイスクリームである。

うん、やはり美味い。

俺的にはジャムをつけるならモモモが一番好きなんだよね。


「あーん」


さて、もう一口といったところで目を瞑りこちらに向かって小さな口を精一杯広げるアイリス。

その姿はまんま子供だが、なるほどな。

おかわりは一人一回だが、俺の分は別という事か。

だからこそ急いで食べるとは、考えたものだな。


「はぁ、はいあーん」

「んんー! 優しいなあお主は」


まあ、俺はいつでも食べられるしな。

さて、次はオランゲを試してみるか。

んんー!

オランゲの酸味とさっぱりとした甘さ、それにバニルの甘い香りと濃厚でありながらくどくない甘いアイスがたまらない!


「……にしし。間接チューじゃな」


残念ながら突っ込んでくるのは予想済みである。

俺の中で子供とはノーカウントなので一切何も問題ない。


「むう、主、シロもあーん!」

「はいはい。ジャムはオランゲでいいか?」

「いい。あーん」


食べさせてあげると、頬をおさえて喜ぶシロ。

相変わらず食べている時は幸せそうで、作った側としても嬉しい限りである。


「ぬう! シロの方が多くないか? わらわのときはその半分じゃったぞ!」

「愛の大きさで変わるから仕方ない」

「なんじゃと!? では愛しているからわらわにもあーん!」

「安い愛だな……」

「アイスクリームの為ならば愛なんて安いもんじゃ!」


愛とはなんぞと問うたらアイスだとか言いだしそうな勢いだ。

そこまで気に入ったのならもう全部あげてしまうか。


「ほら、ならこれ食べていいぞ」

「おおおう! わらわの愛が通じたか!」

「むう、でもあーんじゃないからそれは愛じゃない」

「なんじゃその基準は!?」

「仲良く分けること、いいな」


二人は一度こちらをぎゅるっと見ると、アイスクリームに再度視線を戻し、多分一ミリ単位でどう分けるか議論し始めたので俺は嘆息しながらそれを眺めていた。

くいくいっと腕を引かれて見るとウェンディが自分のアイス(二杯目)を俺の方に差し出している。


「あの、ご主人様? 私の分をご主人様に差し上げますので……」

「ん、いいのか?」

「はい。あまり身体を冷やしたくないですし、私は一つで十分ですから」

「それじゃあ遠慮なく……って、どうした?」


差し出していたアイスを受け取ろうとしたらウェンディが引っ込めてしまう。

どういうことかと顔を上げると、ウェンディは自分のスプーンで掬ってからこちらに差し出してきた。


「あーん」

「そういうことか、あーん」


最近は俺がしてばかりだったから久しぶりかもしれない。

先ほどよりも美味しく感じるのは、ウェンディのあーんで美味さが三倍になっているからかもしれない!

美味さが3倍で甘さが10倍といったところだろう。


「うふふ、つぎはモモモでいいですか?」

「ちょっとまって! モモモなら私のをあげるわよ!」

「むう、リンプルのジャムをかけてしまった……。主君! リンプル味はまだ食べていないのではないか!?」

「ふっふっふ、自分は焦らないっす。結局最後はノーマルのアイスクリームに落ち着くって自分は知っているっす!」

「いや、そんなにはいらないからな……」

「出遅れになったっす! だがまだ諦めないっす!」


それぞれがスプーンを突き出してくるもんだからどれから食べようか迷ってしまう。

だが、アイスクリームである以上、制限時間は限られている。

どうするべきか、モモモであるソルテから食べるかそれとも――


「いらぬのならばわらわが貰おう!」

「そうはさせない! シロがいただく!」


二人が下からにょきっと現れて差し出された匙に喰らいつこうとする。

だが、突然現れた二人に驚いた一人を皮切りにそれぞれが持ち手が乱れてスプーンからアイスクリームが零れ落ちてしまうのはもはや必然であった。


「ぬああ……もったいない……」

「シロはまだ食べられる」

「馬鹿! それよりも服の心配をしろよ!」


べとっと胸元にアイスがひっついてしまったアイリスと、ぎりぎりで手でキャッチしたシロ。

シロは手についたアイスをぺろぺろと舐めているが、アイリスは残念そうに服についたアイスを眺めている。

俺はハンカチを取り出して、アイリスの服にべっとりとついたアイスを取り除く為に手を伸ばした。


「あーあー……しみになりそうだな……」


大きな塊をハンカチ越しに摘み取るように落とし、残りは乾いた部分で水分を取るようにポンポンとしていくのだが、アイスクリームは脂を含んでいるのでやはり取れなさそうだ……。


「ご、ご主人様!?」

「お、おぬし……何処を触っている!?」

「しみぬきしてるだけだし、仮に触ったとしてもおっぱいじゃない胸ならセーフだ」

「ほ……そうなのですね。安心しました」

「わけのわからんことをいうな! わらわのこれは小さいがおっぱいじゃ!」


なんだ、またおっぱいについて熱い想いを語らねばならないのか。

いいだろう。

受けて立とうじゃないか!

モモモ = 桃

リンプル = リンゴ

オランゲ = オレンジ


の、ような果実です。

名前はなるべくわかりやすく、少しだけ変えてます。

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― 新着の感想 ―
[一言] > 名前はなるべくわかりやすく、少しだけ変えてます。 とありましたが、リンゴだけはわかりませんでした。
[一言] アイスクリームには、ジャムやナッツをかけるのもよいが、大人はブランデーやウイスキーをかけるのもよいでしょう 酒を飲むシーンもあるのだし、蒸留酒があるなら、そういうアイスを食べるシーンがあって…
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