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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第97話 再立国

 ティノが観察した数日後、王や貴族が消え去ったリンカン王国の王都は、すんなりとハンソー軍に占領された。

 ハンソー軍は王都民をむやみに殺害したりせず、他の町への渡航を制限する程度で済ませた為、大した騒ぎにはならなかった。

 その為、ハンソーの占領が他国へ知れ渡ったのは、1週間近くたってからだった。


「随分かかったな……」


 ティノは現在、元ミョーワ王国のナンダイトーの町に来ている。

 そして向かっている先は、酒場である。


“ギィー……”


「いらっしゃい……、!? あなたは……」


 扉を開いて、酒場に入ってすぐに会ったのは、オルランド殺害の時ティノが治療したセコンドの妹リリアーナだった。


「こんちわ! セコンドいるかい?」


 この酒場に来た用事は、セコンドに会う事である。


「はい! 少し待ってください」


 そう言って、リリアーナはスタッフルームに入って行った。


「……おぉ、あんたか……」


 妹に呼ばれてきたのだろう、セコンドが現れた。


「よっ! ちょっと話があってね」


 軽い挨拶をした後、ティノはまだ開店前の酒場でセコンドと話を始めた。


「話とはなんだ?」


 カウンターに座ったティノの前に立ち、セコンドは話しかけてきた。


「反乱軍がミョーワを、どう言った国にするのかと思ってね」


 反乱軍のナンダイトーの砦奪取を期に、元ミョーワ王国領土内で市民による帝国兵の排除が活発化し、帝国兵は西に逃走をして行き、現在は排除し終えたようである。


「確かミョーワ王家は全て帝国に殺害されたはずだが?」


 ティノとしても、ミョーワには早く国として立ち上がって貰いたい。

 ハンソーがリンカンの王都を占領した今、西に逃走をしたリンカン王国とデンオー帝国の動きが気になる。

 なので、ミョーワが国として立ち上がって、帝国の標的になってもらうことをティノは期待している。

 リンカン側は、ハンソーかトウダイにいずれ攻めてくるだろう。

 恐らく歴史ある王都奪還を優先させるとは思うが、潰しやすいトウダイを先にする可能性もある。

 すんなりと王都を得られたハンソーも、帝国側よりリンカン側の領土の方が攻めやすいと思っているだろう。

 それにトウダイには、援助等をしていて内情は得やすい。

 その為、いつでもトウダイを手に入れられるのだから、可能性は低いが攻め込んでくる事も考えられる。

 ミョーワが帝国の標的になって貰えば、協力関係にあるハンソーもミョーワに意識を割かなくてはならなくなる。

 そうなれば、トウダイへの少ない可能性がさらに少なくすることが出来る。


「その事で今困っている……」


 セコンド達は今、その事で悩んでいる。

 ミョーワ王国の王族は滅亡し、さらにほとんどの貴族も滅亡しているので、象徴とする人物がいないのである。


「……じゃあ、反乱軍のリーダーをトップにしちゃえば?」


 ティノはセコンドの呟きに対して、軽い口調で答えた。






────────────────────


 ロメオとの戦闘の翌日、マルコは準決勝の為に会場の控え室に来た。


【只今より準決勝1回戦を行います!】


【東口からは1年生のマルコ選手の入場です!】


【西口からは4年生のマルチェッラ選手の入場です!】


 司会の紹介によって、マルコと相手選手は闘技場に入り開始線に立ち、向かい合った。

 マルコの相手は4年生の女子で、4年生首席の才女で、魔法の能力に特化した戦闘スタイルだ。


「2人とも準備は良いか?」


 準決勝から審判が変わり、校長が務める事になった。


「はい!」「はい!」


 両者とも返事を返して、武器を構え合った。


「始め!」


「ハッ!」


 開始と同時に、マルチェッラはマルコに向かって巨大な火の玉を放って来た。


“スッ!”


“ボンッ!”


 マルコは火の玉を躱し、先程までマルコが立っていた地面に着弾した火の玉は、その威力によって地面に穴を開けていた。


「……すごいな」


 魔法を発動した速度もさることながら、その魔法の威力に感嘆の声をあげた。


「それはこっちの台詞よ。あなた本当に1年生?」


 かなりの魔力を込めた魔法を、難なく交わしたマルコにマルチェッラは言葉を返した。


「じゃあ、もうちょっと威力上げて行くわね?」


 そう言って、マルチェッラは先程以上の火の玉を両手に1つずつ作り、マルコに向かって放って来た。


“タッ!”“ボンッ!”


“タッ!”“ボンッ!”


 放たれた魔法を、マルコはステップして躱す。


「ドンドン行くわよ」


 マルチェッラは躱すマルコに向かって、火の玉で追い込むように放っていった。


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