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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第92話 今後

「……良い判断だ」


 ティノはダイトウの家で、帝国軍将軍の1人ダルマツィオの行動を見ていた。

 以前召喚した時同様、クワガタをダルマツィオの側に置いて、クワガタと視覚をリンクして眺めていた。

 ティノが呟いた通り、ダルマツィオが生き残るには、元ミョーワ国領土から撤退するのが最適な答えである。

 その選択を導き出したダルマツィオの事を、ティノは軽く見ていた。


「前見たときはもう少し考え無しだったんだけど……」


 マルコと旅をしつつも、時を見てはケトウ大陸の様子を探るために帝国に侵入して、情報を得ていたのだが、以前ティノがダルマツィオを見たときは、オルラルド同様扱い易い帝国将軍の1人に思えた。


「……優秀な右腕でも見つけたか?」


 ティノが見ているとダルマツィオの近くには、頻繁に話をする人間がいた。

 エピファーニオの事である。


「あのまま北に進んでくれていれば、リンカンだけでなく帝国にも大打撃を与えられたんだけど……」


 元ミョーワ国領土にいた帝国軍の将軍は、オルラルドとダルマツィオの2人である。

 ティノは、この2人の将軍を潰すのが最初の予定だった。

 2人の性格などから、かなりの確率で成功すると思っていた。


「リンカンに比べて、帝国は思っていた以上に手強いね……」


“スッ!”


 西に移動するダルマツィオを見ていたクワガタを消して、ティノは帝国への意識を少し変える事にした。


「……しかし、これでリンカンは追い詰められたな」


 南に反乱軍、東にハンソー、北にティノもいるダイトウの敵に王都を囲まれ、オルラルドに受けた打撃によって守備は脆い状態、3つの内のどこから攻められても国王を守れるか分からない今、リンカンもこのままでいるはずがない。

 しかも、反乱軍とハンソーの援護軍は、予定されたダルマツィオとの戦いが無くなり、無駄に戦力が落ちてない状態なので、いつでもリンカン王都に攻め込める状況である。


「ダイトウの戦力では王都攻めは無理だな。となると……」


 ダイトウは現在、クランエローエのリーダーであるアドリアーノの指示で、町の建築に徹していて、どこかに攻め混む余裕はない。

 反乱軍も、これからミョーワ王国復興に力を入れるだろう。


「ハンソーかな?」


 今まで帝国とリンカンに苦しめられたハンソーが、今を逃すほど馬鹿ではないと思う。


「ダイトウの防衛強化を急いだ方が良いな……」


 王都をハンソーに取られたらダイトウは北は海、南と東をハンソーに囲まれる。

 リンカンの脅威から、今度はハンソーの脅威に注意する必要が出て来た。

 一応、ハンソーとはアドリアーノ達が関係を維持しているので、大丈夫だとは思うが、ハンソーからしたら帝国とリンカンへの対策のためにも、この期に領土を拡大するために動く可能性もある。

 そう思い、ティノは翌日からダイトウの町の建築に動くことにした。






────────────────────


【只今より2回戦、第2試合を開始します】


 ロメオは六尺棒を持って、対戦相手と対峙した。

 相手はロメオが言っていたように女子で、剣士タイプの4年生である。

 2人共間合いを取り、武器を構えた。


「始め!」


「…………」


「…………」


 開始の合図が上がったが、2人共動かず、相手が動くのをじっと見つめていた。


『えーい! 相手が女とか悩んでる暇はない! 勝ってマルコと戦うんだ!』


 相手と違い、女子を殴る事の抵抗感で動かなかったロメオは、気合いを入れ直し、動く事を決意した。


“バッ!”


「!!?」


 しかし、ロメオが決意した瞬間、それを見越したように女子の方が先に動いた。

 身体強化し、ロメオとの距離を一気に積めた。


“ガッ!”


「くっ!」


 ロメオも身体強化し、辛うじて六尺棒で木剣による攻撃を防いだ。


「ハアァー……!」


 一撃目を防がれた女子もかなりの実力なのか、間合いを取ろうとするロメオを逃がさんとばかりに、木剣による連撃を繰り出した。


“ガッ!ガッ!ガッ!……”


『……くっ! なめてた。俺に男だ女だと考える余裕があるほど実力がある訳じゃ無かった』


 連撃を防ぎつつ、ロメオは自分の考えの甘さに歯噛みした。


“チッ!”


「つっ!」


 女子の剣がロメオの頬をかすり、かすかに血が流れた。

 ロメオは相手の剣のわずかな隙を付いて、ようやく距離を取る事が出来た。


「フー……」


 そして1度の深呼吸によって、余計なことを考えないように、相手に集中した。


“バッ!”


「ハッ!」


 追い討ちをかけるべく、相手は距離を積め、ロメオに剣を降り下ろした。


「!!? ターッ!」


“カンッ!”


“バシッ!”


 ロメオは自分に落ちてくる剣を六尺棒で払い、がら空きになった胴を薙いだ。


「グッ……!」


 攻撃を受けた女子は、お腹を抑えて膝を付いた。


“スッ!”


 ロメオは、その状態の女子の首に六尺棒を添えた。


「それまで! 勝者ロメオ!」


 その瞬間ロメオは勝利をおさめた。


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