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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第90話 帰宅

「よっ! セコンド! さっきぶり……」


 ティノは、反乱軍の生き残りの女性を治し終えた時現れたセコンドに対して、軽い挨拶をした。


「リリアーナ!」


 セコンドは、ティノの挨拶を無視してティノが治した女性に駆け寄った。


「……兄さん、無事だったの?」


 リリアーナと呼ばれた女性は、深い傷は治ったが細かい傷と、ティノが治すまでに流した大量の出血によって、まだ起き上がれず、横になった状態のままセコンドに話しかけた。


「!!? 兄さん!? お前が!?」


 女性が放った言葉に反応したのは、ティノだった。

 褐色の肌の強面で、顎髭が似合うワイルドな印象のセコンドに対し、色白の肌でやや童顔のリリアーナは、どう見ても似てなかったので、ティノは思わず驚いてしまった。


「何だ!? 文句あんのか!?」


 セコンドは昔から、妹と顔が似てない事を何度も何度も言われて来たので、最近ではその事を言われると一気に怒りの沸点に達するようになっていた。

 なので、ティノの反応を見て、一気に鬼のような表情に変わり睨み付けてきた。


「……いや、別に……」


 セコンドの様子を見て、空気を読んだティノは言葉を濁した。


「それより、オルラルドは殺ったんだろ?」


「あぁ、うちらのボスが止めを刺した」


 先に進まないので、ティノは話を変えた。


「これから先はどう言った予定だ?」


 オルラルド暗殺の為に砦に侵入したのだから、そのオルラルドを暗殺した後の作戦もあるはずだ。

 そして色々ありはしたが、オルラルド暗殺に成功したのだから、この後の行動がどういうものか聞いておこうとティノは思った。


「ボスが砦の外に待機している反乱軍メンバーに合図を送り、合図を受けた彼等の侵入によって、ここの砦内にいる帝国兵の排除を行う手筈になっている」


「なるほど……」


 本来はオルラルドを密かに暗殺した後、そのように行うはずだったのだろうが、オルラルドにバレていたので、念のために来たティノがいなかったら、作戦失敗で全滅だっただろう。


「……言うのが遅れてすまん! 反乱軍と大事な妹を救ってくれてありがとう!」


「……ありがとう」


 妹を抱えながらセコンドは、ティノに対して頭を下げて感謝の言葉を発した。

 リリアーナもセコンドに支えられながら、少しだけ上半身を起こして感謝した。


「気にするな。俺にとってもこの作戦は、成功して貰わないと嫌だったのでな」


 そう、困るではなく嫌だった(・・・・)

 はっきり言って、この作戦が成功しようが失敗しようが、ティノからしたらどうでも良かった。

 ただそう言った流れになった方が、展開としてこれから先が面白いと思った為、手伝ったにすぎない。


「じゃあ、ここから先は俺は居なくなっても大丈夫だな?」


「あぁ、まあな……、でも待ってくれ! ボス達にお前の事を紹介しないと……」


 オルラルドは死んだし、廊下を移動しながらかなりの帝国兵を殺ったので、ここからの作戦は問題ないと思い、ティノは帰ることにした。


「そんなのいいよ! 眠いから帰る!」


 昨日は空振りで夜更かししたので、今は眠くて仕方がない。


“カチャッ!”


「じゃあな!」


 そう言ってティノは、窓を開けて外に飛び降りて、闇に紛れて消え去った。






────────────────────


【只今より1回戦、第4試合を開始します】


 その後、解説からの呼び出しによってマルコと同じく、西口からロメオが出てきた。

 ロメオの相手は4年生の男子で、ロメオと同じく一般的な槍の長さの棒に、先っちょだけ布を巻いた、六尺棒を持っていた。


「相手も槍か……」


 自分と同じ得物を持つ相手を見て、ロメオは思わず呟いた。

 マルコとの訓練で、剣を相手にしてきたので、出来れば剣の相手とやりたかったからである。


「まっ、そんな都合よく行く訳ないか……」


“スッ!”


 そう自分に言い聞かせ、ロメオは棒を構えて開始の合図を待った。


「第4試合始め!」


 審判であるアルマンドの合図によって試合が開始された。


“バッ!”


 開始の合図と同時に動いたのは、ロメオだった。


「!!?」


 ロメオの予想以上に素速い動きに、相手は慌てて守りの体制に入った。


「ぬんっ!」


「!!?」


 相手に近付いたロメオは、そこから身体強化をして、更に加速して動いた。

 ロメオの急激な加速についていけない対戦相手の背後に回り込み、強力な一撃を与えて気を失わせた。


「勝者、ロメオ!」


 アルマンドの判定によって、ロメオの勝利が確定した。


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