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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第87話 失敗

 砦の中に入った反乱軍のメンバーには、3人の兵士に引き連れられ、3組位に別れて砦内を行動し始めた。

 どうやら門番以外にも、数人の反乱軍メンバーが潜入しているようである。

 ティノは気配を消して、その中の1つのグループに距離を取りつつ密かについていった。


『正解だ……』


 予想した通りこのグループは、将軍オルラルドの部屋に向かって最短距離を進んでいっていた。

 密かについていくティノは、選択の正解に内心喜んだ。


“ササッ!”


 オルラルドの部屋の前に着いた反乱軍は、扉の前でアイコンタクトをして扉を開けるタイミングを計っていた。

 そして全員が頷き合うと、


“ガチャッ!”


 勢い良く扉を開け、中になだれ込んで入って行った。


「ようこそ! 我が砦へ……、反乱軍諸君!」


「!!?」


 反乱軍のメンバーが中に入ると、オルラルドは待ち構えたように佇んでいた。


“ババババッ!!”


「!!?」


 そして、オルラルドの言葉が合図だったように、大量の帝国兵達が隣の部屋から出てきて、反乱軍のメンバーを取り囲んだ。


「……クックック、ハー、ハッハッハ!!」


 囲まれた7人の反乱軍のメンバーが慌てる様を見て、オルラルドは高らかに笑い声を上げた。


「……フフフッ、私に自分達の策がバレていないとでも思っていたのかい?」


『アリャリャ……、中々やるね、オルラルド……』


 少し離れた場所で見ているティノは、反乱軍のメンバーを絶対絶命の状態に持ち込んだオルラルドを、密かに誉めていた。


『まぁ、この展開も予想できたから来たんだけど……』


 ティノがオルラルドと会ったとき、他国の最新情報を手に入れていた。

 あの時トウダイが、クランエローエによって奪還された情報を手に入れるほど、オルラルドの情報収集力は高かった。

 その事が引っ掛かっていたので、ティノも反乱軍の行動を見に来たのであった。

 案の定、オルラルドは反乱軍の情報を入手していたらしく、このような状態になってしまった。


「俺を殺りに来たって事は、ここにいるのは幹部クラスかな?」


 オルラルドは、にやけつつ問いかけた。


「チッ! くそが!」


 反乱軍のメンバーは被っていたフードを取り、それぞれ武器を構えた。


『あっ!? セコンドだ……』


 その中にはあのセコンドもいて、短刀を両手に構えて周りの兵士達を見渡していた。

 その事にティノも気付いた。


「その人数でどうするつもりだ? ……そうだ! 他の侵入者達だが……」


「…………」


 オルラルドの言葉を、セコンド達は黙って聞いていた。

 そして、


「あの門番も含めて全員、恐らくもうこの世にはいないはずだ!」


 オルラルドのこの言葉と共に、帝国兵達がセコンド達に襲いかかった。






────────────────────


【ただ今より1回戦、第2試合を開始します】


 音声拡大魔道具を使って、司会者が話始めた。


【第2試合、東口からは4年生Sクラス、ベルトルド選手入場です!】


 マルコの相手が紹介され、東口から闘技場の中央へ登場した。


【西口からは校内戦ではとても珍しく、1年生Sクラス、マルコ選手入場です!】


 その言葉と共に、マルコは西口から闘技場中央へ進んでいった。


「……まさか相手が1年生とは、運が良かったぜ!」


 対戦相手のベルトルドは、マルコの身長より頭二つほど高い位置から、マルコを見下ろしつつにやけた笑顔で話しかけてきた。


「…………」


 それに対してマルコは、無言でベルトルドを見上げていた。


「……おっ? 恐くて声も出ないってか?」


 マルコの態度を見て、ベルトルドは更に言葉を投げかけてきた。

 校内戦は長期休暇前の一番の娯楽の為、会場の客席は満員で、学生だけでなく、学園近くの市民達も観戦に来ていた。

 マルコとベルトルドの身長差から、観客の1人が「あんまりチビッコいじめるなよ!」とヤジを投げて、周囲の笑いを取っていた。


「私語を慎め!」


 審判のアルマンドがベルトルドに軽く注意をした後、マルコとベルトルドは開始位置に着き武器を構えた。

 マルコはいつも通り木剣を片手で持ち、斜に構えた。

 一方ベルトルドは、体格を活かした大剣型の重そうな木剣を両手で持ち構えた。


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