第86話 反乱
ナンダイトー近くの森に移動したティノは、オルラルドがいる町近くの砦を、高い木に登って遠くから眺めていた。
「まだ日も落ちてないし、殺るとしたら夜だろうな……」
もうすぐ夕方の時間帯に入る今、砦の様子はいたって平穏、行動に移すならここ数日がチャンスだが、まだ反乱軍による行動は起きていないらしい。
「……セコンドに会いに行くかな?」
ティノはそもそも今日行うのか分からないので、以前ナンダイトーの酒場であった、反乱軍の副リーダーのセコンドに聞きに行こうかと思っていた。
「…………止めとこ」
この時期彼に会い行って、計画に支障が出たらティノとしても困るので、大人しく木の上で夜になるのを待つ事にした。
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「何も起きないな……、今日は無いかな?」
確か今日は新月なので、今日行動を起こすと思って来たのだが、何も起きないでいた。
木の上で、家を修復するときに余った木材を、ナイフで削って動物の木像を作って暇を潰していたティノだが、砦も町も大人しく、今夜は何か起こるようには思えなくなっていた。
「今日は帰ろっかな?」
夜も更けてきて、もう少ししたら日が登り出す時間になる。
待つのに飽きたティノは、流石に今日では無いだろうと、家に帰ることにした。
◆◆◆◆◆
トウダイの家に帰り休んだ後、翌日、今度は日が暮れてから昨日と同じ場所に移動した。
「今日は起こるかな?」
木の上で砦と町を眺めながら、ティノはまた時間を潰しつつ事が起こるのを待った。
「…………!? おっ!?」
丑三つ時になった頃、ようやく動きがあった。
ティノは、町の方から沢山の人間が黒いローブを身に纏い、闇夜に紛れて動いているのを察知した。
「良かった……、待つのに飽きてたよ」
元々、のんびりする事には慣れているティノだが、流石に何時間も待ってるだけなのは飽きてきていた。
反乱軍らしき人々は、物陰から真っ直ぐ門番に向かって近寄って行った。
「……なるほど」
ティノはそれを見て、反乱軍の作戦を理解した。
恐らく、砦内にも反乱軍の人間が入り込んでいるのだろう。
あの門番も仲間で、侵入の手助けをするのだろう。
「やっぱり……」
門番と合図らしき物をした後、黒ローブの人々は静かに砦内に侵入して行った。
その後、門番は何も無かったかのように、門の警護体制に入った。
「おっと……、念の為に俺も入るか……」
黒ローブ達が全員入ったのを確認して、ティノも密かに砦内に侵入した。
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第1試合が終了し、次はマルコの出番だ。
マルコは控え室から出て、闘技場の西側入り口に向かって歩き出した。
「……どうした? ロメオ……」
その廊下の途中で、ロメオがマルコの事を待っていた。
「いや~、マルコが緊張してるかなと思って……」
ロメオはそう言ってはいるが、どう見ても緊張しているのはロメオの方であった。
「……ははっ、ロメオ、顔固まってるぞ?」
マルコはその顔に、思わず笑顔になってしまった。
「うっ、うるせー!」
マルコに指摘されたロメオは、少し慌てて言い返した。
「……ありがとなロメオ、取りあえず力は抜けたよ」
そう言ってマルコは、闘技場の西口から闘技場に入って行った。




