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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第80話 家の修復

「……小屋?」


 ティノが、報酬にどんな物を求めて来るのか身構えていたリーダーだったが、言われた物が大したことなかったので思わず聞き返してしまった。


「……あそこで何する気だ?」


 拍子抜けの報酬を求めたティノが、人気の少ない小屋で何をするのか、リーダーは気になった。


「何って……、住むんだよ」


 逆に何を聞くんだ、とばかりにティノは答えた。


「あそこがちょっと気に入ったんだ!」


 2人が訝しげな表情だったので、ティノは少し言葉を足した。


「……あんな小屋で良いなら好きに使え!」


「リーダー!?」


 ティノの要求を受け入れたリーダーに、ヤコボは少し慌てた。


「あそこは、初代様が泊まった小屋だと言う話があるではないですか?」


「確かにあったが証明されなかっただろ?」


 彼等が言う初代様とは、ティノの息子のカルロのことだろう。

 確かにカルロと一緒に泊まったことがあったな、とティノは思っていた。

 ティノが求めた小屋とは、元々ティノが浮浪の旅に出る前に住んでいた家、つまりは実家である。


「じゃあ、俺はこれで……」


 リーダーとヤコボが話し合うなか、ティノは部屋から出ていこうとした。


「あっ!? ちょっと……」


「用があるときは小屋に来てくれ!」


 出ていこうとするティノを止めようとするヤコボの言葉を交わして、ティノは一言告げて出ていった。



◆◆◆◆◆


「うわ~、すっげーボロボロだな~……」


 リーダーに貰いに行く前、遠目に1度見たのだけれど、近場で見るととても人が住める状態じゃなかった。

 町外れだったお陰か、一応形が残った状態だが、かなり修復しないと住めそうにない。


「まぁ、魔法を使えばすぐ済むけど……」


 今のティノなら、長年の訓練から魔法で家を修復するなど簡単である。


「まずは……」


“ボコボコッ!”


 ティノは土魔法で土を操り、ボロボロの外壁を修復していった。


「次は中だな……」


 家の中は床がなく、土が丸見えの状態だった。


「木が必要だな……」


 ティノはそう呟いて、家から近い森に行って木を切り、魔法の指輪に収納して持ち帰った。

 魔法の指輪から取り出した木は、生木のままでは使えないので、火魔法と風魔法で熱風を送り急速乾燥させた。


「後は、手作業だな……」


 乾いた木を風魔法で板状に切り分け、その板を手作業で打ち付けて、穴だらけの屋根を塞ぎ、床板を敷いていった。


「ふ~……、取り合えず終わった」


 1日かけてようやく終わり、雨風を凌げる位に仕上がった。


「後は、台所とトイレと風呂場だな」


 それらを土魔法で作り、家具はないがどうにか家が完成した。






──────────────────── 


「鍛えてくれって……」


 マルコは、ロメオに言われた言葉にすぐに答えが返せなかった。

 小さい頃からティノに指導を受けて、魔物を相手に訓練を重ねて来たマルコは、教わることはあっても、教えることなど今まで無かったので、自分が人を教えることに若干躊躇したからである。


「頼むよ! 折角校内戦に出るんだから1回戦位勝ちたいんだよ!」


 ロメオは手を合わせて頭を下げ、マルコに頼み込んできた。


「……分かったよ。けど僕は人に教えるなんてしたことないから、我流になるけど良いかい?」


「我流でも何でも、強くなれるなら何でも良いよ!」


 マルコの了承を得たロメオは嬉しそうに下げていた頭を上げた。


「……そう言えば、ロメオは冒険者登録してるの?」


「あぁ、入学前に登録だけ済ませといた」


 ギルドに登録するには特に年令制限はなく、資金を払うだけで登録できる。

 しかし、冒険者の仕事は自己責任なので、登録だけして仕事をしない人が沢山いる。

 そう言った人達は本職を別に持ち、小遣い稼ぎに安全な仕事をしてお金を稼ぐ位しか冒険者として働かない。


「じゃあ、明日の朝から始めようか?」


「おう! よろしくお願いします」


 そうして、翌日からマルコがロメオの鍛練を開始するのだった。


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