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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第79話 報酬

「……上手く行ったみたいだな」


 帝国軍のオルラルドが闇討ちを成功させ、ティノの作った氷の橋を渡って砦に戻って行くのを遠くから眺めていた。

 その後オルラルドの指示により氷の橋は壊され、リンカン軍が追いかけてくるのを防いでいた。


「……さてと、帰るか?」


“フッ!”


 氷の橋が壊されるのを見たティノは、後はこれまで色々動いてきた事が思い通りに動くだけだと思い、その間トウダイの町作りでも眺めていようその場を後にした。

 現在は夜なので、そのままトウダイに行っても寝る場所が無いだろうと考え、マルコがいるジョセンの町に行き、そこの宿屋に泊まり、翌日の朝トウダイに向かって移動した。


“フッ!”


 トウダイに着いたティノはトウダイを一通り眺めた後、クランエローエの幹部達がいる拠点に向かった。


“コンッ!”“コンッ!”


「ハーイ!」


“ガチャ!”


「!!? ティノ……?」


 拠点の扉をノックしたティノを出迎えたのは、エローエのリーダーだった。


「どうも、久しぶり……」


 出迎えたリーダーに対し、ティノはにこやかな笑顔で話しかけた。


「まぁ、中に入れよ」


 リーダーはティノを部屋に招き入れた。


「リーダー、誰でし……」


 リーダーと一緒に部屋に入ると、そこにはヤコボが書類らしき物を整理していた。

 ヤコボはリーダーと一緒に入ってきたティノを見て、言葉がつまった。


「……あんた生きてたのか?」


 ヤコボは帝国領に行ったティノが、1週間以上帰って来なかったことで死んだと思っていたらしい。


「まぁな、予定通りリンカン軍は南に行ったろ?」


 リンカン軍は公爵家の嫡男を暗殺されたことに激怒し、トウダイへの進行など忘れて、国の西側の戦力を旧ミョーワ領に向けて総動員させた為、トウダイの人々は町の復興に向けて動き出していた。


「……で? お前は何しに来たんだ?」


 リーダー達は、まだティノが何を目的に自分達に味方するのか分からず、完全には信用をしていなかった。

 その為、リーダーとヤコボは疑いの目をティノに向けたままでいた。


「今回の報酬をいただきに来た」


 2人の疑いの目を無視しつつ、ティノは軽い口調で質問に答えた。


「!!? 報酬だと?」


 確かにティノが何を目的に協力しているかは分からなかったが、町を復興させようとしている我々には、与えられる物など無いことぐらい分かって協力していると思っていた。

 その為2人は、ティノがどんな無茶な要求をしてくるのかと少し身構えた。


「町外れにあるボロボロの小屋を俺にくれないか?」






────────────────────


「ここでやろうか?」


 マルコは、ロメオから提案された手合わせを受け、それぞれ荷物を自室に置いた後、寮の裏手にある少し広目の庭に移動した。


「よっしゃー! そんじゃあ行くぞ!」


“ボッ!”


 ルールを特に決めることなく、槍の長さの木の棒を持ったロメオは、身体強化をしてマルコに向かって突進していった。


“スッ!”


 木剣を持ったマルコは、身体強化をすることなくロメオの突進を躱した。


「くっ!」


 交わされたロメオは体勢を建て直し、棒を構えてマルコの隙を伺うようにじっと見つめた。


“フッ!”


「!!?」


 目の前のマルコが消えた事に驚き、ロメオは辺りを見渡した。


“スッ!”


「!!?」


 そして、次にマルコを視界に入れたときには、マルコの木剣が首もとに止められた状態だった。


「……ハハッ、参った」


 そう言ってロメオは降参の言葉を発した。


「やっぱ強ーな……」


「どうも、これでもかなり鍛えたからね」


 ロメオの言葉に、マルコは笑顔で答えた。


「なぁ、マルコ……」


「ん?」


 ロメオは真面目な顔をしてマルコに話しかけた。


「俺を鍛えてくれないか?」


 そして、マルコに指導を頼んだのだった。


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