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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第76話 愚痴

 ティノがオルラルドにリンカン王国の2大公爵家、オルチーノ家の嫡男の首を渡した翌日、早速オルラルドはリンカン王国に対して、首を奪取した事を宣言をした。


「どうやら予想通りだな?」


 帝国軍の兵士の鎧を着けたティノが、オルラルドと2人きりになったことで、口調を変えて話しかけた。


「あぁ、リンカン側は……、と言うかオルチーノ家は、軍を率いて怒り狂ったようにここに向かっているらしいな」


 ティノの言葉に、オルラルドも口の端を上げつつ答えた。


「さっさと開戦してくれないかね?」


“ドサッ!”


 ティノはダルそうに、ソファーに勢いよく腰かけた。


「リンカンの王都からだと約1週間ってところだな……」


“ドサッ!”


 オルラルドもティノの対面のソファーに腰かけ、テーブルの上に広げられている地図を眺めて呟いた。


「約束通り開戦したのを確認したら、トウダイに帰らせて貰うからな?」


 ティノは、オルラルドと交わした約束を確認した。

 オルラルドがティノと交わした約束は、遠距離への移動手段があるティノがハンソーに入れ知恵して、リンカンとの決戦に横槍を入れないように、オルラルドの側から離れないようにするということである。


「あぁ、開戦してからならハンソーが動き出しても間に合う事はないからな……」


「早くこいつともおさらばしたいよ……」


 そう言ってティノは、両手首に着けているブレスレットをオルラルドに見せた。


「仕方ないだろ、それがなければお前がハンソーに向かったかどうか安心できんからな」


 ティノが今着けているブレスレットは、犯罪者などに使われる魔力を封じる魔道具で、ティノが約束通りハンソーに向かいに行けないようにと、オルラルドが着けた物である。


「早く外したいぜ……、魔力が無くちゃ魔法の指輪から暇潰しの本も出せねえからな」


 魔法の指輪は持ち主が魔力を流すことで、中身を出し入れする事が出来る魔道具で、魔力を封じられている状態では何も取り出すことが出来ない。

 これがあるので、オルラルドとの約束が成立しているのである。

 オルラルドが睡眠をするときは、ティノは隣の部屋で鎖に繋がれた状態になっている。


「愚痴るな! 1週間程度の話だろ。」


「ハイ、ハイ……」


 愚痴るティノに対してオルラルドは苛立ち、少し強めの口調で話した。

 それに対してティノは、渋々といった感じの返事を返した。


 しかし、オルラルドは知らない。

 ティノは動かないが、反乱軍が動いている。

 ハンソーには反乱軍が知らせるので、ティノがここにいようが関係ない。

 そもそも、魔力封じの魔道具をしているが、ティノの能力なら力ずくで取り外せる。

 つまり、いつでもここから出ていけるのである。


「早く1週間経たねえかなぁ……」


 心のなかでにやけつつ、白々しくティノはまた愚痴るのだった。






────────────────────


「校内戦ですか?」


 校長から提案された内容が理解できず、マルコは聞き返した。


「そうじゃ。本来は最上級生が参加する競技大会なのじゃが、それに参戦して欲しいのじゃ」


 校長はマルコに、校内戦についての説明をし始めた。


「校内の優勝者は、国内の全校による全国大会に参加する事になる。それに優勝すると、優勝校には多額の資金援助が貰えるのじゃ!」


「…………」


 何だかんだ言って、結局金の話だったことにマルコは言葉を失った。


「……何故新入生の僕なのですか?」


 無言でい続ける訳にもいかないので、マルコは当然の質問をした。


「お主の実力は入学試験の時と、授業の戦闘訓練で見せて貰った……」


「!!?」


 戦闘訓練の時、マルコは校長の姿も気配も感じなかった事に、校長の実力に驚きつつ校長の話の続きを聞いた。


「最上級生と比べても、お主なら全国優勝出来そうじゃからのぉ」


「……それを断ることは?」


「あまり勧めんのぉ……」


 つまり最初から拒否出来ないのではないか、とマルコは心のなかで突っ込んだ。


「…………分かりました。参加します……」


 マルコは渋々校長の提案を受けることにした。


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