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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第75話 オルラルド

「……ん~、取りあえず敵ではない」


 ティノは、ここ最近よく使う言葉をまた使った。

 トウダイの為に、使える者を使おうと暗躍めいた行動をしているが、自分がオルラルドを直接倒す訳では無いので、敵ではないだろうと思いつつ平然と答えた。


「……さっきのオルチーノ家の嫡男の首とは本当か?」


 ティノに対して、椅子から立ち上がり腰に下げていた剣を抜く構えをしつつ、オルラルドは問いかけた。


“スッ!”


“ドサッ!”


「あぁ、本当だ」


 首を魔法の指輪から取りだしテーブルの上に置き、オルラルドの対面のソファーに座り、堂々とした態度でティノは答えた。


“スッ!”


「……何故それを俺に?」


 ティノの態度から毒気を抜かれたオルラルドは、構えをときソファーに座り問いかけた。


「あんた、リンカン王国と戦う機会をうかがっているだろ?」


 指を指しつつ、ティノはストレートに問いかけた。


「!!? 何故それを……」


 オルラルドは、自分の野望を誰にも話したことがないのに、目の前の男に言い当てられた事に驚きつつ呟いた。


「……あんたの性格からしたら予想出来ることだ」


 オルラルドの功名心が高いのは、かなりの帝国民に知られている事で、この砦に配属された状態なら、どこを相手に名を上げるのが1番かは考えればすぐ分かることである。


「この首は手に入れたばかりでな。リンカン側は犯人は誰だか分かっていない。明日には大騒ぎだ。そこであんたがこの首を手に入れたとリンカン側に宣言すれば、取り返そうと向かって来ることは間違いない。そうすればお前は川を渡るリンカン軍に対して対処すればいい。」


 ティノはこの首の使い方を、オルラルドに簡単に説明した。


「……貴様、ハンソーの者か?」


 リンカンと戦わせたがるティノに、オルラルドはハンソーの工作員ではないかと疑った。


「いや、俺はトウダイの者だ」


 オルラルドの言葉に、ティノは隠すことをやめ正直に答えた。


「トウダイ……、やはりハンソーと関わりがあるではないか!」


 リンカンとの戦争の機をうかがっている為か、情報の収集力は高いようだ。


「確かにトウダイ奪取にハンソーの協力を得たが、武器や食糧の援助程度で戦力の援助は受けていない。更に言えば我々が奪取した土地を、寄越せと言ってこないとも限らない間柄だ。……それに関わりがあっても今回では関係ないだろ?」


 ティノはハンソーとの関係がばれても、悪びれる様子なく話した。


「どう言うことだ?」


「リンカンと戦う事になったとして、ハンソーがその情報を得る頃には何も用意出来ていないだろう?」


 開戦したのをハンソーが知るには、多少の時間がかかるのは分かりきっている事だ。


“シャキン!”


「……確かに、ハンソーの軍が来る頃にはリンカン軍は後退させている自信がある。……だが、お前が明日にでもハンソーに知らせに動いたら話は別だ!」


 オルラルドは剣を抜き、ティノの目の前で止めつつ話した。

 首を取って、すぐにここに来られる移動手段がティノにはあるということは、ハンソーに行く事も出来る可能性がある。

 その事に気付いたオルラルドは、首だけ頂き、ティノを消す事も考えた。


“フッ!”


 止めた剣をそのまま突き刺そうとした時、オルラルドの目の前からティノは消えた。


「だったら、開戦するまであんたのそばから離れないでいてやるよ」


「!!? …………なら良い」


 オルラルドの左側からティノの声が聞こえ、驚きつつオルラルドはティノの提案を受け入れたのだった。






────────────────────


 戦闘訓練から数日後、マルコは何故か校長室に呼ばれ、放課後に校長室に向かった。


“コンッ!”“コンッ!”


「失礼します」


ノックをして校長室に入ると、入学試験と入学式の時に見た髭を蓄えた老人が座っていた。


「おぉ、よく来てくれた。そこに腰掛けてくれ」


 そう言って校長は、校長の机の前にあるソファーに座るようにマルコに話した。


「はい。失礼します」


 言われた通りに、マルコは一礼してソファーに腰かけた。


「君を呼んだのは1つ提案があっての……」


「……提案ですか?」


 校長は、少し話しづらそうな表情である事をマルコに提案した。


「校内戦に参加してくれんかの?」


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