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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第73話 セコンド

「……そこで何でハンソーが出てくるんだ?」


 ティノが出した提案に、店主は疑問の声をあげた。


「ハンソーは、これまでの帝国とリンカン王国からの侵略で、疲弊している。どちらかの軍を退かせたい所に、クランエローエのトウダイ地域の強奪の話が出て、本来なら聞き流すところ藁をもすがる思いだったのか、協力して強奪成功し、リンカンの軍の意識がトウダイに向かってくれて、一息つけている状況だ」


 ティノは自身の分析から、ハンソー王国の状態を店主に話し出した。


「その状況で、今度は帝国側の軍も引かせる可能性が出てきたとすれば、あんた達反乱軍に協力する事を断るということはないはずだ」


「…………なるほど」


 店主はティノの話を静かに聞き、理解の言葉を発した。


「更に反乱軍の戦いに協力し帝国側が後退すれば、トウダイが北から、ハンソーは東から、反乱軍が南からリンカンの王都を囲む事が出来る。そうなったらリンカン王国軍は、王都を捨てて西に移動することになる。そうなればハンソーは当分の間、両国からの侵略に悩む事は無くなる」


 ティノは反乱軍がハンソーと手を組む利点と、ハンソーが現状から協力話に乗って来ると説明した。


「…………」


 ティノの説明が終わった後、店主は何かを考え始めたのか、無言で一点を見つめていた。


「……どうだい?」


 考えている店主に向かって、ティノは自分の提案を受けるかどうかの質問をした。


「……お前の言ってることは理解した。それにそれぞれの状況から、俺達がハンソーに協力を得る事も出来そうだ」


「だろ?」


「……だが、そう上手く行くか?」


 店主が不安に思うように、全てはティノの考えに過ぎず、確証はどこにもない事である。


「大丈夫! 必ず上手く行く」


 しかし、ティノは自信満々で返答した。

 本当の所、この考えが上手く行かない可能性があることは、ティノ自身分かっている。

 それでもこの考えに自信が持てるのは、最終的には自分が動けば、その通りに事は進められると思っているからだ。


「……まぁ、どちらにせよ、そろそろ俺は砦に入ってオルラルドに首を渡してくるけどな……」


「…………」


 これから先、反乱軍がどう動くのかは彼らに任せるとして、店主との話で時間が潰せたティノは、予定通り砦に向かう為、席から立ち上がった。


「ごちそうさん。ここに置いてくぜ?」


 無言でいる店主をよそに、テーブルの上に代金を支払い、ティノは出口に向かって歩き出した。


「……待て!」


 扉の前まで来たティノを、店主は呼び止めた。


「何だい?」


 呼び止められたティノは、立ち止まり店主に振り返った。


「俺はセコンド、あんたの名前は?」


 店主は自分の名前を告げ、ティノの名前を聞いてきた。


「ティノだ」


 ティノは、聞かれた問いに素直に答えた。


「そうかい……、それじゃあ、またな(・・・)


「あぁ、またな(・・・)


 このような会話を交わした後、ティノは店から出ていった。






────────────────────


「勝者ロメオ!」


 2回戦でもロメオは勝利を納め、次はマルコの番になった。

 マルコと対戦相手が、闘技場に降りて向かい合った。


「始め!」


“ドサッ!”


 しかし、開始の合図と同時に、マルコが一瞬で相手に近付き、またしても腹パン一発で終わってしまった。


「…………」


 審判役のアルマンドは、2度のマルコの戦いを見て、無言になってしまった。


「マルコ! お前はちょっと強すぎだな……、すまんが他の生徒の実力が測れないので、ここまでにしてくれるか?」


 マルコが他の生徒より、頭ひとつどころか2つも3つも飛び抜けているので、アルマンドはここで抜けてくれないかと頼んできた。


「……良いですよ」


 マルコ自身、他の生徒とは差がありすぎて困っていた所だったので、素直に受け入れたのだった。


「そうか、それじゃあすまんが客席で待っててくれ」


「はい! 分かりました」


 そう言ってマルコは客席に戻っていった。


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