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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第68話 首の扱い

“コンッ!”“コンッ!”


「はいっ!」


 ティノが、昨日のエローエのメンバーのいた家の扉をノックしたら、中から返事がして扉が開いた。


「こんにちは!」


 扉が開いて、ティノは開けてくれた相手に挨拶した。


「!!? あんた……」


 扉を開けたデボラは、ティノの顔を見て少し驚いた顔をした。


「中にリーダーいる?」


 ティノはデボラの事など気にも留めず、にこやかに問いかけた。


「あぁ、ちょうど今昨日のメンバーが揃っている……」


 デボラは戸惑いつつ、ティノを招き入れた。



「こんにちは!」


 室内に入ると、昨日のメンバーが揃っていて、ティノはその中に、にこやかに入っていった。


「ちょうど少し前からあんたの話をしていた所だ」


 挨拶もせず、リーダーはティノに話しかけた。


「……信用出来ないとか?」


「……そんな話もしていた」


 ティノの言葉に、リーダーは正直に告げた。


「まぁ、そうだろね。昨日知り合っただけの得体の知れない人間だからね」


 ティノは、自分の事を自嘲しながら話した。


「あっ、でも昨日の話の通り……」


“スッ!”


「……公爵家の嫡男の首取ってきたよ」


「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」


 ティノは話ながら魔法の指輪から、取ってきた公爵家嫡男の頭を取り出し、部屋の中にあったテーブルの上に置いた。

 それを見たメンバーは、驚愕の表情で眺めた。


「……ヤコボ!?」


 テーブルに乗せられた首を見て、リーダーはヤコボに向かって名前を叫んだ。


「…………間違いありません。公爵家のベリザリオです。」


 名前を呼ばれたヤコボは、テーブルの上の首を見つつ本物であることを証言した。


「ヤコボ、本当かい?」


 ヤコボの言葉に、デボラが再度確認の質問をした。


「間違いない! こいつは9年前トウダイ襲撃に参加していた。罪もない町人を、笑いながら殺していたこいつの顔を間違えるはずがない!」


 当時を思い出したのか、怒りで拳を強く握りしめつつ、ヤコボは間違いないことを強く述べた。


「……こいつが」


 デボラだけでなく、他のメンバーもヤコボの証言により、ベリザリオの首に怒りの表情をぶつけ出した。


「ところで、この首どうするつもりだい?」


「……どうとは?」


 室内のメンバーが、テーブルの上の首を怒りで叩き潰す前にティノは話し出した。

 ティノの言葉に、リーダーは質問で返した。


「まさか、ここの町に集まったメンバーの前で叩き潰す訳でもないでしょ?」


「こんな奴、町の真ん中で晒し首にして何が悪い!」


 ティノの言葉に、怒りの表情でデボラが突っかかってきた。


「……あんたには何か考えがあるのか?」


 ティノの様子を見て、リーダーが問いかけてきた。







────────────────────


 客席に移動したマルコとロメオは、闘いを眺めつつ会話をしていた。


「マルコ! 新聞見たか?」


「うん……」


「山ひとつ越えた場所が、戦地になるかもしれないだよな……」


 まだ公爵家の嫡男の死が報道されていないので、ジョセンの町はいつ戦争になるのか、この町にも被害が及ばないか不安な空気が流れていた。


「……そうだね」


 ロメオの正直な気持ちに対して、マルコはトウダイの事を考え、複雑な気持ちだった。

 マルコはティノに、自分の出身地の事と両親の事は聞かされている。

 なので、出身地が戦地になることをロメオとは違う不安が心にあった。


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