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浮浪の不老者  作者: ポリ 外丸
第4章
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第61話 察知

 ティノの契約虫のクワガタとリンクしつつ見た室内には、数人の人間が集まって議論を重ねていた。


「………………彼かな?」


 リンクしているクワガタの目に映った室内の人間で、ある1人の男を見て彼がリーダーだとティノは判断した。

 他の人間とは、纏っている雰囲気が違って見えたのでそう思ったのだが、その男性は室内のメンバーの話を椅子に腰かけて腕を組み、静かに聞いていた。


「奴等は明日にでも攻めてきます! こちらから先制して少しでも敵を減らすべきです!」


 室内において、若い女性が鼻息荒く意見を述べた。


「落ち着け! 確かに奴等はナイホソに集結しているが、この2、3日攻めて来る気配がないだろ?」


 女性の意見に対して、若い男性が慎重な意見を述べる。


「……ヘタレが!」


 男性の反論に、女性はボソッと呟いた。


「……何!?」


 その呟きが聞こえた男性は、声を1つ落としつつ女性を睨み付けた。


「やめろ!! 2人とも落ち着け……! リーダーの前だぞ!」


 それまで静かに聞いていた男性が、若い2人のいざこざを落ち着いた声で鎮めた。


「………………」


 リーダーによる不自然な間が空いた。


『……おやっ? 感付かれたかな?』


 リンクしたクワガタを通して見ていたリーダーの反応に、ティノは違和感を覚えた。


「……どうかしましたか? リーダー……」


 椅子に座るリーダーの隣に立つ男性が、リーダーの違和感に気付き尋ねた。


『……仕方ない、離れるか?』


 ティノは、クワガタがばれる前に闇魔法により、クワガタをクワガタの影に吸い込んだ。


「……!?」


 クワガタが消えた瞬間にリーダーは、感じていた感覚がなくなったので部屋の中を見渡し出した。


「……リーダー?」


「……すまん、何でもない」


 リーダーの行動に、部屋の中のメンバーは訝しげな顔になった。

 そして、リーダーは違和感がなくなったのを疑問に思いながら、メンバーに話の続きを促した。



「……さてと、行ってみるか……?」


 こそこそするのに飽きたので、これからの事をどう考えているのか直接聞くため、ティノはメンバーが集まる家に近付いて行った。






────────────────────


 マルコが寮に近付くと学校の寮の門の前には、入寮する人の荷物が乗っている馬車が止まっていた。


『馬車で来るなんて貴族なのかな?』


 そんな事を思いつつ、マルコは馬車の横を通り過ぎ、門の近くで入寮生の受付をしていた女性に近付いて行った。


「入寮生かな?」


「はい。マルコと申します」


「……えーと、あらっ! あなたが首席合格の子ね?」


「ええっ、まぁ……」


 女性が言ったように、マルコは入試試験の首席合格を果たしたのだった。

 はっきりいってマルコがティノに受けた勉強は、初等部どころか高等部の範囲まで修了しているので、勉強の部分においては学校に通う意味はない。

 しかしティノは、マルコが今より若い時期から、学校に入ってたくさん友人を作るように言っていた。

 マルコ自身、同じ位の年齢の友人がいた事がないので、勉強よりも友人作りの為に学校に通う感覚である。


「合格通知にも書かれていたと思うけど、入学式の首席挨拶頑張ってね!」


「……は、はい。頑張ります……」


 マルコは、入学式に大勢の前でするその挨拶が少し憂鬱なので、顔を若干ひきつらせつつ返事をした。

 女性から部屋の鍵を受け取り、マルコは寮の中に入って自分の割り振られた部屋を目指した。


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